人気ブログランキング | 話題のタグを見る

*『盤上の戦争』の勝者は誰なのか。『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』

とかく『戦争』というのものは勝たないと話にならない。
特に為政者にとっては。

何故にこういう映画を作られる事になったかは、それだけ9.11の衝撃がでか過ぎてアメリカはもう何がなんだか分からなくなっているんだなという事だと個人的に思っている。

で、最後の最後に『間違ってしまった』という部分がインテリ層(民主党)に中にあるのかなと邪推してしまった。

話はテキサス出身のお気楽議員チャーリー・ウィルソン。違法なドラックパーティなんかにも出ちゃういささかナンパで口八丁な彼がアフガンからのダン・ラザーのレポートを見て、ちょっと義憤にかられ所属している機密費の予算委員会で額を倍にしたところから始まる。自分のパトロンからケツを叩かれ現地の惨状をしりCIAのケースオフィサー(この人も相当にきな臭い人物だという記述がパンフにあり)を巻き込みパキスタンだけでなくイスラエル、エジプトを巻き込み一大秘密作戦を実行していく。

まあその結果が今の状況な訳だけど共和党はある意味、内向的で自分たちの権益にだけに純粋に忠実だが、民主党はデモクラシーを真剣に信じていてちょっと迷惑な人たちだよなという間違った印象を受けちゃうぞという感じが(苦笑)

事はそう単純ではないのだが、アメリカという国家だけで見れば今も昔も同じ事をやっているよねという感じを強くする。

歴史に学ぶということは大事だが結局そういうことが出来ないのが人間なのかもしれない。





ただここで描かれている諜報活動はディフォルメされているとは言え敵同士がもう一方の敵のために手を結ぶ様など生々しい部分が描かれている。だけど結局生身の人間ではなく盤上のコマを動かすかのように作戦や予算が決定されていく様は、うすら寒い感じがしてコメディタッチにディフォルメされてはいてもその禍々しさはしっかりとでていた。

そうしてレッドアイやスティンガーなどの個人携行の対空ミサイルランチャーが第3国を経由してアフガンに送り込まれハインドを落とした。

またムジャヒディンたちを秘密キャンプで訓練するところは描かれていなかったが、ただ武器を供給しただけでなく戦い方をも教育したのだ。

『デモクラシー』を教えることはせずに。
到達目標をどこに置くかで勝利の定義は変わるが物語の終盤、アブラコトスがチャーリーにアフガンにもっとお金を送って学校や家を作れと言った。
だがそれは周りの者達には一笑にふされた。彼らにとってのゲームのゴールは『共産主義者を叩く』というそれだけっだのだから。

もちろんその時はこうなってしまうとは考えてもいなかったのだろうし産業や農業を興すにしても色々クリアせねばならないハードルはたくさんあっただろう。だからといってその時に『デモクラシー』を教えていても多分衝突は起こっていただろうなと思う。
それはいくら現状を視察しても分からない、所詮は盤上で起こっている事だと彼らは思っているなという認識を突きつけられた(そこは制作者達の意図ではないだろうが)

そして9.11が起こった。多分この後もこういう映画だけでなくほかの映画でも、先に書いた『ミスト』もそうだけどちょっとした映画ではまず9.11の影を見せられていくんだろうなと強く感じる。そんな映画だった。

「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」の映画詳細、映画館情報はこちら >>

by tonbori-dr | 2008-06-21 22:50 | Movie