陰の季節を読んで
横山秀夫氏の短編集。
TBS系「二渡警視シリーズ」でドラマ化もされている。
サクっと読めるのが嬉しい。ちょっと電車の旅とか長距離バス移動とかで読むのに丁度いいボリューム。
テンポも良く元記者としての知りえたネタをうまく使って刑事ではなく警務課という内務の人間を主人公に組織間の軋轢や暗闘、苦悩をうまく書いている。
特に二渡警視はノンキャリながら若くして警視になったD県警のエース。
おいら不勉強なんで詳しくは解らないけれど国家公務員上級職の合格者たるエリートなんてえものはまず警察庁に入庁して配転されるわけでよく考えると地元警察のエリートはノンキャリエリートってのが居るというのは納得出来る設定だし目新しい感じ。実際二渡の上司である大黒警務部長はキャリアだが元々巡査スタートの警察官で一念発起して上級職試験をパス。しかし学閥が幅を効かす中央でははぐれ者、2軍の補欠扱いという説明がある。
そういう事実を知りえた者のちょっとしたリアリティが面白さを産んでいるんだろう。
その後の「顔/FACE」や「第三の時効」「半落ち」などヒットを飛ばしているのもそのリアリティをうまく活かし短いながらもディティールのしっかりした小説を書いているに他ならないと思う。
これ読んでて思ったんだけれど特殊な事情やその内容をあらかじめ映画ならトリロジーやTVなら大河ペースもしくは1クールとして構築するのなら長編小説をドラマ化するのもありだと思うけれど基本的に映画の元にするなら短編もしくは長編にして間を埋めるほうがいいなあと思った。
もちろん長編を題材にとりうまく仕上げた映画も無くは無いけれどあらかじめ情報量が半端でなく詰め込まれていると(ディティールとその話自体の流れも含めて)そちらに気をとられがちで映画もうまく乗り切れなくなってしまう。そんな時最小限のリアリティあるディティールを埋め込んだ短編ならばそれを膨らませるのもよしだしまたドラマの筋とキャラを立たすことも自由に出来る。
そういう意味でも短編は題材として扱いやすいんではないかと。
あまりにも冗長な作品よりも小粒できりりと締まった作品をうまく料理すれば面白い作品になる。
そんなことを読みながら思った。
by tonbori-dr | 2005-09-30 23:38 | book

