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漆黒のシェーン。『ドライブ』

巷で高評価だったこの映画も観たんですが、

取り急ぎ、マン監督にも近い感覚ながらこのDT感痺れますなぁ。あと非常に西部劇ぽい。観といて良かった~。

これはツイッターでつぶやいた感想。
ダークなシェーンって感じ>ドライヴ。シンプルだからこそ突出したキャラクターが映える。いい映画でした。音楽がいい映画に外れなしだなあ。

ツイッター感想より

とつぶやいておりました。
なんというか「ザ・ドライバー」にも通じるゲッタウェイドライバー、昼はハリウッドのスタントドライバーとそのコーディネーターが経営してる工場で整備工。そんな男がアパートの隣りに住む主婦と心を通わすのだが,
彼女の夫が刑務所から出所してから徐々に歯車が狂い始める…。

アウトローがその宿り木にふととまったときに心通わした女性のために命をかけるというのはまさに西部劇でよく語られるストーリーそのもの。
他にも日活無国籍の渡り鳥シリーズもそうだし、なんとなれば寅さんもそうだよね(笑)
ただ作品的にはそういう部分が骨格ではあるけれどすごく禁欲的でドライバーと彼女がデート(子連れだけど)の時も妙に禁欲的(子供がいてもエロスを醸すことは充分できるのに)なので童貞的だなと思った人は多いみたい(苦笑)

抑制をきかせた描写とその反動のようなバイオレンスシーン。そして選曲の妙が光るサントラ。
監督はアメリカ人ではなくデンマーク人のニコラス・ウィンディング・レフン。
初めて彼の作品を観るがやはりアメリカ人では出しにくい硬質感のなかの湿り気が妙に画面に影響している。
そしてタイトルバックが蛍光ピンクなのも印象的。こういう使い方をする人はただ事で無い画を撮れると始まったときに期待が高まったがそれにたがわぬ作品だった。
闇に浮かぶそのサインはいったいなにを意味するのか…。




主人公役ライアン・ゴズリングは何を考えているのか計りかねるドライバーを好演。妙に冷めているのに一瞬で爆発する部分など、純朴さと計算高い冷静さ、そして狂気を兼ね備えた難しい役を演じきっている。

だが特筆するべきはアルバート・ブルックス。どちらかといえばいいおっちゃんか、情け無いチンピラ。ボスだとしてもあたふたする貫禄の無いところが多いのに、まるでマイケル・マンの作品に出てくる一瞬にして相手をあの世に送ってしまうような犯罪者を好演。ベテランがこういう役をすると画が引き締まる。

他にロン・パールマンなど地味だがいいキャストが揃った事によりまた1本素晴らしいクライムムービーが誕生した。いや本当にツウ好み。
ちなみに全篇、カーチェイスが見たい人は悪いことは言わない「ワイルド・スピード」シリーズをオススメする。いやあっちも別の意味でも好きだけどね(笑)こちらは映画的な余韻や映画が好きな人向けです。

まさに現代を駆けるアウトロー、漆黒のシェーンだなと思った1本だった。

by tonbori-dr | 2012-05-28 23:12 | Movie