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奇跡は本当に起こったのか?『日本沈没』(ネタバレ!)

『いいか良く聞け!プレートの断裂は北海道の南部から始まる。日本の活断層はそのエネルギーに耐え切れず次々に割れていく!フォッサマグナが裂け始めたら、その時はもうおしまいだ。富士山の大噴火とともに、日本は一気呵成に沈んでいくんだ!』
と予告篇でヨトエツ田所博士がいっきに捲くし立てるこのセリフ。まあだいたいこんなもんだったと思う。(実際はちょっと長かった)
で、観てきた。
まあやふの映画コーナーではこんなところだ。(参照)
ようするにイイも半分悪いも半分。真っ二つに分かれている。

であんたはどうなのよと言われると内容は結構予想通り。ある意味納得出来るし残念でもあった。
というかなんで今『日本沈没』?なのか
それがちょっとひっかかっていたし結局その意味はよく解らない。
いやまあ色々と語られている言葉からそれは汲み取れるのだが・・・・・。
どうもねまあいろいろ思うところはあるけれど。

追記あり08/04/13



ところでまず73年度版覚えてますか?すんませんおいらよく覚えていません。
つうか小野寺といえば村野武範さんだろやっぱり(笑)
で、TV版でも日本は沈む。というかなんか最後じいさん(今回は出ていない日本の黒幕みたいな人)が最後まで日本に残っててそこが沈んでゆくシーン(もしかすると小林『田所』桂樹さんだったかもしれない)が印象的だった。ともかく日本が色々あって沈んでいく。確か前半部ではかいこうだっけしんかいだかで調べていってその後新型機ケルマディックが登場という流れだったはず。かなりかじりついて観た記憶がある。その部分で言うとケルマディックはでねーしラストあれかい!と怒る人の気持ちはよく解る。だけどもこーゆうのもありじゃないっすか?
多分言及している人もいると思うんだけど左京先生の『BBJ』を彷彿させるシークエンスや『復活の日』的でもあるわけで(というと『BBJ』はともかく『復活の日』ファンがまた同列にするなと言われそうだけど)監督はただ座して沈むのを待つのでなく『妖星ゴラス』に立ち向かった男達よろしく人間の意地を描きたかったということだろうとまあ理解できる。

そこに恋愛要素というのをフィーチャーしたのは誰の考え?いやいやこれも想定内だろう。多分、代理店からの要請?そうとしか考えられない。
だけど阿部玲子の立場が深窓の令嬢からハイパーレスキュー隊員となったのは単純に監督の趣味のような気がするけど(苦笑)そういやコウちゃんの髪なげえ~という話し出てたけど彼女今はショートにしているんだよね。なんでも次の作品のためとか言ってたような・・・つまりそこから考えてもハイパーレスキューで長髪なのもそれは監督の趣味~だわね。見た目重視な監督らしい。(苦笑)ただそのあたりはもうちょっと考えたほうが良かったですなと申し上げたい。追記:長髪に関しては改めて画のためだと思ったがハイパーレスキューに関しては一応話に噛みやすいというかラストシーンにつなげるための逆算的に決まったんだなと言うのが分かった。けどそれでももうちょっとなあ、やりようがあったかなとか色々考えてしまうが。

特撮パートや対策会議、作戦指令室などのパートは燃えた(なんせエンケンさんが自衛隊の幹部だじぇー。次ゴジラかガメラの新作が出来ることがあったら是非同じような役で出て欲しい。つかプラスショパンさん(長谷川初範氏)とか本田博太郎氏が揃えば無敵だよ)さすがに樋口監督と神谷特撮監督に尾上特技統括監督補。そうそうこーゆうのですよというシーンのつるべうち。
とまあさすがにこのあたりは心配なく観れた。あと劇中に出てくる地名のスーパーなどが太い明朝というお約束を律儀にやっているとことは微笑ましい(笑)

で主演の2人、草なぎ君に柴咲コウちゃんだがそれぞれの芸風から考えるとこうでしょうってところ。もうここまでくると芸風が気に入らないかどうかの問題でもうそれだけですよねみたいな。脇にはいつもの方々とかそうでない方々とか色々だけど実はいろんなところで言われている大地真央も確かに良かったがトヨエツの田所博士が存外に良かった。というかもっと見せ場を作るべきだよ、勿体無い。あと国村さんの官房長官、出番少なすぎ。

というところで結局ここに落ち着くのねのホンなんだよなあ。科学的にどーことかいうよりそこんところなんだよね。いや結構まとめているとは思うんだけれどぶつ切りのエピソードがうまくつながらない。演出力もあるのかもしれないけれどホンの重要性がここでもクローズアップされる。少々強引でも場面を素早く動かす展開やちょっとした部分(おかしい部分を回収するシーンなどなど)がどうもスルーされているような。前も書いたけどまじ最近の脚本家はどうなってんのかとお聞きしたい。いやもしかするとこういう話を得意とする人がどんどんいなくなっているのかもしれない。なんせてらいもなく大嘘をつかないといけないんだから。
恋愛模様はどうにかなっても個々の災害風景やその他は書けてもそれらを大きくまとめる何かがたりない気がする。だから大枠で言いたいこととか解ってもどうにも座りが良くないんだな。出来るなら映画で何も言わずにきっちり解らして欲しい。でもシンちゃんが『日本を守る!』という『地球防衛軍』とか『妖星ゴラス』からの伝統に『さよならジュピター』を絡めた(ラストでアルマゲドンタッチにバカ騒ぎをしないところがまさになぞってるように思える)部分のみが突出していてるそんな映画であった。ともかく73年版に思い入れのある方やあの樋口監督だからと言う事で自分の思っている流れとかを想像している方は観ると怒り出すだろう。

あとね、小野寺が皆が避難した後でひょっとこ(玲子の叔母(吉田日出子さん)がやってるもんじゃ焼き屋)でコクるパートでのカメラの回し方。おいらならこーするなというぐるっと一回しをやった瞬間はああこの人やっぱりそうかと思ったよ(って何が?)

で最後にやっぱりハードル高かったなということとそれでもヒット(東宝によると70億とかいってるがまあ50億あたりではないだろうか?それでもローレライの2倍だ。)することによってこの後の展開どうなんの?ということだ。このままでは多分特定の層が思い描く樋口真嗣監督作品は観れるかどうか微妙かもしれないしそもそも次ぎがその層が観たい作品に成るかどうかもわからない。もしかすると時代劇かもしれないし(といっても『陰陽師』とか劇団新感線つながりで『吉原赦免状』とかそーゆうのになるかもしれんけど)まったく特撮抜きかもしれない(まあありえないと思うが派手なのは避けるかもしれない)ともかく彼はふつーに『受け(ウケ)を取らないいけない』ということを覚えたということなのかもしれないな。それがどういった影響が出てくるのかはまだまだ不明だ。だけどシンちゃんはとにもかくにも次ぎのキップは手に入れられた。あとはそれをどう使うのか?もうここまで来たら付き合うよ、それが地獄の釜の底になるか高い頂になるかは解らないけれど。

最後にラストシーンを観て、おいらなら居酒屋『ひょっとこ』の常連客にこう言わせたい。
「いいやつだったな」「ああいいやつだったよ」「月並みなことを言うな、おかしななヤツだったよ、勝手に死んじまいやがって、まったくおかしなヤツだったよ。」|岡本喜八監督『独立愚連隊西へ』より

by tonbori-dr | 2006-08-02 00:18 | Movie