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柳の下には3匹もいない。「踊る大捜査線THE MOVIE3」

最初にご注意。微バレしております。完全シャットアウトで臨みたいという方は観てからお越しを。
ただ根こそぎ拾っておりませんので、参考でという方はご随意に。



邦画史上最大の興行収入を上げた前作より7年。いかりや長介という重鎮を欠いた中、どのような復活をとげるのか注目の集まっていた「踊る大捜査線 The MOVIE3-ヤツらを解放せよ」が3日公開された。最初は落ち着いてから観にいくかと思っていたが雑音入ってから見るといろいろ迷いが生じると思ったので急遽、日曜日の最終回に観にいくことにした。

知ってる人も多いだろうけど私、tonboriはいわゆる「踊大捜査線」の公式サポーターたるネットワーク捜査員である。ネットワーク特捜本部にアクセスできる方なら私のプロフィールを見ることが出来るはずだ。とはいっても前作「踊る大捜査線 The MOVIE2-レインボーブリッジを封鎖せよ」に関しては辛口な事も書いた。

でNW捜査員としては残念ながら今回もまたしても同じような事を書かざるを得ない。
ただ最初に書いておきたいが、あなたがずっぽり踊るにはまっててTHE MOVIEはもちろん歳末SP秋の犯罪撲滅SP、もちろん番外編初夏の交通安全もっていう、ズブズブの踊ラー(今作った造語、いわゆる踊るファン)ならたぶん観て楽しめるだろう。実際、自分の中の踊ラー部分が魚住さんやスリアミ、緒方くんのやりとりにはクスリとさせられたし、個人的にはモブキャラ探しには全然興味が無いが、そういう楽しみ方も出来るようになっている。(いわゆるハイパーリンク)また登場キャラクターのアンサンブルと青島の牽引力がこの作品の魅力と思っている人には満足できるだろう。

だけど昨日の上映最終回に2時間半観たわけだが、ストーリーの構成がちょっと納得できない。
詳しくネタバレすると興ざめする方もいるだろうし事細かに書かないけれど(それでも情報遮断したい人は注意。)やっぱり予告編で思ったことネタがやっぱりそのままだったということと、そのオチの落とし方のタイミング。踊ラー的にはあそこであのオチを持ってきて、キャラごとの反応を見せたかったんだろうなというのは分かるよ。それは多数の踊ラーの反応は多分賛同だろうけど。でもそれは踊るっていう呪縛に捕まってかえって捻じ曲げた印象がする。自分の中では分かるけど、アレは無いなあって正直思いました。
それと「踊る」って基本コメディドラマと前々から思ってて、シリアスにコメディのネタとオチをもってきた、いわゆるコントがベースになってると前々から思っていたけど、君塚さんはコメディ出身ではあるが、シリアスでも書ける人。でも「踊る」に関してはTHE MOVIEの頃から「踊る」に踊らされている、いや囚われれいるような気がする。それは多分、亀Pも本広監督も同じで、皆さんよく「これは踊るだよね」とか「それは踊るじゃない」というジャッジをしたっていう話がインタで見られるんだけどそんなもんは特段決めなくてもいいんじゃないだろうか。

公開時に発表された大物ゲスト、キョンキョンもそうなんだよね。彼女の演じているのはサイコキラー。公開時はレクターっぽいキャラだったけど今回は…いやこれを書くと直接的すぎるのである漫画の登場人物のような事を言ってるなーっていうキャラ(実は最初からそうだった、そういう意味では先にいってたなーww)でシリアスなんだよね。そんで今回本店からの室井3号?調整役鳥飼(小栗旬)もそうなんだなー。そういうところはオチで言えば寅さんの人情部分での寅さんがいいことを言って(もちろんここでの寅さんの役は青島だ。さしずめすみれさんはさくらさんか。)シメというんだけど人死にでてる話なんでやっぱり空気としては深刻なんだよね。でもそこは正攻法でいってるのでやはりバランスがおかしい。ここでも踊る作法という空気がいや踊るならそうでしょっていうことでファンは納得できても、普通に見ると???な部分が噴出してくる。

基本作法なんてなくて、踊る大捜査線ってカンバンがあればそこに彼らがいればおのずとストーリーは転がるのだから。そういう意味ではモジュラードラマになる要素を多く含みながらも映画になっちゃって1はともかく2が大ヒットして、色々こうなっちゃったのは非常に残念。まあ3もそこそこヒットしてるようだけど。
「踊る大捜査線3」前作対比102%で興収100億突破へ : 映画ニュース - 映画.com

うーんなんだろか、正直、これは2の時にも書いたけど他局が某2人組を育ててやってるのを見て(後発なんだよね、「相棒」、あ、言っちゃった)やっぱりドラマシリーズを丁寧に作っていって欲しかったな。それだけのキャパはあるしゲスト脚本家とか迎えて他にも試せることはあったと思うんだなあ。

それを表しているのは、実は今回一番面白かったのは宣伝用のコント、「深夜も踊る大捜査線」とか未見だけどケイタイ動画の「係長青島俊作」(庭ユーザなんで見れない)らしいっていう話を小耳に挟んだときにやっぱり上に書いたことを思っちゃったわけ。
亀山さんは映画セクションのボスなのでご自分では言い出せないのかもしれない。またそれを提言できる人がいなかったのかもしれない。でも、ここまで世界観が広がったものを「TV局」として使わない手は無いと思うんだけど。「交渉人」だって他局が結局手をつけてしまったけれど、十分面白い物が展開できる素材だったのに。

まあヒットの具合では4ができるかも知れないけれど正直ドラマに帰って来い。それが私の結論です。だって「ロバが旅に出ても馬になって帰ってくるわけじゃない」んだから。あれこれはどっかで最近書いたぞ(笑)

「踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!」の映画詳細、映画館情報はこちら >>



余談
こっからは激バレです、注意!








そのなんというかすみれさんのラストの台詞。アレは踊ラーとしては分からんでもないけれど、初見ファンやそれほど思いいれの無い人には??の連続になると思う。というか2回目で意味が分かりましたっていうファンは優しいよ。普通の人なら初見で「はぁ?なにいってんだ?」て終ってしまいます。分かってやってたという話をどっかで目にしたがそうだとすると 100億のブロックバスターを狙ってる作品としては不親切かも。もちろんそういう不親切さがリピーターを呼ぶのかもしれないけれど、映画ってのはまず初見で引き込めないと何度も見てくれないんじゃないかな?

そして草壁中隊長、爆処理班長は(名前が眉田克重、それどこのアナグラム?みたいな)いいとしても無理して木島は出す必要あったかなー?いや兄貴がちゃんと踊る本編にも噛んで踊ラーとしてはうれしい反面、アレなら出す必要あったか?みたいな。先の2 人は出番が少なくてもというか、もともと少ないのが想定されている方々なんでいいんですけどね。使い方としてもあまり間違いも無いし。けど木島ってスピンオフで1本主役張ってしまったアクのあるキャラだし。(その流れで言えば眉田さんも、木島と交渉人でアジを出しすぎて今回の扱いは残念だけどもともとそういうキャラだったなーっていうのはある。)そういうキャラの出し方とかを考えてもやっぱり連ドラ展開脳なのでそうなるのかなーと(踊ラー的にも)

そういう意味でのキャストは強行犯係、ちと物足りなかったかな。今回新編成になってるんだけど篠原夏美(内田有紀)だって、初見の人には誰?になるだろうし、雪乃が真下の奥さんになったよという情報とかはあっても、今回出てないから雪乃の代わりか?みたいな話にはなるだろうし、で周辺でゴシップが飛び交ってというのも大人の事情にしてももうちょっと処理の仕方があるんじゃないかとなったり。マイコン刑事にカンフー刑事とかネタキャラなのにベタだしとか、八戒はいつお師匠さんというのかとか(現場ではそう呼ばれていたらしい)まあソースはそこらへんゴロゴロしてたにせよ、情報遮断して、楽しみにしている人や、初見の人にもちょっとした気配りでスルーさせてほしかったなあ。(踊ラーとして)
具体的には雪乃が出ないのは(劇中の理由としてよ、オトナの事情置いといて。)産休のようなのだが(ラストで真下から明かされる)これはストーリーの進行上、とくに影響を与えないんだから最初の方に言っておいてもよかったのでは?そういう細かい部分とか。拳銃盗難に際しても銃弾が装填されているというのは、大きくは無いけれど2時間半もの長い話ならもうちょっと気を使って、「拳銃と実弾が盗まれた。」でよかったような。説明台詞を排除したいのは分かるけど、歳末警戒SPで拳銃携帯シーンをしっかりやってるんだからやっぱり気になるよ。あれはディープ踊ラーはどう思ってるのかな?スルーでいいのかな?って思った。
(小耳に挟んだところによると雪乃のくだりはユースケが入れたという話が)

まあ映画にうるさ方のブログとかネタつっこみ系の方々はこぞってさらにココがすべってるとか、ヘンだよと書いてくるだろうけど(いやお前も書いてるやろというのおいといて)どうしたって突っ込まれてしまうのはしょうがないかなあって感じです。というか反対にそういう映画好きに絶賛受けるという画が見えないし想像できない。

踊ラー的には悪くないシーンもあった。それは魚住さんの出てくるシークエンス(魚住さんは警務課課長になった)とか盗犯課中西係長のシーンとか。スリアミとか。あと強行犯係メンバーとのやりとり、すみれさんとのやりとり、おなじみのキャラがっていうシーンはね。でもそれなら2時間ドラマでいいじゃんという非難があつまりそうですね(^^;。

あと織田くんは青島がやっぱりはまり役であるなと。もうここらでこれを再起動とするならTVドラマでもういちど『捜査を立て直す!』でやってみるのもいいかも。ギバちゃんは相棒の官房長ポジションで基本的にはオグリンとかがさーなんか立ち回って、今までの室井&新庄ポジションで、まあ「相棒」の浅倉のように闇落ちとかも面白いな(笑)で、スタートは2 時間SPで正月はもちろん元日SPなわけですよ。そんときはお約束の木島、草壁、爆処理班長ご出演で(爆笑)いや結局3月に別館で書いたような話にオチたなー(^^;やれやれ。まあそれがでもそれがTVドラマからの始まった踊るが入る道だと思う。


追記:
ざっと、いろいろ他所様の感想みて、電源落しのネタが分らない人が多かったみたいだが、
時々TVでやってる割にはもう覚えられていないのか、
あれは「ダイ・ハード」だと思うんだけどなあ。電源カットで難攻不落の金庫が空いちゃうあれ。
それとパンフで「野良犬」オマージュってあって「野良犬」どんな話か忘れているので早く観ないとと思いました(^^;

追記:10/07/11
宇多丸さんのシネマハスラー、ポッドキャスト聴いた。
基本酷評。しょうがない。それから比べたら自分の感想はまだまだ踊ラー的な視点で暖かい眼差しを向けてるよなってマジに思う。いや本当に。だって野良犬の事だってスルー気味にしてるし(苦笑)スカンクとかね。

でもこのままだと折角のシリーズをすり潰すことになりかねない気がした。というのも宇多丸さんが逆算的にTVシリーズのダメなところがという話が出たときに、あ、それはヤバイなと。
本格的にそうなる前に、TVのフィールドに、そして他の脚本家や演出家を取り入れないと今までのファンも取り逃がすことになる。コアファンが多いからといってあぐらをかいていても逃げる時は皆速いのだから。
もう止めることは出来ないのかもしれないけれど、折角刑事ドラマの可能性の一つを切り開いたシリーズが散々なままで終わっていくのはファンとしてつらい。

追記:09/07/14
というか「野良犬」っていうHNは世間からはぐれた者たちっていう意味(押井風に)じゃないかとか。
もう押井&伊藤でシュールな湾岸署を描いてシメもええなあーとか(激笑)

by tonbori-dr | 2010-07-05 23:34 | Movie