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今宵、水の星を杯にして、もしくは星の道標。「翠星のガルガンティア」

まあこんなタイトルを考えたのはこういうエントリを読んだからだ。
404 Blog Not Found:ロングピース社への対義提言 - 作評 - 翠星のガルガンティア
先ごろ最終回を迎えたアニメ、『翠星のガルガンティア』。
このアニメのシリーズ構成を(脚本は初回と最終回を担当)『PSYCHO-PASS サイコパス』『魔法少女まどか☆マギカ』虚淵玄が担当しているということで、最初から気になっていた。
先のクールは深夜アニメでメカ(ロボットモノ)がいくつかあったが正直最後まで観続けていたのはこれだけだった。
マジェスティックプリンスは心がときめなかったし、ヴァルヴレイヴは3回まで観たがドロップアウト(^^;
ちょっと脱線するけど、ヴァルヴレイヴは3回まで観て、なんじゃこれえええになったけど、若い人は突っ込みながらも楽しんでたり、ドンデン返しとかそういうスピード感溢れるストーリーでもりあがっているようだ。自分はまったく分からないけれどもしかするとコレが今のトレンド最先端でそれならそれでもいいと思う。
まあ単純に自分には合わなかっただけで。
こっからは適時ネタバレもいれつつ。

とガルガンティアだが、最初はヒディアーズという『トップをねらえ』の宇宙怪獣みたいなの?とずっと戦争をしている人類側の戦士、レドが人類側の命運をかけた戦いでワームホールみたいなの?で撤退作戦の殿(しんがり)を務めてたときにそのホールが閉じる際の時空間のねじれで遠くの星系へと飛ばされた。人型兵器チェインバーととも長い時間漂着し、人工冬眠から目覚めた先はある惑星だった。その星は表面すべて海に覆われ変わり果てた人類の始祖の星たる地球。そしてそこには大きな船団を組んで生きている人類の姿があった。というあらすじ。





海からひきあげられたチェインバーと戦争しか知らないレドにとっては戦争という状況の無いこの船団の生活はまったく未知の経験だった。そのレドの先生であり、相棒であるチェインバーは人型の兵器であるが、パイロットの支援「啓発」インターフェイスシステムと呼ばれる。その設定は、確かに上のエントリで語られているように神林長平作品の影響を受けていると察することが出来る。異なるロジックを持つモノたちとの交流という部分で二重にしかけられているから当然なのだが、自分は最初、先のエントリで言われているようにモスピーダではなく、装甲騎兵ボトムズのキリコを思い浮かべた。

だって長きに渉る戦争をしていた世界で戦争しか知らない少年が(まあキリコは設定年齢18歳だったけどあれはもう青年の体だったな)突然放り出されるってのはやっぱりボトムズでしょと。もっともそこに異世界(既にあれは異世界といってもいい、いや異文化か)交流ネタを組み合わせるのは面白いじゃないかと。ある意味戦闘マシーンだったキリコは一目見た女にいわば一目惚れ(そうとは知らず、徐々に人生を学んでいき、そうと知る、それはフィアナもそうだったけど)、そういう意味でもああボトムズっぽいわーとか思ってた。

それプラス海洋ロマンなわけですよ。何時、この世界では禁忌の乗り物潜水艦がでてくるか!と思ってワクテカしてたけど、そんなことは無かったぜ。まあ1クールだし潜水艦が無かったのはそれなりに理由があるので残念だけどそれでこの作品の評価が下がったわけではない。

これいいなあと思ったのは途中でレドが不器用ながらもなんとかこの世界でサバイバルしていこうという描写とそれを受けてエイミーたちが協力し、そのことにより両者の交流がうまれていく過程をちゃんと描いてたところだ。
最初は海賊に襲われた船団を助けてというエイミーの願いをただ状況の判断だけで受け入れ敵を殲滅したレドが、それを咎められ徐々にそこ街のルールをしっていくというの部分はまさにキリコが悪戦苦闘しながらも街場のルールを会得していくウド篇を彷彿させる、とはいい過ぎか。

だがそこでもチェインバーの働きは見逃せない。だから最終回を見て、先のエントリを読んで、その上で基礎知識として例えば神林作品を読んでいると、ああと膝をうってしまうのだ。

実際には重要なワードを発するチェインバーよりその後の。「くたばれ、ブリキ野郎」に涙した連中の方が多いだろうけど。ああいうのはいわば特攻であり「インディペンデンスデイ」の最後の決戦で農薬散布の飛行機パイロットだった親父さんが突っ込んでいくのと同じではあるんだが、大きく違うのはチェインバーは最後までパイロットの支援啓発インターフェイスシステムの本分をまっとうしたのだなという点だろう。

だがそれも13話をかけてレドの側にはずっと彼(チェインバー)が寄り添っていた描写をそれほど彼が空気のように存在しているということを続けて描いたことに他ならない。
だからこそそれだけなるほどとなったわけで。いや本当にいいもの観させてもらいましたという気持ちです。

そうそうヒディアーズ。最初は宇宙怪獣みたいなのかなーと思ってたけど終盤の入りにクジライカの段でああこれは地球産でなんかの兵器として開発されたんかなーと思ったら…。あの通りだった。
でその真相を記した記憶キューブの映像がなんとなく『エースコンバット3エレクトロスフィア』を思い出させた。アレも従来の技術(枯れたテクノロジー)で良しとして人類の繁栄を望む側ゼネラルと革新的な未来を望む一派ニューコムの争いを想起させるもので、そういう点でもボトムズ、エースコンバット好きなおいらにとってはちょっと、おおっってなりましたよ(笑

あと、そういうちょっとした時間の流れの部分で少しだけ谷甲州さんの航空宇宙軍史なんかも想起したり。航空宇宙軍史的には地球は別の感じになってんだけどね。結構何故戦う?という部分や人の動きってのは航空宇宙軍史な部分を感じましたですよ。それにガルガンティアのあの部分も。極めて航空宇宙軍史的ではないかと思います。この機に是非再販求む~w

by tonbori-dr | 2013-07-14 00:17 | cartoon