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トレーニングデイ短評

スルー映画祭り、勝手にアカデミー賞関連ということで
史上2人目の黒人俳優としてアカデミー主演男優賞に輝いたデンゼルくん渾身の悪党ぶりを観るために「トレーニングデイ」を。

結論から言うとデンゼル・ワシントンという人は上手い俳優さんだ。しかしどこかしらいい人オーラが醸し出されている(苦笑)
なもんで彼が登場した時も口は悪いが仕事の出来るベテラン刑事という風にどうしても見えてしまう(^^;いいとか悪いとかじゃなく彼が今まで演じてきたキャラクターが悩みを抱えそれでも自己と向き合い最低の状況でもその時の最良の選択を成す人物が多かったからだと思うのだが。
それでもココではワルの中のワル。悪徳刑事を演じ切ることに没頭しているのはさすが演技派。



本来ならイーサン・ホークの演じるジェイク・ホイトが主人公であろうがデンゼル演じるアロンゾ・ハリス刑事がその行いに対しての報いを受ける映画でもある。
故にアロンソが主役となるのだが物語の語り部としてそしてケリをつけるためにホイトがいる。
ホイトはLAPDの警官。パトロール警官から麻薬捜査課への転属願を出してやっと受理されベテランで麻薬捜査課を取り仕切るアロンソと1日組み麻薬課の捜査を体験することになる。
最初に向かったのはダウンタウン。アロンゾの息のかかった少年の密売人が麻薬を売った相手を取り押さえる。買ったのはカレッジの学生風情の若者3人。アロンゾはマリファナを押収し彼らを見逃す。いきなりの事に戸惑うホイト。しかしアロンソは小物を捕らえても仕方が無い、大物を捕まえるにはまず犯罪者のことを良く知らなければという。そして押収したマリファナをホイトに奨める。
拒否するホイト。ならば街のパトロール警官に戻れと宣告するアロンソの剣幕に推され仕方なく吸うが酩酊してしまう。そして2人の向かった先は住宅街にある一軒家、情報屋の家といってドアをノックするアロンソ、その家の主ロジャー(スコット・グレン)は2人を迎え入れる。親しげに杯を交わすアロンソとロジャー、ロジャーはホイトに「お前は若い頃のアロンゾに似ていると告げる。
街を巡回するアロンソとホイト。ホイトは路地でレイプされようとしている少女を見つけレイプ犯に掴みかかるがアロンソは2人を脅して放免してしまう。何故と問い掛けるホイトに小物ばかりを捕まえてどうすると問うアロンソ。「従順な羊と獰猛な狼の2種類がいる。狼を捕まえるなら狼になるしかない?おまえはどちらだ、狼か羊か?」と。
アロンソは強引なやり方で捜査を進め密売人を痛めつけあげく押し入った元締の家から現金を奪う。次第にエスカレートする彼のやり方にとまどうホイト。
そして市警のお偉方と地方検事とのやりとりの後ホイトはのっぴきならない状態に追い込まれることになる。

というあらすじだがホイトがあくまでも正義感の強い普通の新人刑事を演じているけど「NARC」とは別の意味でホイトの方が疲れ切っているように見えるのは何故?とまあそれはいいとしてもカットされた未公開シーン集を観るとかなり気を使ったのがよく解る。
アロンソが新人時代を振り返る場面やホイトに語りかける場面。スラム街にいる彼の情婦サラ(演じているのがエヴァ・メンデス)の家を後にした場面での打ち解けたシーンなど。
こういったシーンがあれば間違いなくちょっといいヤツという思いが強くなったはずだ。
だからこそのこれらのシーンカットは理に叶っている。
そこまでしてワルの演技に賭けたデンゼルくんは偉いなあ(笑)
あと地方検事役でトム・ベレンジャーがちょっとだけ出ている。というか本来ならアロンソの役回りはアンタだろ!と突っ込んでしまったのは秘密だ(爆笑)
しかしアントワーン・フクーア監督はMTVのクリップのような映像だなと思ったけれどこの人チョウ・ユンファのハリウッド進出作、「リプレイスメント・キラー」を撮った人だった(^^;
最近は「キング・アーサー」とか。
でも結局徹頭徹尾デンゼルくんのデンゼルくんよるデンゼルくんのための映画だったことは間違いない。

by tonbori-dr | 2005-03-01 00:51 | スルー映画祭り