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今、この作品を観るという事「ジャガーノート」

ということで、ブログ・DE・ロードショーで今回、選者として選んだ1本が数ある映画の中でもコレにしたというのはやはり震災が影響していたと思う。

告知記事では冗談めかして書いていたが「史上最大の作戦」とか「クライマーズ・ハイ」も考えたし、未だ観ていなくて皆さんと観てみたいという作品も考えてもみた。例えば「市民ケーン」とか(名作の誉れ高いし実はネタバレであらすじは結末まで知っている!が未見)も考えたけどもやはりプロがプロらしく、でもそれぞれの人生を背負って、なおかつ責任を全うするということが今のこの状況にぴったりなんじゃないかと最終的にこれにした。

果たしてどうだったかといえばやはりそのチョイスは間違ってなかった。
少なくとも自分の中ではそう思えた。
途中である台詞。
「問題は技術的な面だけだ」
これは対策本部にいる政府エージェントのセリフだがそれに対するイアン・ホルム演じるポーターのセリフ
「あんたにとっては技術的実習だろう!外交手腕の見せ所だな!人の死も技術の問題か!」
など台詞がいちいち突き刺さる。またこの後の台詞もガツンと来る。
他にも政府エージェントに「行動予定は?」と聞かれてポーターが金を払うというとノーというエージェントや、船長がファロンに「これは私の船だ」というと「明日の朝までは私の船だ」というところなども責任を負うファロンの自負心が見える。

ファロンの厚顔不遜な物言い、不敗のチャンピオン、そして部下を気にかける細やかさ、だが一番の部下で右腕のチャーリーが処理に失敗し死んでしまった時に見せる弱気。それを船長だけに吐き出してから、何事も無かったようにまた爆弾に立ち向かう。
彼らはいつもギリギリの選択を求められる。失敗すれば死んでしまう。割り切っているとしても恐怖はある。だが彼らは投げ出さない。

他の登場人物も自分たちの出来る範囲での責務を果たそうとしているポーターも船長も。船の宴会部長カーテンさえも。いや彼ちょっとやぶれかぶれになっててバニスター夫人に慰められてたが(笑)

以前に書いたエントリはこちら。
web-tonbori堂ブログ : ジャガーノート

映画も70年代ならではの見せ方で堅実。船での様子を見せた上で爆弾犯からの電話でいきなり緊張感が高まる。ほとんどをロケーションで撮影されたようでそこもリアリティに貢献している。
最近の映画はスピードアップに腐心しているが一方丁寧に描写することをちょっと忘れがち。そこんところは30年以上の前の映画だがこちらが上。まあ特殊効果諸々は今の映画のほうが上なんだろうけど。

元々爆弾というものをガジェットとして持ち込むとタイムリミットの緊張感が高まるが、それプラス船という空間は逃げ場所が無くいったいどうなるという部分で一層緊張感が上がる。
そしてテロに対する国の態度というのは今ではどこの国でも同じだが結局数字でしか物事を見ていない、そういう冷たさもよく描けている。その歪みが何を産み出したのかも。

ファロンには名優、リチャード・ハリス。「殺し屋ハリー、華麗なる挑戦」や「ワイルドギース」「カサンドラクロス」に出演。先頃惜しくも他界したが「ハリー・ポッター」の初代ダンブルドアも記憶に新しい。
スコットランドヤードのマクラウド警視にはレクターakaアンソニー・ポプキンス。ソブリン海運専務ポーターをビルボakaイアン・ホルム。船長はオマー・シャリフ。チャーリーを曲者俳優デイヴット・ヘミングスが脇を固めている。

今回久しぶりに見直したことになるんだけども、大空港とは違った意味で広がりのあるグランドホテル形式の話でもあるなと実感。そしてこれを手本にしようとしている、またはネタ元にしているお話のなんと多いことか。そういう意味でもよい映画だったなと再確認。そして観てくださった方に感謝。

by tonbori-dr | 2011-07-04 02:02 | Movie