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-沈黙の戦闘-

またまたやっとこさ続きをお届けします妄想特撮シリーズ続きでございます『-沈黙の戦闘-』
実際にはしゃべりまくってまして何処が沈黙やねん?という突っ込みは無しよということで(苦笑)
このエントリ、拙ブログカテゴリ妄想特撮シリーズのエントリ『破壊神 咆哮す』の続きです。
お話を追うには「深海に響く魔女の歌声」から読んでいただければよろしいかと存じます。
後ほど妄想特撮シリーズINDEXをエントリしますのでお話を順に追うのにはそちらへよろしくお願いします。

では毎度の前口上。
あくまでもコレは森と海さんと私tonboriの妄想でございますのでなにとぞご了承下さい。
またその元ネタになっている部分は皆様ご存知の作品ですがその大元の権利はあくまでも原作者の方々のものです。
これはあくまでも非公認のお遊びとしてご笑覧いただければ幸いと存じます。

ではごゆるりとどうぞ。



それより少し前「ひえい」は”目標2”こと「轟天」の後方わずか5kmの地点に位置していた。「しまなみ」は前方の虎よろしく待機しそこに「轟天」を追い込む作戦である。『タケミカヅチ』作戦の要諦である”目標1”阻止及び撃滅の切り札は空自のF2が搭載してくる特殊弾頭を搭載した誘導爆弾だがこちらの切り札はしまなみの搭載している特殊兵器。しかもその有効性の実証実験もままならないままぶっつけ本番。そのため不確実な兵装を早い段階で相手にぶつけあとは敵の能力を読みきっての戦闘になることを木崎は考えていた。そしてその策の中で一番の懸念材料は敵艦の指揮をとっていると思われる男、『神宮寺』である。作戦開始の前に対策本部へ情報を伝えるときに大湊に自分の所見として断わった上で敵艦の艦長と思われる男に付いて伝えた。同席していた司令の樋口は驚きを隠さなかった。「ほんとうに奴なのか?信じられん。確かに自衛隊を辞めはしたが・・・・・・。」
「木崎一佐、君のその所見の根拠は先の会戦での戦法という事だが確か彼は洋上艦の指揮しかとったことがないのでは?」1スクランブラー(通信傍受阻止措置)をかけたスピーカーの先で大湊が疑問を発する。
「ええ、確かに神宮寺は公式には洋上艦の指揮しかとったことがありません。しかし公式には知られておりませんが現在海自の演習シュミレーションは洋上、潜水機動を含め殆ど奴が製作したものです。そして非公式ですが潜水艦の指揮を執ったこともあります。それはしまなみの艦長、山南も知っております。」
「それはもしかして0号作戦の事かね?」大湊が静かに問う。
『0号作戦』全てが闇の中に葬られたその名を知っている者全てにとって忌むべき名前。そして知っている者は隊内や政府関係者でも少数。
アメリカ海軍のオハイオ級戦略級原子力潜水艦でクーデーターが発生。日本近海から中国を始めとする東南アジア諸国へSLBMを発射しようとしたその潜水艦を極秘裏に追尾撃沈という前代未聞のスキャンダル。
大湊もそれはよく覚えていた。当時外事本部長だった金城陸将補が詰め腹を切らされDAISをも揺るがした大事件だったが対外的には米原潜の座礁沈没、放射能漏れの心配は最小限に喰いとめられたと報じられた。
「アメリカの横槍で全てが押し付けられ、その上作戦を無理やり立案させられ統括及び現場指揮をとったのが当時海幕にいた神宮寺でした。私もその作戦のサポートのため『みょうこう』でバックアップに回っておりましたので。」
「そうだったのか。私は内事本部だったので直接には関係していないが色々とあの件では動いたし現場も含め混乱もよく覚えている。しかし目的は完遂されたはずだ。」
「その通りです。ですが神宮寺はその作戦後半年後に隊を去りました。これは想像ですがあの作戦後に隊を去ったと言う事であなた方や警務隊が彼を監視対象にしていると思っておりましたが過日神宮寺の行方が解らなくなったと聞き及んでおります。もしかしてあなた方は知っていたのでは?あの艦の指揮を執っているのが神宮寺だと?」
「いやそれは可能性として調査中だったが彼を良く知る君の所見を考慮してもほぼそう考えてもまちがいあるまい。そして君の言うとおりあの潜水艦を彼が指揮しているとしてどうだろう?」
「それは目標2を止めることでしょうか?それとも沈めることでしょうか?」
「・・・・・・・・撃沈だ。」
「非常に困難が予想されます。頂いたデータ-からも目標2の探知能力、そして我が艦の採取したデータ-からもあの艦の能力は傑出しています。それと彼の指揮能力の高さ、洋上艦のみならず潜水艦も熟知している神宮寺相手では相討ち覚悟としても・・・乗組員の生命を預かる者としてはさらに増援が無ければ正直分が悪いと見ます。」
「率直な意見、助かる。しかし現在浦賀の防衛ラインは動かせない。他の艦を動かすにしても状況の変化の対応を考えると現在そこにいる君達でやってもらうしかない。頼む。」

山南は敵艦の艦長が神宮寺一等海佐かもしれないと木崎からの暗号通信で知らされその事実にある種の想いを抱いていた。以前の秘密作戦。急遽編成された乗組員の前に現れたその男は防衛大の2期上の先輩であった神宮寺だった。艦長として近代化改修(フラム)されドック入りしていた潜水艦「さきしお」の指揮を執るということをブリーフィングで聞かされ戸惑った山南。神宮寺はつい先頃までイージス艦「こんごう」の艦長を務めており海上自衛隊始って以来の天才潜水艦キラーとしてもリムパックに参加しているアメリカ海軍や韓国海軍にも知られていた。しかし本人は潜水艦の教則やシュミレーション製作にも携わり元々ドンガメ乗り希望だったんだと語った。だが洋上艦と潜水艦では全く違うし洋上艦の指揮官が潜水艦の指揮を執るなど聞いた事がない。ましてや机上の理論など実際とは全く違う。しかし出航してからその杞憂は雲散霧消した。これをまさに水を得た魚とでも言うのか。まったく危なげない指揮に副官としてついた山南は舌を巻いた。
「艦長、本当はどこかで操艦指揮をとられたご経験があるんじゃありませんか?」と尋ねても意味深な笑いを返してくるだけだった。
その後の作戦は記憶の奥底に沈めてある。まったく酷い作戦だった。いや作戦としては完璧だった。支援がたった1隻の護衛艦のみしかも直接には支援しない状態で任務を完遂したのだから。だが作戦終了後に神宮寺の言った言葉が耳から離れない。
「今度のことは戦後の日本が結局変わる機会を得られなかった事のツケだ。その機会はもう来ないかもしれない。だが・・・・・・・それを作り出すことが出来れば、誰にも頼らず真の自立を勝ち取るためならわたしは何度でも泥をかぶる。」
その時はこの国を守るための言葉だと思っていた。しかし・・・・・・・。
山南の思考は永倉の声で遮られた。「目標2捉えました。」

轟天は洋上の動きそして海中に潜む潜水艦のすべてを発令所にあるホログラムテーブルに映し出していた。
「木崎、貴様がいかなる手段をとろうともこれがあるかぎり轟天は無敵だ、さあどうでる?」
「艦長、攻撃準備完了しました。」土谷が神宮寺に告げる。
「まずは前方の潜水艦から黙らせる、魚雷発射用意。」
「前部発射管開け。」

「艦長、目標2より注水音!」しまなみの水測員が叫ぶ。
「落ち着け、赤木三佐システムはどうか?」
「システムオールグリーン、有効距離設定値内です。」
「よし総員に達する、只今より本艦は目標2に攻撃を開始する。フォノニクスブレーカー発動後有線で魚雷発射、敵現在地点及び予測移動地点に4本用意!」
「兵装システムよし」水雷長が復唱する。
「フォノニクスブレーカー、撃て!」
「撃て!」一瞬鈍い機械音が響いた。

その瞬間轟天のホログラムテーブルが揺らいでそのままフッと画像が消える。
そして電子系統がダウン、艦内の照明が非常灯に切り替わった。
「どうした?なにが起こった?」
「敵潜水艦よりなにか指向性の音波が放たれたようです。詳細は不明、電子システムダウンしました!」

「目標2動きません!」ヘリから曳航されているMDA(磁力探知システム)からのデータ-は目標2がそこに留まっていることを指している。
「よし効いたか?」
そのタイミングに合わせ「ひえい」もMK41セルに装填されたアスロックを発射する。
「アスロック撃て!」
「撃て!」水雷長が復唱しミサイル士がスイッチを押す。
前部垂直発射セル(VLS)からアスロックが発射され短魚雷が一斉に轟天に襲い掛かる。

「システム再起動、ソナー及び通常探知システム最大域でスイープ、お客さんがくるぞ。機関は?」
「再起動成功、いつでもいけます。」
「魚雷探知アスロック6、正面4。」
「バラストブロー、後進全速!」
沈黙した轟天から再び低い音が唸りを上げ電磁航行システムと2重反転ペラが唸りを上げる。

「ソナー感、目標2動き出しました。」
「魚雷到達まであと10秒。」しまなみ副長永倉は手にしたストップウオッチを見やりながら告げる。
「到達後爆発信号を3秒遅らせろ。」動き出した轟天を計算に入れ山南が命令する。
「了解、信号3秒後・・・・・・・・・・・・撃て!」
海中爆発音が響く。
「どうだ?」
「待ってください、まだノイズが・・・・・・・健在です、目標2健在。バラスト排水しています。」
「深度を変えて頭を押さえる気だ。両舷全速交差ポイントへ。向こうの魚雷が来る前にこちらも移動する。」

洋上の「ひえい」も搭載ヘリ「シースパロー2」からの連絡を受け轟天の健在を知る。
「神宮寺として次の一手はどう打つ?」樋口司令が木崎に問う。
「魚雷が見えているなら0距離攻撃もありえるでしょう、ですが後退したとなると通常の探知能力。おそらくはこちらに肉迫しながらしまなみの攻撃を封じて例の短SAMのような兵器でこちらを攻撃。しかる後にしまなみと対する気でしょう。単艦ではあちらの戦力の方が上です。ですからこちらも損害覚悟でやるしかありません。」
「どうする気だ?」


「よし射線上にイージス艦が来るように遷移しつつ敵艦の懐にもぐりこみショットミサイルをお見舞いする。全艦洋上戦闘用意。」
「急速浮上中、深度200・・・・・100・・・・50・・・・・10」
その瞬間轟天を衝撃が襲う。
「なんだ?どうした敵艦の俯角内は外しているはずだぞ!」
「違います上部からの攻撃です!」
「ひえい」の前部砲塔が最大射角で上に撃ち上げて砲弾を落下させ近距離攻撃しているのだ。
「やるな木崎、しかしこの轟天のアマンダイト超鋼スチール装甲は120ミリ程度では破れんぞ!」
しかし立て続けに同じ場所に着弾する砲弾に流石の装甲も悲鳴を上げている。
そして二重に張られた木崎の次の一手が忍び寄っていた。
シースパロー2搭載の魚雷が浮上した轟天に目掛けて放たれたのだ。
連続攻撃を加えていたのは完全に轟天を浮上させずレーダーを展開させなくし目を封じる役割もあったのだ。
轟天の水測員が叫ぶ。
「艦長魚雷航行音2、後方から来ます。」
「しまったヘリか。急速潜航マスカー用意!敵潜の位置に留意しろ!」

「目標2注水音、潜航する気です。」
「よし左舷に回りこめ、魚雷発射管3番4番用意。」

さしもの神宮寺も一瞬ほぞを噛んだ。その時土谷副長がこの混乱時にもいつもの口調で告げた。
「艦長、ローレライ再起動しました。」

折笠は一瞬にして全ての知覚が取り払われた。それはまるで奈落の底に突き落とされ一切の感覚を剥奪されたかのようなものだった。折笠はそれが『しまなみ』の発した『フォノニクスブレーカー』のものとは知らない。が海龍が危機に陥った際に使用されたフォノンメーザーのような感覚があった。しかしこれはそれよりも指向性をもったまるで光の槍のようなものだったが。まるで永遠の暗闇を彷徨っている。そんな時間が永遠に感じられたその時光り輝く腕が自分に向かって延びて来るのをふいに感じ取った。その腕が自分を上にと引き揚げるまるで糸のようにシートに拘束されているはずの腕を思わず差出しその腕をとった瞬間脳内に光の奔流がほとばしり画像を結んだ。

まだ朦朧としている意識の中でうっすらと目を開けると海龍の操縦席についている加音の頭になにやらヘルメットのようなものと彼女の身体から這い出ているようにコードがコンソールやシートにつながれているのが見えた。

「魚雷、到達まであと5秒。」
山南はそこにいるだろう目標2を撃沈したと思った。
「いえ魚雷エネイブル(失探)外れました!」水測員が叫ぶ。
「まさか目が戻ったのか?赤木三佐どうなっている!」
「再起動に成功したのでしょう。こちらの再チャージにはあと20分かかります。」
冷静に分析する赤木を見て、何故彼女はこんなにおちついていられるんだ?と思ったがこの20分を目を取り戻した敵艦相手に持たせられるだろうか?背筋に冷たいものが走るのを山南は感じた。
「なにか手段は無いのか?」
「ないこともありません。フルチャージには20分かかりますが出力を抑え拡散させればすぐに撃てます。その場合先ほどのように完全に目を封じることは出来ませんが、敵の目をある程度ごまかし敵魚雷を自爆させることができます。」
山南の頭の切り替えは早かった。「よしそれでいく。通信手、「ひえい」とコンタクトはとれるか?」
「現深度では直接は難しいかと、しかし超長波を経由すればなんとか。」
「よし暗号回線で現状を知らせ。作戦変更だ。」

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で今度は轟天vs潜水艦&イージス艦です。
前回コメ欄でいただきましたacoyoさんのお題は次ぎの宿題ですね(^^;
とは言えここのけりを一応つけないと次にいけない感じになっているのでそのへんどうするか。
あと毎回長くなってきているのでもうちょっとさくっと纏めてあらすじ紹介の浜村純師匠のように2時間の映画を30分で語るみたいな方向にもっていきたいと思っているのですが・・・どうも書くとどんどん長くなるような・・(爆)
陸のことも書きたいし・・・あああ。


毎度ながら私、続きいいの考えたってのも歓迎ですよお~。(^^;)
その場合はこのエントリのコメント欄で表明及びUPをお願いします。一応エントリは私が立てていますが森と海さんと2人でこの妄想を組み上げたので私達2人に解る形を取りたいと思いますので。
アイデアもOK。その場合も同様にコメントとして投稿してください。

そこでまた溜まれば独立したエントリとして上げます。


この物語の登場人物一覧もあげておりますのであわせてどうぞ。
感想コメントも受付しておりますのでよしなに(^^)
「亡国の破壊神」または「深海に響く魔女の歌声」備忘録
本店の方にも特設サイト開設しております、あわせてどうぞ(^^)
っつても最近更新さぼってます(^^;がんばります(笑)
あとインデックス作りますんでそれもよろしこ~。
では毎度おなじみ締めのお言葉
それでは皆さんいざ、行かん。広大なる妄想の海へ!

by tonbori-dr | 2005-10-16 22:30 | 妄想特撮シリーズ