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映画『ランボー』についての覚書3

ということでこの映画『ランボー』について語るも最終回たる3回目。
といっても実はそんなに書くことは残っていない。

ただこの時代に『ランボー』が戻ってくるとしてヴェトナムの戦いを経て結局ヒーローになってしまったアンチヒーローの行く末を見届けることになるのかと。

なぜそんな感慨を抱くのか。それは『ランボー3-怒りのアフガン』が邦題『ランボー』がとうとう原題名になり当時アメリカが犯した愚をなぞったといわれるソビエト連邦のアフガニスタン侵攻により当時ゲリラ戦を挑んでいたアフガニスタンのイスラム戦士ムジャヒディンと共に戦うと言う話だからだ。

そして当時アフガニスタンに自由をもたらす為に秘密裏に、だが積極的に支援をしていたのはよく知られている。

だから今のアメリカ対テロ戦争などでよく批判の槍玉に上がるのは当時の情報機関が軍事訓練を彼らに施しそして今はその技術で攻撃されているという。

『ランボー3-怒りのアフガン-』もそういうお話がベースとなっている。
しかも当時は戦局が泥沼化しソ連軍が疲弊しているという話も聞いた覚えがある。
で撤退後か撤退前か気になったのでallcinemaOnlineで調べると88年の6月公開だった。
ランボー3/怒りのアフガン - 映画情報 allcinema ONLINE
ウィキペディアでアフガン侵攻を引くと88年5月から撤退を開始とあるので丁度そういうムードだったのであろう。いわゆる西側が共産主義を退けたと。
ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻 - Wikipedia
それが後年こういうはめになろうとは・・・いや一部の連中は気がついていたはずだ。イ・イ戦争の時だってホメイニ師がイランを掌握したときだって。ただ放置していたというか所詮は盤上の話と思っているからこういう事態を招いたとしかいいようがない。

ちょっと映画から話がそれた。以下余談。



そしてそんな流れを受けて撮られた本作品は既にランボーはセガールが演じる『沈黙の戦艦』のスーパーコック、ライバックと変わらない人になっている。というかこちらが先なのでライバックの原型というべきか(苦笑)
今回の任務は上司であったトラウトマンがアフガニスタンの非公式任務で消息を絶つ。
そのトラウトマンを救出に向うという筋。
またまた救出モノで丁度紛争状態のアフガニスタンが筋の舞台として良かったのだろうがまがりなりにもヴェトナムモノとしてのランボー(ヴェトナム帰還兵としてのケリは前作でついているにもかかわらず)前作の興行成績が良かったから作られたとしかいいようのない作りであったことは否めない。

それでも前回受けが良かった武器としての弓矢、コンパインドボウを使うなど荒唐無稽なアクションとしてはなかなかの見せ場が無いことも無い。
それはでヘリを落としてしまうという事。
もっともハインド相手にそれは無理がありすぎるのでホーカム(もどき)なんだけどパイロットが目を向けると・・・・まあそれで察して下され(苦笑)つうかどうやってハインド落としたか覚えてないし(爆)

ただまた余談に走るけど、最近RGPでヘリを落とせるのが当たり前になった感があるがRPGは無誘導なので近接しないと当たらない。つまりは複雑な地形で地上ないし建物に接近しているヘリに当てなくちゃいけない。だからRGPで飛んでいるものを落とすのは出来ないとか思われていたけど結構ゲリラが肉迫攻撃をしてくると懐に飛び込まれて撃ち落されるようだ。『ブラックホークダウン』はそのもっとも有名な例。それまでヘリを落とすことは不可能とまで言われていた。だがそれはMi-24ハインドが今も世界最高水準の戦闘ヘリであるからでRGPでは太刀打できない程の装甲を纏っているからじゃなかろうか。
それはかのヘリが兵員輸送も行えるキャビンを有していることからも伺える。
なので実際には誘導出来るミサイルを使うのが正しい。もっともそれは非常に高価なのだがアメリカはスティンガーなどの対空ミサイルをムジャヒディンたちを初めとするアフガンで戦うゲリラ達に与えた。
そのあたりはこの書籍が詳しい。
並木書房|SAS特殊任務
これは元SASの隊員の回想録でこの中でスティンガーの扱いを彼らに教育したとあるそうだ。
この話はおぼろげながらに知られていたようで1984年頃に発表されたジェラルド・シーモアの『攻撃ヘリ<ハインド>を撃て』の間接的な元ネタになっていると思われる。
そして『ランボー3』も間接的にはそういった西側の援助を下敷きにしているのは容易に想像できる。

だからこそ今観るとラストの(これだけはよく覚えているのだが)『アフガニスタンで戦うムジャヒディン(聖戦士たち)に捧ぐ』という文章が今となってはなんと皮肉に満ちた言葉になったのだろうと思うのだ。

そんなランボーが4度蘇ったとして今度はカンボジアとは・・・。
それはスタローンのアジア趣味なのかもしれないがもしかしてこれなら暫くは大丈夫と踏んだのか。
(いくらなんでもリサーチくらいはしているだろう)

それを考えると出てくるのは嘆息だけだ。実のところ第1作『ランボー』は嫌いじゃない。
いろいろな意味でロッキーシリーズで成り上がったスタローンがアクション俳優として新たな道を模索した作品としてもヴェトナムモノの亜流としてもなかなかのものだった。傑作じゃないが好きだったしこの作品には色々アイデアがつまっていると感心したものだった。

それに今回このネタのおかげで色々調べてもう随分昔に読んだ小説などを引っ張り出したり記憶の整理になったのは良かった(笑)

またこういうちょっと古い映画のネタはやってみたい。

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by tonbori-dr | 2007-01-21 01:34 | Movie