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「The LONGEST DAY」

6月6日午前0時15分(GMT)に連合国のヨーロッパに対するいわゆる第2戦線を開くためのヨーロッパ上陸作戦「オペレーションオーヴァーロード」いわゆるDディが発動された。
この戦闘の詳細な記録を著したコーネリアス・ライアンの「The LONGEST DAY」(邦題史上最大の作戦/ハヤカワ文庫)を元に名プロデューサーのダリル・F・ザナックが製作したのが
「史上最大の作戦(The LONGEST DAY)」である。
最近はスマート爆弾や精密誘導の巡航ミサイルで一気に殲滅、強大な軍事力をもって一方的な戦争や不正規戦(ゲリラ戦やテロ)などが一般的な戦争となっている。
よく第2次世界大戦は正義の戦いだと言われているがそれはヒトラーがどう考えてもあまりにも非人道的なユダヤ人排斥、虐殺を指揮したからでそれが無ければ単純に覇権主義に取り憑かれた男としてこうまで悪役とはならなかったかもしれない。(異論はあるかもしれないが)
そして連合国側は体制を整え徐々に圧倒していった。イタリア上陸によりイタリア側からの進軍にも対処せねばならないこの時にドイツ軍の一番の関心事は連合国がどこから上陸するか?
当時ドイツの首脳陣はカレーに上陸すると信じていた。何故ならノルマンディーは海峡の一番距離が離れているところだからだ。(それは映画の中でもドイツ軍のマルクス将軍が図上演習をするということを部下に話したときにマルクスの役割は連合国側であり自分なら意表をついてノルマンディーに上陸すると言っている!)そしてその連合軍の目論みはまんまと当たったのである。
その上この季節は天候があれ上陸に向かないとも言われていた。
そんな文字通りの大作戦の映画化をザナックはイギリス・アメリカ・ドイツの監督を使いその上役者もそれに合わせ喋る言葉も母国語で話すと言うリアリズムを重視した。
キャストは文字通りオールスターキャスト。これほどの物量と人員を使った映画はまあ稀だろうしこれは絵空事でなく実際にあったことを考え合わせるととんでもなくスケールのでかいものだったとういうことが良く解る。
まさにこの映画も「史上最大の作戦」だったのだとういことが。



ちなみにこの映画で語られることは殆ど実話である。
オープニングはドイツの支配下に置かれているフランスを描き出し一見平穏そうに見える中、レジスタンスが摘発される日常を描いていく。ここで登場するロバに乗ったドイツ兵の歩哨も実際にそうやって毎朝決まった時間に通っていたそうだ。
そしてノルマンディを含むドーバー海峡の守りを預かるのはドイツB軍集団司令官でアフリカ戦線で「砂漠の狐」の異名をとるエルヴィン・ロンメル元帥。彼はドーバー海峡の前で将軍たちにこう言う。
上陸はかならず行われる、だが奴らを一兵たりとも上陸はさせん。この水際で殲滅するのだ。最初の24時間が勝負の分かれ目になる。その時は連合軍にとっても、我がドイツ軍にとってももっとも長い1日となるだろう。|以上うろ覚えのロンメルの言葉|

これもその状況は違えどもこう語ったとある。実際には副官のラング大佐に語った言葉が元になっている。
そしてその日ロンメルは司令部を離れた。映画ではヒトラーに会うということのように見えるが出立前に妻へのプレゼントとしてパリで作らせた靴を見せている。実は6月6日は彼の妻の誕生日で映画の最後の方に彼が家族と団欒を過ごしているときに上陸を告げる電話が入り呆然とするシーンがある。
そしてドイツ空軍のヨーゼフ・”ヒップス”・プリラ-大佐も本によるとあんな感じの人物だったようだ。彼は生きて敗戦をくぐりぬけライアンに当時のことを語っているとのこと。
ジョン・ウェイン扮するヴァンダーヴォルト中佐(バンダーブーアトと映画ではなっている)が兵の前でするコオロギのカチカチも実際にあったようだが映画ではボルトアクションの音を間違って合図と思った描写もあったが鳴らしすぎて静かにしてくれという事があったとか。
あとショーン・コネリーがイギリス兵役で出ているのは有名だがロッド・スタイガーが米駆逐艦の艦長役でワンシーンだけ出ているとかバンダーブーアトの副官がSWAT(TV版の)ホンドー隊長(だったと思う)とかほんとにキャストも偉く豪華だった。
追加として「フライト・ナイト」の吸血鬼ハンター(但しTVの)ロディ・マクドウォールもワンシーン出ていたのを思い出した。

そして空挺部隊が上陸に先立って橋頭堡を確保するために降下するシーンは迫力のあるシーンで実際のサント・メール・レグリーズでの撮影も行われた。
戦後とはいえそれを再現する事にどんな胸中であったかは定かではないが今同じ事を出来るかと問われれば疑問だし今の戦争をそういう「形」で撮っても酷薄なものになると思う。
それはソマリアでの戦闘だけ描き出した「ブラックホークダウン」を観てもあきらかだ。
あと後半の最大の見せ場オハマビーチの上陸いわゆるブラッディオハマを「プライベート・ライアン」が再現して見せたが単純に「ブラックホークダウン」のような殺し合いだけを単純に撮っていただけのような気がする。
そういう意味でも戦争に関わった人々を上から下まで民間人から軍人まで(その割合に不満の方もいるかもしれないが)を描いているという点ではおいらは評価している。
ライフログ
史上最大の作戦 アルティメット・エディション
/ 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン





史上最大の作戦
コーネリアス ライアン Cornelius Ryan 広瀬 順弘 / 早川書房
ISBN : 4150501874

by tonbori-dr | 2005-06-06 23:24 | お気に入り