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去年の話になるがある元スパイが死んだ。

彼の名前はマルクス・ヴォルフ。
その方面に詳しい人や世界情勢に聡い人なら聞いたことがあるかもしれない。
冷戦、東西諜報戦を生き抜きスパイマスターとして知られた人物だった。
東ドイツの元スパイマスター、ベルリンの壁崩壊17周年の日に死去 - ドイツ AFP BB News - BETA -

またウィキペディアにあたってみると彼の項目があった。
マルクス・ヴォルフ - Wikipedia
とくにざっと彼の経歴などを記しているが彼の仕事としてよく知られているうちのひとつは関連項目の『シュタージ』が詳しい。
シュタージ - Wikipedia
シュタージとは東ドイツの国家保安省のことでベルリンの壁崩壊後もいろいろ問題を残している組織であるがそこの対外諜報の長を務めギョーム事件などで西ドイツの諜報網を手玉にとった。
しかしベルリンの壁崩壊、そして冷戦の終結後をドイツに戻りそこで死んだ。

よく諜報、防諜の世界ではそれが知られてしまうとその工作は失敗であるというがそういう意味ではどれほどの隠れたギョームを抱えていたのだろう。
冷戦後はかつてのライバルに顧問として招かれたが断わったとウィキペディアにはあるが何冊かの著書は遺したとある。

スパイモノ好きには例えばル・カレ御大のスマイリー3部作の仇敵カーラのモデルの一人としても知られている。
彼の仕事は多分ル・カレを初めとするスパイモノの作家たちに多かれ少なかれ影響を与えたことは間違いない。

実は去年彼の死去を知ったときに奇妙な感慨と言うか色々な感情が沸き起こった。
すくなからずスパイを題材にした大陸特にイギリスの作家たちに影響をあたえたリアルな諜報戦を生き抜いた人物が鬼籍に入った事はその当時のヒューミントからエリントにますます比重が移るのかとか、ますますヒューミントは見えにくくなるのかとかまあそのあたりにつらつらと思いを馳せたわけで。

ともあれ一人の元スパイは死んだが今も多くのスパイたちはしのぎを削っているのだろう。

by tonbori-dr | 2007-01-26 01:13 | 独り言