やがて恐ろしきかな『スーパー!』

最初は『キック・アス』のサイドB(裏面)な趣きがあるのかなと思っていたが、よくよく考えるとこれ結構シンプルかつ複雑でなんともアメリカらしい映画だったよ!

なんのこっちゃと思われるかもしれないが、あらすじはこうだ。
ダイナーでコックをしている冴えない主人公フランク。彼のこれまでの輝かしい瞬間は2回。偶然出くわした強盗が逃げ去った方向を追跡している警官に教えた事と美しい妻、サラと結婚したこと。そんな彼女が手を切ったはずの麻薬に再び手を出してドラッグディーラーのジョックの元へいってしまった。そんな彼女を何とか救い出そうとするものの上手くいかないフランクにある晩、神の啓示が!それにより彼はヒーローになることを示されお手製のコスチュームに身を包みクリムゾンボルトとして町の悪党を退治し悪党の親玉(ジョック)から妻を取り戻すまで戦うことを決意。ひょんなことから知り合ったアメコミ店のアルバイトでちょっとネジが飛んでるボルティーことリビーとともに町のダニどもを退治することになったのだが、そこには予想外の展開がまっていた…というお話

アヴァンからブラックなコメディな匂いが立ち昇り、OPにアニメーション。アメコミ店でコスチュームヒーローで超能力の無いヒーローの戦い方を研究したりと元々ギークでなかったものの半ばパラノイアチックに準備を進め街で悪党を退治しようとじっとまっていたり、映画館で入館待ちをしている時に横入りを許さず、突如着替えてボコるとか、武器はモンキーレンチだとか、『キック・アス』をさらに痛くしてファンタジーではなくブラックなコメディにしようとしているのかなと思ったらさらに『ダークナイト』にも通じる、闇から人々を守るには闇にならなければならないという部分も含みつつさらに予想を超えたエンディングに突き進む。

一部でハッピーエンド?とついているけれど、どっちかといえばこのエンドを観て、なんだろ?違和感をずっと感じていてやっと思い出した、これは『未来世紀ブラジル』であり『タクシードライバー』だと。
どちらにも共通したものを感じて足して割ったような感覚だった。ちなみにパンフの解説にも町山智浩さんが『タクシードライバー』との関連性を書いている。他にもいろいろ引用があるということも書いていて興味深かった。(トラウマ映画館に掲載されいた映画も書いてあった)

特に彼が神の啓示を受け(子供向けカートゥン番組で放送されていたマスクヒーロー、ホーリー・アヴェンジャーが時々現れて助言を与える様は笑えるけどゾッとする。非常に秀逸なシーン。

エンディングまで目が離せないまさにキッチュでハードなダークヒーロー。ちと内容に毒があるので興味のある方は注意してご覧あれ。でも面白かった!

「スーパー!」の映画詳細、映画館情報はこちら >>



主人公のフランク/クリムゾン・ボルトにはレイン・ウィルソン、主にTVドラマに出てる俳優さんだがエミー賞を受けているドラマに出ている達者な人。トランスフォーマー/リベンジにもサムの通う大学の教授役でちょい出していた。彼がそのフランクという人物に説得力を持たせる演技をみせている、まさにグッジョブである。
リビー/ボルティーにはエレン・ペイジ、ちょっとぶっ飛んでる女の子をこれまた『JUNO』や『インセプション』で見せた顔を違う演技で演じている。恐ろしい子、エレンwwみたいな。
フランクの妻にはリヴ・タイラー。へえと思ったがいやよろしいんじゃないでしょうか。タイプキャスト的だからいろいろはまってたし。
そして悪の首魁(笑)ジョックにはケヴィン・ベーコン。もうなんかいっちゃってるけど、その割にはまとも?でもやっぱりおかしい、悪人をこれまた飄々と演じている。性格俳優の面目躍如っすよねな演技はやはり貫禄勝ちでしょうか、そうですか。





ネタバレ!!!!!
なんかさいごのエンディングが(クライマックスの凄さもあいまって)あんだけやっててハッピーエンディングじゃね?という人もけっこう目にしたんだけど…そうだろうかな。これは不気味な、しかも重いエンディングだと思うんだけどね。町山さんの言による「タクシードライバー」から考えればおのずと明らか。まあその点でもとってもアメリカらしい映画だと思う。
[PR]

by tonbori-dr | 2011-09-10 00:33 | Movie