果たして変移抜刀霞切りは?『カムイ外伝』
忘れていたがカムイ外伝を観た。
そうだねえ、いや松ケンはよく頑張ったと思う。うん、カムイしてた?かな。
そんで、えーと、えーと、
もうファーストランも終わりなので激しくネタバレでいきますのでよしなに。
ざっくりいえばOPの山崎努のナレーションに、
懐かしい「カムイ伝」での山丈がカムイを抱きかかえるシーンがコミック版の懐かしい絵と共に語られていく。
そこでカムイが非人ということもしっかりと表される。
この辺りでいやウサワで聞くほどダメじゃないじゃないかと思ったが、
カムイが追っ手と闘うシーンでまず、ちょっとアレ?となっちゃう。
CGとワイヤーを組み合わせたアクションの親和性が…ちょっと低すぎる。残念ながら。
アクションはそうとう動いているのでそこがまず残念その1。
お話もスガルの出てくる一連のエピソードをまとめたものだけど、
前半の話と後半の話のつながりが上手くないし元々前後編でもいいくらいの話ではないかと。
なんというか、いやスガルの島の一連のエピソードは確かにつながっているんだけど、
こうやって観ると分けてもよかったんじゃないかとかと思うぐらい。
全部ダメと切り捨てるには惜しい部分も散見されるけど、
基本クドカン色と崔色はあまりよく融合してないっていう気がする。
いやそもそもクドカントーンって台詞回しが俺ならしないとか崔監督どっかで言ってたけど、
正直それも分からなかった。ちょっと芝居がかった台詞だなと思ったけど、
もしかしてそういう事なのか?
キャストはそれぞれいい仕事はしているかなとは思うし、
霞切り、飯綱落としを実写で見れたのはまま、良かったカナとは思う。
但し霞切りに関してはあの左右のブレというか動きを分身にするとはね。
あとそれ(分身)が雲散霧消するのは違うんじゃないかなあと思う。
そういえば昔、「影の軍団」で千葉真一が忍者刀を背中に差して、
反復横飛びをしながら相手を切り伏せるというのをしたけれど、
あれは元ネタは多分、変移抜刀霞切りだと思うんだけど、
それよりは前段は霞切りっぽいとは思う。
けどあの処理でサニー千葉の方がクオリティ高いと思ってしまった。
アクションシーンはアクション監督の谷垣氏がよく練ったなという印象。悪くはない。
いろいろ新機軸を出してきているけど日本的なるものというのはちょっと見出せない。
これは個人的な好みなんだけど、世紀の珍作「SHINOBI」もアクションシーンは凄かったけど、
香港の影響がデカイ、というか香港映画を観て育った世代がコレがカッコイイということでやっているので当たり前なんだけど、
そのため赤影世代であり、東映のチャンバラもかすって、
その上でのリアル殺陣の隆盛を見てきたおっさんとしては、
刹那の斬りあい、穏形、そして手裏剣。という部分がトータルで観ると、
やっぱりちょっと違うなっていう感じ。
そこを言っちゃうともうどうしようもないんだけど。
キャストの話とか
松ケンは良かったと思うというのは先に書いたけれど、
周りもいい芝居は見せているとは言えちょっとオーバーアクト気味なんだよね。
これは舞台出身のクドカンのカラーなのかどうかは分からないんだけど、
もしかすると崔監督は時代劇の様式をちょっと間違ってるのかなあ?という気もしないでもない。
ただ皆さん上手いからそれなりのところにちゃんと着地はしているんだけど。
もっとも不動役、伊藤英明はマジギリギリだったけど(笑)
それでもまだちゃんとしてた、CGより(笑)
小雪たんは凛子たんのピンチヒッターだったそうだけど結果的には小雪たんで良かったかも、
凛子たんだと、どう考えてもスガルって柄じゃない。
もっとも小雪がそうかと言われるとそこも…?だけど(爆)
けど針千本とかの武器がちゃんと使われているのはナイス。
あと苦無とか手裏剣とかも凝ってたし、そういう部分は評価したい。
というかイーキンはほんとうに白土マンガにでてきそうな感じで、
吹替え(あれPANTAさんなのかな?)が違和感あったけどすごい存在感で今更ながらに見直した。
けど勿体無い。というかイーキンが天人なら最高!だったんだけども。(分かる人にはわかる)
それと朝日新聞かにのった評論に崔監督が噛み付いた話があったけど、
『カムイ外伝』崔監督がブチ切れ!「ちゃんと観ろ!」と名指しで評論家に宣戦布告 - シネマトゥデイ
確かにこの評論家さんに対して監督がいってる部分、
「(略)仕立てが大味なのが気になる。カムイがサヤカに熱を上げる青年がいるのに気付かない不用意ぶりは解せない(略)」
に対する監督の反論は「カムイと(サヤカを含む)半兵衛一家の夕餉を感情むき出しに覗き込む吉人に、
苦渋と違和感の表情を見せるカムイの芝居を明らかに見落としている」は納得できる。
もっともだからといって自分のこの映画への評価が上がる訳じゃないけど。
というかちゃんとしてるところもあるだけに残念な感じ。
個人的には忍者映画といえば『ワタリ』(赤影の青影の人がワタリをしている)とかを思い出す人なんで、
あの路線を引き継ぐモノを観たいなあと思っているがそれは未だ果たされずにいる
で、結局崔監督そのあとの事はどうなったんだろ?
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by tonbori-dr | 2009-12-02 23:45 | Movie