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ペルソナの中は?-『Vフォー・ヴェンデッタ』-

2007年最初のスルー映画祭りは
個人的には結構面白かった。というのもイギリスらしい地味なおっさんが副主人公(一種の狂言回し)として配置されていてそのおっさんがVに肉迫するべく地味に捜査を重ねる部分が面白かったということで。

ただあくまでもこの物語は『1984』のような管理社会とそれに対抗するテロリストであるVそしてそこに巻き込まれ流されままであった少女がやがて自己を確立するという話でありまあ『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟がシナリオを担当したこともあって『マトリックス』の原点とかそんな感じなのか?とか思ってた。(参照|ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記 - 『マトリックス』の原点『V フォー・ヴェンデッタ』)
しかも町山さんがナタリー・ポートマンがほぼ『レオン』のマチルダと同じというもんだからそういうトコでしか観れなかったのもちょっとアレっぽかったのかも(^^;



しかしマチルダナタリー・ポートマン、劇中で秘密警察に強姦されそうになるは、テロリスト拉致されるわ坊主にされるわ(このショットはあちこちで宣材として流れているたので覚えている人も多いかも)拷問されるはでもう散々な目にあってしまうのだがそれがあってこその普通に過ごせる事はなんて素晴らしいんだ!というまあちょっとよくある話になってるじゃんかとなってしまう。

よく観れば決してそれだけじゃないんだけれど膨大情報量を詰め込んだしいかにもな刺激的なシーンしか頭に残らないのも困りものですよねみたいな・・・・

だから体制側にありながら善良な市民としてそして考えることが出来るフィンチ警視の視点があるおかげでその部分が対比されナタリー演じるイヴィーがVとの関わりを経て彼の心に迫る部分が理解しやすくしているのだろうと思う。但しその試みが成功しているのかどうかは解らないが。

ただいかにもお金がかかっているのにもかかわらず地味な印象をうける人が多いのでないだろうか。しかも主人公たるVは最後までその仮面をとらない。
その部分にいろんなものを込めているんだなというのは理解できるがイヴィーとVの奇妙な関係は『オペラ座の怪人』を思い起こさせる。多分イメージソースにはあっただろうと推察できるしそっちの方へ振る事も出来たのにしなかったのは良かったのか、悪かったのか。

しかし『マトリックスレボリューションズ』でそういうオチかよ!と言った人々はこの作品を観るべきでそこの答えがあったと言っておこう。
だからこそ『レボリューションズ』はあのオチしかなかったのだと。

ウォシャウスキー兄は性転換したとかドMだとか弟はアニオタだとかまあ色々あるけどホンはよく出来ていたと思う。それぞれの嗜好をもうまく取り入れているし(笑)
ただこの先同じネタばっかでは苦しいと思うんだがどうするんだ?
またB級アクションの世界に戻っておいでと思うんだけども(『暗殺者』や『バウンド』のような)

ちなみにVのマスクはガイ・フォークスという実在の人物だそうで劇中で語られる議事堂爆破未遂も本当にあったことだそうだ。
(ウィキペディア|ガイ・フォークス)
なんでも男を表すガイってのは彼の名前から来ているそうな。
あと独裁者アダム・サトラーを演じたのが『1984』の主人公ジョン・ハートってのは多分狙っているのだろう(苦笑)この部分はまあ評価が分かれる部分。

とにかく大作でありながら問題作であるのはいろんなことに暗合を含みをもたせているからでありそういう事を気にする人には写し鏡のように見えるしそうでないただ『マトリックス』のような単純に凄いものを観たい人には特に響くものも写るものも無いそんな映画に仕上がっている。
ただナタリーが役のために坊主にしたのはエライ!いや普通はそれで当たり前、今それが出来ない連中のなんと多いことよ(^^;それは主人公V役のヒューゴ・エージェントスミス・ウィービングにも言える顔出しナシなのによくこの仕事を受けた!もしかするとキャリアを台無しにしていたかもしれないのに!(苦笑)そんな彼らの仕事振りを観るのもいいかも。

by tonbori-dr | 2007-01-03 22:56 | スルー映画祭り