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『300(スリーハンドレッド)』-暴力のファンタジー-


『300』を観て来た。
いや噂にたかわずまんまアメコミ(グラフィックノベルというものらしい)な画面。
意図的に作られた色調に動く人間までもがまさにその描かれた絵から抜け出してきたかのようだ。
そして描かれる物語は単純明快。数をもって侵略する支配者たちに自分たち愛する者たちるため闘う!
ただこのご時世やはり色々と問題もある。
口を開けば『自由のために』というのは数をもって圧制を、支配を強いるものたちへの反抗であってもそうとってもらえないのがこの映画の不幸かもしれない。

ただそれを差っ引いても健全をもって旨とするPTAやお利巧な人たちには受け入れられることはないだろう(笑)

なんせ彼ら(スパルタ)の文化交流とは人と殺し合うってんだから(^^;
そんな作品なだけにPG-15は必須。いやR指定でもおかしくなかった。よくぞPG-15に留めたなと言うべきなのか(笑)

これは暴力のファンタジーなのである。ある意味では『ロード・オブ・ザ・リング』でのミナス・ティリスに迫る魔王の軍勢と人間たちの戦いと同じといっても過言ではない。
そのためペルシアの軍勢はオークやゴブリンのような姿をしているのだ。

だからファンタジーなのである。




この作品、そのグラフィック・ノベルのコマが脳裏に浮かぶぐらいにまるで現実感が無い。なのに濃く重い重量感をもっている。
同じような撮影法で作られた『スカイ・キャプテン』と比べれば『スカイ・キャプテン』が軽いのに比べ対照的だがそれはフランク・ミラーの原作によるところが大きいのだろう。

だけどスパルタの掟っていうのはかなりトンデモだよなあ、なんせ生き抜くためにまず選別から始まり盗みも上等っていうんだから。でも逆に言えばそこまで追い込んでいるから肝が据わっているとも(苦笑)(追記:だからこそちょっとひっかかりを残す部分でこれは原作者が意図して残した部分。ただあまり深読みしてもドつぼに嵌る。)

そんな連中のデスペレードな闘いの物語はまんま漫画であるといえる。だからこそ琴線にも触れるわけで。
そういう意味ではよっぽど『CASSHERN』よりオレがやらねば誰がやるっていうもんである。今思ったけれどキリキリもほぼ全編特技の樋口ちゃんの絵コンテによる戦闘シーンのみで再構築した作品を送り出して(オイディプスコンプレックスの件とかも入れてもいいけど台詞は極小に刈り込んで!)作ったらもしかするとすげー一部から絶賛の嵐であったに違いない!と思うけどどないでしょうか(笑)
とまあ余談はさておきフランク・ミラーのグラフィック・ノベルをここまで忠実に(パンフに一部が載っているが完全といってもいいくらいに再現されている)映像化しているところでもうひとつのミラー作品『シン・シティ』とも通じる部分がある。
どちらもコマを再現していてもそれが画面に映えているところ。フランク・ミラーがロドリゲスと共同とはいえ監督が出来たのは優れたその構図のとり方なんだろうなと感じる。
もう少しグラフィックノベルの値段が安ければなあ・・・(^^;
で観ている最中考えていたのはザック・スナイダー、山口貴由の『覚悟のススメ』か『シグルイ』を実写映画化してくれねえかなあと(笑)
ここまでの描写が出来るんならさぞかし凄いのが出来そうだなあとマジで思った。

ただこの映画、本当にこれを『最高!』って言える人はやっぱり限られていると思う。つまり日本人向けではない。かなり乱暴だし見た目の問題も多い。
だけどこんだけの迫力のあるしかも映画は東洋ではもっと毛色の違ったものになるなと思う。例えば『HERO』あれも反抗する者の闘いだけど『300』とは違う結末を迎えている。
そういう意味では西洋的な作品だなと感じた。

「300(スリーハンドレッド)」の映画詳細、映画館情報はこちら >>

by tonbori-dr | 2007-06-15 23:55 | Movie