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ベガマンはもぐらを見つけた。「裏切りのサーカス」

「裏切りのサーカス」の感想を書いた気になっていたが、実はツイッターでつぶやいていただけだったので挙げておこうと思う。

今年はスパイ映画が面白い年かもしれない。邦画の「外事警察」、洋画の「アルゴ」。
まだ未見だけど老舗の007最新作「スカイフォール」

もともとスパイ物は作品としていろんなテーマを落とし込みやすい。

ル・カレ御大のこの作品も古びないテーマが内包されてる。
まあ今のエスピオナージュはボーントリロジーとかに代表されるようなアクションも必須みたいなところもあるけど、ここまで冷徹に描ききることが出来るってのはまだまだやれば出来るじゃないとも思う。

もちろん時代設定込みの話になるけれど。そう東西冷戦下のKGBとMI6、CIAが人知れず活動していた頃だ。いや、今ももちろんそうだけど、すくなくともヒューミント(対人情報収集)が頼りの時代ではなく、シギント(通信などを中心とした情報収集)が中心の時代とは違う、人間くささがそこにはある。

特筆しとくべきはタイトルバック。なんというかタイトルは映画の顔。あのタイトルの出方はちょっとぞくっと来たよ。それでもこの作品を観た後だと、このクルーで、「スクールボーイ閣下」や「スマイリーと仲間たち」を映像化して欲しいとも思った。いろいろ説明不足というか性急さもあったけどかなりのレベルのエスピオナージュ。イギリス映画はほんとこういうのが上手い。暗い、しかも救いが無い(事も無いけども)重い話は独壇場。でもジョンブルは武士なみに誇り高き人種なのよね。

ただあの原作をよくぞここまで映像化!という部分と、え?そこはそうするのか?とかという部分があったことも事実。だがキャスト陣の醸す雰囲気や映像は非常にすばらしい出来であった。また追加改変されたシーンも映画的なエモーショナルをおいらは感じた。

とはいえこの作品の原作小説も冷戦下のスパイを活写しているということと、キム・フィルビー事件(実際にあった戦後最大の2重スパイ事件、イギリスの情報部幹部がソビエトのスパイだった)を下敷きにした小説は幾つかあるけど、その中でもスパイ小説の大家、ジョン・ル・カレの解釈をベースとし、さらには自身の創造したキャラクター、スマイリーを語り部にした3部作の端緒としても興味があるなら是非、読んで欲しい1作である。(原題名「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」)変わったタイトルだがそれが劇中で分かるので。ブログタイトルにしたベガマンも同様。

それと、まあ原作しってる人なら知ってるだろうけど、スマイリーの容姿はオールドマンとは違う。だけどスクリーンに登場したとき確かに彼はスマイリーだった。にしてもアレリンは原作で想像してたちよりかなりディフォルメされてるっぽいwそしてギラムは若造っぽいw
ゲイリー・オールドマンの演技は「レオン」や「フィフィス・エレメント」などのテンション高めではなく「ダークナイト」のゴードン警部をより抑制した感じで原作の姿形はともかく雰囲気とか振る舞いはああ、こんな感じだと。最初、ゲイリーのスマイリーで奥さん、ああなるかなあと思ったが、ああそうなるわと思わせてくれる演技はさすがでござった(笑)
出色は情報部の前任部長、コントロールを演じた、ジョン・ハート。彼も想像とは違うんだけど、やっぱりコントロールなんだよね。そこはただただ名優の演技に驚嘆です。

あと古いイギリス車好きにはたまらん画がバンバン出るので英車好きもいくと吉かもしれない。(これはマジ。ギラムのクルマが古いローバーとかたまりませんわ)

先にも書いたけど続編の映像化、実は動き出しているようなんでそこらへんも期待しつつオススメの1本
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by tonbori-dr | 2012-12-25 22:08 | Movie

毎度のことながら『プリンセス・トヨトミ』

関西ではまだムーブオーバーやっとるんだけども、まあ地元民としてはやね、『阪急電車』と秤にかけてこっちにいったわけなんよ。やっぱり大阪国民やしというわけやし(笑)
で原作読んだ前提での感想ということでそのあたりはまあなんちゅうかとめおいてもろうてね。がっつりネタは割らんけどまあ大阪弁でいきますんでそういうことでよろしくちゅうことで。

なんやろうなあ、キャストには非が無いし、演出もそんな目くじらたてるほど悪くは無いわけなんやけども、なんやろうかなあ脚本がちょっともにょる(^^;
いやホンというより原作からの改変部分があまり上手くいってないという印象やなあ。
大きいのはキャラの変更。いや、じゃこ屋がでてけえへんのは分かる。キャラクター増えすぎるし、しやけども主要キャラクターの性別変更はどないやねんとまあそういうこっちゃ。

綾瀬はるかっていう女優さんはやね、天然ボケをさせると輝くと思われとるみたいやけども、同じように万城目先生の「鹿男あをによし」で原作キャラを女性に変更したのが上手く行ったからちゅうて、今度も綾瀬たんありきで原作キャラクターを男女逆転させてみたでっていうのが、その残念ながら上手く機能していなかっんちゃうんっていう感じでどないや?みたいな感じやねんなあ。

ようするにバランス的に陰と陽、五分と五分で男女入れ替えたやろうけどもやね、やっぱり旭は、女性でないとまとまらないのと違うかと。で結局、おとんから息子への継承みたいな部分だけが強調されてもうて、そこにあったボーイ・ミーツ・ガールなところとか、母性の部分が描写はあったけども正直薄まってしもうてつらかったなあ。もうね綾瀬たんはいるんや!ミラクル鳥居は女でいくんや!やったら旭も女でやねいいんとちゃうの?「鹿男」のときかって、藤原くんだけキャラ変更でいったんやし。

いやねまあ、美術とか雰囲気はええし、空堀のロケとオープンセットの融合がいい具合であーあんなんあるあるみたいなね、それはちょっと感心したんわけやねんけども、でも実際に空堀のところにある中学があんな古めかしいのかどうかまでは知らんけどね、でも結構学校といえば古いみたいな部分とかも気分でとったし、そういう枝葉は良かったかなあとは思ってる(多分あれどっかの大学でロケってると思う、パンフ買い忘れたんでよう知らんけどwww)

というかワシの本音的には、ドラマで1クールじっくり向きな企画でやったらよかったんちゃうのと思ったなあ。2時間の映画にまとめるにはちょっと無理があったんちがうかなあと。1日を1時間でリアルタイムと違うけどね、そういう感じでじっくりと書き込んでほしいお話やったなと。
まあキャストが熱演やったんでちょっと点は甘くなったけどね(あと地元ラブもはいっとるんでね)まあそういうことで。

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キャストの話してますねん。
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by tonbori-dr | 2011-07-09 23:55 | Movie

友よ、静かに吸え。(煙草を)『まほろ駅前多田便利軒』

ちょっとしたことで観てきましたよ、「まほろ駅前多田便利軒」。いやまあ目当ての映画、レイトが混んでたので急遽なんだけども、気にはなっていたんだよね。なんせあの「ハゲタカ」大森南朋のお兄さん大森立嗣が監督というのもあったし、あと劇場ポスターで片岡礼子さんatソトゴトが出てるというのを知ったから。

男二人のバディモノというのはある意味定番。原作モノらしいけど未読。
で、中味のほうはというと、ファンタジーな『傷だらけの天使』という印象。
ただきれいごとを並べているというだけでは無いのだけれどちょっと押しが足りないと思うのは、ここ最近ちょっとえげつないのを観ているせいかも(^^;でも現実はえげつないこともあるがこういうのもあるのかもしれない。そういう意味では絶妙なバランスをとっているとも言える。

だから押しが足りないんだけれども、多田と行天のちょっと相容れないんだけども傷を舐めあうわけでもない、ドライなのかなと思ったらちゃんと浪花節(笑)な部分が心地よかった。

あとある意味目当ての片岡さん、美味しい役だったなあ。コロンビア人って(笑)あとこの映画観るまでしんなかったけども鈴木杏ちゃんが出てて最近ちゃんと彼女の仕事を見て無かったけれど、ああ大きくなったよなあって思いましたとさ。そういえば最新公開作でこの映画にも脇でチョイと出てる高良くんと出てる映画で結構大胆なことをやってるとか。

ということでここまでだいたいツイッターでツイートしたことなんだけれどもこの「まほろ駅前多田便利軒」。なんかに似てるなと思ったらスイートな「友よ、静かに瞑れ」なんだよ!という事を最後に思いついた。

「友よ、静かに瞑れ」は80年代に沢山作られた角川映画の1本で監督は「血と骨」の崔洋一。
当時はまだまだ新進気鋭の監督さんだった。原作は北方謙三。
これも馴れ合ってるわけじゃない友の話でハードボイルドだけど浪花節な一編なんだよね。ストーリー自体に共通するところはあまりないけれど登場人物の心情とか、行動規範が似ている気がした。あまりこの「友よ、静かに瞑れ」は評価されているのを見た事が無いけれど個人的にはすごくひっかかっている映画で、梅林茂さんの音楽とともに心に残っている。それと同じ匂いを感じた。そうそうどちらも基地の町というのも大きな部分かもしれない。

それと煙草。最近では蛇蝎のように嫌われ隅に追いやられているけれど(自分自身ももう吸わなくなって…4年になるか?いや5年か。)やはりこういう映画では煙草は必要だと思う。もちろん身体には悪いよ、でもさ、だからといって煙草を吸う事を抹殺するかのような風潮にはのれない自分がいて(ちなみにおいらはエチケットを守って吸うのは容認派です。ハイ)そういうところでもこの映画の煙草の使われ方はちょっとほっとした。

ということで超オススメではないけれどなんかの拍子で観てもいいんじゃないっすか?そんな邦画でした。
ちなみに原作派のご意見は異なるかもしれませぬ(苦笑)あ、そういう意味でも両作品かぶるなー(^^;

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おまけ
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by tonbori-dr | 2011-06-06 01:05 | Movie

仲里依紗ありき「時をかける少女」

まあタイトルどおりなんですけれど(笑)

とはいえそんなに悪くない出来上がりで、この手の映画に出しにくい年代の空気を出すべくかなりスタッフががんばっている感じが伝わってくるので、かなり好感度高い作品になってた。

それに角川版「時をかける少女」だってぶっちゃけ原田知世ありきの映画だったし、そのように作られている事を考えるとこの平成実写版「時をかける少女」もそうなって「イイのだ(バカボンパパの口調で)」。

ストーリー事態は原作にオマージュをささげた部分もありつつオリジナルの展開を見せる。オリジンのようなSF的な仕掛けよりもタイムスリップした人がその時代で何をするのかに主眼を置いている部分はSFジュヴナイルの原作からは離れているようだど、こうしたことによりテーマが浮き彫りになったかな。(通過儀礼とか初恋とか)

アニメ版の方が確かにSFマインドとそういう部分の融合度が高かったけれど、これはこれで、まあアリ。アニメをそのまま実写はそれはそれで面白いかもしれんけれどね。大人の事情を考えればこれはこれでOKだし何より現代をタイムスリップするよりノスタルジアにふったのはやはり大林版の存在が故ではないかなと邪推。でも案外あかりが真琴でもそれはまあありかもだよな。でもかなりこの実写版の方が現代でタイムスリップでーではないのに現実と地続き感が感じられてマルでした。

いやここまで書いてふと思ったがこれBTTF(バック・トゥ・ザ・フューチャー)の影響があるのかもしれない。そう思えばオチとか諸々「時をかける少女」の原作のを上手くつかっているしこれますますアリかもしれない。

でもやっぱり仲里依紗というちょっと不思議な雰囲気のある女の子を使った彼女ありきな映画だったかな。その彼女を受け止め70年代の青年を好演した中野昭慶くんとかもいい感じだった。
でも芳山和子はオジリナルの原田知世だったらぐっと地続き感が出てナイスだったんだがなー。いやまあ安田成美でも悪くは無い。あと草々こと青木崇高(一部では後藤象二郎ともww)が重要な役で少しだけ出てる。

ずば抜けた傑作ではないけれどこういうのもいいじゃんと思わせてくれる1本。昔はこういう女優さんを輝かせる邦画多くあったんだけどなーっていう映画。いや今もあるかも知れないけど最近そういうの観てないだけかもしれない(爆)

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by tonbori-dr | 2011-02-06 18:22 | スルー映画祭り

「必死剣鳥刺し」雑感

「必死剣鳥刺し」を観てきた。
もともとNHK時代劇で内野聖陽が牧文四郎を演じた「蝉しぐれ」を熱心に見ていたりとか村上弘明の「腕におぼえあり」とかは熱心に観ていなかったがそれでも観ると面白いドラマであったのでロールに出てくる原作者の藤沢周平の名前も知っていた。

その後、山田洋次監督が時代劇を撮るという段になって藤沢作品をとりあげ「たそがれ清兵衛」をはじめとする3部作でさらに知名度があがったように思う。

今回の「必死剣鳥刺し」はその山田監督の「隠し剣鬼の爪」も収録されている、「隠し剣孤影抄」の一編から映像化されている。

正直、平山秀幸監督の時代劇というと反射的に「魔界転生」を思い出して、ダメなんじゃないか?と思っていたが存外にも好評ということを聞き、ならばと観にいったわけで。
ここではオーソドックスな演出と、リアルな所作をきっちりと(但し山田監督のようにとことんこだわりの庄内弁はつかわれておらず原作本の通りの口語であったが)映し出すことにより丁寧な作劇となっている。登場人物も主要な人物は最低限でそこの映画らしさというか背景の人々が映り込んでいるという印象。

これは自分の持論なんだけど、小説やマンガの映像化の場合。傑作、佳作問わず、合っているのは短編、これに限るというもの。何故なら長編だと要素や登場人物、背景諸々膨大になり2時間の作品には収まりきらない場合があるが短編だと過不足無く盛り込め、さらには行間も映像で埋めることが出来るから。今回の「必死剣鳥刺し」も短編なのでほぼ原作どおりの流れでそこに多少膨らましたり、加えたりのストーリーだった。それも大きく改変するでなく流れを補強したり支えたりする類でそこも好感が持てた。

時代劇と西部劇を、よく自分は比較するんだけどどちらも現代というかちょっと前までは映画の王様ジャンルであったのに、作るのにはどちらも大きな予算がかかり、しかも人気が衰え時代遅れとされどんとん数が減ってきた。だけどジャンルとしては縮小したとはいえ、ちゃんと物語を語るのに適したフォーマットであり、丁寧に作ればいいモノが出来る。昨今のアメリカの良作の西部劇「3:10ユマ」や「アパルーサの決闘」がそうである。邦画では山田監督の3部作に加え他にも藤沢作品が何度も映画化されているのはその証左であると思う。そして「必死剣鳥刺し」は良作の1つだと言っていい。

お話の骨格としては、藤沢作品の特徴である下級武士ながら非凡な才をもちつつも、つつましく目立たず生きている者達に、武士社会ならではの困難が降りかかるという部分を踏襲しながらも、隠し剣シリーズの必殺の剣をまさに乾坤一擲に放つという作りで先に観た「ロストクライム-閃光」とはまた違った意味で男の決着の付け方を描いて見せている。

とくに秘剣、鳥刺しは感嘆すること間違いなし。というか鬼の爪の時もそうだったんだけど小説の中の短いセンテンスからよくぞここまで映像化したものよと感心できる描写だった。
あのボロボロな「魔界転生」の監督とは思えなかった(しつこいか(苦笑))
もっとも「魔界転生」での殺陣も全面的にダメというわけじゃなくて、たとえば構図の見せ方であってここではそれがちゃんとレイアウトされていて観て得心が行った画だった。
平山監督はそういう作風なのであまりけれんの多い「魔界転生」とは相性がよくなかったということなのかもしれない。まあ平山監督はある意味職人さんなんで、これは制作側の話になってくるとは思うのだけれど。これからも安定した、作風を大事にした映画を撮っていただきたい。まあそれは他の監督さんにもいえること。
伝奇的でけれんの多い「魔界転生」はもっと勢いと則の人、けれんで言うと堤さんだが、あの人はズれの人なので、やはりここは三池さんが良かったのではと。まあその三池さんは「十三人の刺客」が控えている。これは前作の工藤栄一監督の作風を考えると平山さんっぽさがあるんだけど、なかなかに派手に仕上がっているようすとこれは余談だけどまあ「桜田門外の変」や「最後の忠臣蔵」など時代劇が作られているこの状況は嬉しいものだ。

夏休み、子供向け、若いもん向けばっかりでどうもなーっていう人にはひそかにオススメできるし若いけど時代劇好きだっていう人にもいいんじゃないでしょうか。

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役者さんの個別の印象
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by tonbori-dr | 2010-08-01 00:22 | Movie

リアルな現実、シュールな虚構「告白」

忘れていたが実は松たか子主演、中島哲也監督の「告白」も観ていたのだった。

原作は本屋大賞を受賞したという人気作だそうだけど全然知らなかった。あまりベストセラーというものとかそっちにはアンテナをはっていなかったので内容も全く知らなかった。

知ってることといえば松たか子かなりキてるらしいよという噂とCM(これも色々インパクトを考えてるCM、中島さんがこれもやってたらかなりの確信犯)だけ。

正直に言えばインパクトもあるし、観終わった後は、面白かったとも思った。特に出だしは、「おいおいこの映画大丈夫か?」といきなりの独白シーン。そもそも台詞で登場人物の心情からなにから全部言わせちゃうのは駄作とか、映画を分かっていないとかそういう風に言われてしまうが、実はこの原作小説からしてそういう独白(ダイアローグ)を元に著述されているのだそうだ。(読んでないけど読んだ人から聞いた)

ようするにそれをもってきたのはかなり映画に対しての挑戦であるけれど、「パコと魔法の絵本」でみせた空想とのシームレスな空間の創造や、心情をいきなりミュージカル仕立てで表現するやりすぎに過剰をデコレートした中島監督のさらなる挑戦だと受け取った。

だけど、この人もやっぱり同じ事を繰り返す。だからこそ映像作家足りえるんだろけど、ここで繰り広げられるのはやはり「パコ」や「松子」いやさ、「下妻物語」までと同じ「寓話」だ。

現実的ではないダイアローグ劇、そしてあからさまにおかしな中二病的な主要人物に、どこかねじれた主人公。物語の重要な要素でさえもそう取り扱われるためにちょっとそれどうか?という部分も内包した上で仕掛けてきているのは、映像の力と演技する人の力を無邪気に、だけど計算づくで信じている中島監督らしい。

それが可か不可かは分からないが多くの人をひきつけているということでは成功したということだ。

ただその姿勢はどうなのだろうかともちょっと感じさせる。もしこの寓話の意味するところをストレートに受信しちゃうってことは考えなかったのか?という事だけど、それは野暮ということなのかもしれない。それでもこの時代には刺激的かつ、意図しなかった、あるいは意図したけれどそれ以上にききすぎたということがあるかもしれない。

基本的には「毒入り危険」ってことな作品だったが、きわめて今日的な作品だなと思った。
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by tonbori-dr | 2010-07-24 10:55 | Movie

コミックヒーローなホームズ「シャーロック・ホームズ」

観てきましたよ、「シャーロック・ホームズ」
ガイ・リッチーの映画はこの前のとその前のは観てないからDVDで鑑賞した、「スナッチ」以来かな。
結構「ロック・ストック・トゥースモーキングバレルズ」は面白かったけど、「スナッチ」はネタが同じでうーんとなった記憶があるのだけれど、今回の「シャーロック・ホームズ」は楽しめた。

意外な事にノリは実は「リーグ・オブ・レジェンド」と同じ。ちなみに私、あの作品嫌いじゃない。色々失速している部分とか荒っぽいところはあるにしてもあのようなクロスオーバーは大好物です、ハイ(笑)

でこのホームズも超人同盟に参加出来るかも?みたいな感じでいい具合にはじけている。
というかもう既にエキブロお友だちのkiyotayokiさんが感想書いてらっしゃることに同意なので感想はそちらで(笑)
映画の心理プロファイル : 『シャーロック・ホームズ』(2009 米)
とするとあとが続かないのでいちおう書いておくと「ルパン三世」なんですよ。
で、どっちかというと背広が緑の頃の黄色ネクタイのルパン。次元と2人で行動して、で不二子が絡んでというあの頃のルパンなわけで。
というかアイリーン・アドラーなんか小説版読んでいる人にはどう写ったのかな?とか、まあそれはともかく、こういう翻案はもう大好物なのですごく楽しめたし、銃を2人でかまえて、「無駄撃ちするな」と言いつつ壁を蜂の巣にするホームズとか、ピッキングするそばから蹴破るワトスンとか、1stルパンの名作「魔術師と呼ばれた男」を彷佛させる。
不思議な魔術を駆使する敵のブラックウッド卿はパイカルとくらべるとちょっとまあアレだけど(笑)そう考えるとルパン三世ファーストシリーズはやっぱり傑作だわとこれは余談。

バディモノのアクションとして、そうだなあノリとしては爆発が少ない「バッド・ボーイズ」みたいな感じもするけれど、おおむね、出番の無いまま退却するカリ城よりは初期のルパンのノリである(笑)もっともこのダウニーホームズはシメの部分では名探偵コナンチックでもあるけどね(爆)


そのホームズにダウニーをもってきたのビックリだけど、さらに相棒ワトスンにジュード・ロウっていうのもビックリ。これは皆さんご存知のイギリス、グラナダTV制作のジェレミー・ブレッド版シャーロック・ホームズをご存知の人には、ええ?っていう感じのキャスティング。でもこのワトスンが、こういうバディ風味なストーリーにはまたいい具合なんだよな、アフガン戦争で負傷したという設定なのでちょっと足をひきずっているのだけれど軍医あがりなために伝法で腕っ節も覚えあり、しかもステッキは仕込みっていうのは、それどこのラノベ?みたいなwww
そこにダウニーのホームズが絡むと本当に観るグラフィック(ライト)ノベルの一丁上がり。

ただ難点をあげると、モリアーティ教授の使い方かな。作家の深町秋夫さんはワースト映画として糾弾してらっしゃる。確かにあの使い方はもう続編つくるぜーみたいな気が見え見えでそこは確かに糾弾されても仕方が無いかなと(^^;
個人的××映画「シャーロック・ホームズ」 - 深町秋生のベテラン日記

まあ私は御気楽なトンチンカンなんで、もうかっこよさだけで OK、バディでOK、でネーチャンピンチにヒーロー推参、でちょっとかっこ悪いとこも見せるぜでOK。

割とルパンが好きな人なら受け入れ易いというkiyotayokiさんの意見にはまったくもって同意であるので見て損はなしだと思う。

「シャーロック・ホームズ」の映画詳細、映画館情報はこちら >>

追記:
ルパン三世の件をちょっと増やしてます。(斜線部)
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by tonbori-dr | 2010-03-18 00:38 | Movie

「ロックだな。」ゴールデンスランバー雑感

公開間もない邦画を観にいくことは実は結構多かったりする。理由は後だと行くのが億劫になるから(笑)
実は一番乗りとかそういうのには興味が無く、ゆったり周りを気にせず観たいと言う欲求が強いからなんだけど、そのためムーブオーバー時がファーストランぎりぎりでレイトで観る事がほとんど。
今回はファーストデイサービス(いわゆる映画の日1000円というやつ)というのもあったので30日封切作品を1日に。
最終の通常ならレイト枠。しかも午前0時前の終了だったので思いのほかお客さんも少なく(雨の影響もあったろう)空いている劇場でゆったり鑑賞できたのはよかったが興行的には配給元は頭が痛いかも。
ちなみにだからといって公開初日否定派じゃないよというのも重ねて言っときます。なんせガンダム徹夜組あがりだしな(歳がばれる。笑)

そんで、観たあとで知ったんだけど時間は長尺130分超だったとか。だったとかというのはそれを感じなかったから。
個人的なんだけど、アレ?そうなのという感じ。話がスタン、スタンと進んでいく。まるでスキップしているかのごとく。
よく長尺映画で「もっとテンポアップ」とか「編集を上手く、ざくざく切っていきゃー」という自分が、個人的な感覚で言えば全然OKだった。

それは導入部の上手さと構成の上手さ、そしてキャラクターたちの魅力だと思う。普通のこういうゲッタウェイものの主人公としては青柳(堺雅人)は押しが弱いけどそれを逆手にとった造形と周りの登場人物の面白さがそれを引っ張る。そして出だしの会話でポーンと状況に放り込んでいく。
そしていわゆる主人公側の皆さん、一様に「ロック」なんだよね。でことさらにそれを強調しているのは主人公の職場の同僚の人なんだけどちゃんと観れば、周りの人たちもそうなのよ。へたれている後輩のカズまでも。

とあぶなくネタバレしそうになったけど、まあ色々詰めも甘いし(大甘?)ヲイヲイな部分(気になる人もいるけれど)が皆無とは言わんけども、かなり娯楽映画してた。まあ台詞で若干助けられているけどね(笑)でも自分の中ではマイナス点をプラス点が上回っていた。サントラの入り方とかも良かったし。

これは作品の持つテーマやエクスキューズなど、原作者の意図を監督がちゃんと汲み取っているからじゃないかな。というか原作未読だけど読みたくなったもの。

伊東さんのシーンとかを観ても、TV局映画とは(作ってる(お金を出してる)人たちはかぶってても)一線を画してたなと感じられる良作だった。


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キャスト印象とかコネタ
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by tonbori-dr | 2010-02-06 00:37 | Movie

今日は『BOSS』、昨日は『臨場』が最終回

刑事ドラマ、2本が終了『臨場』は特に2時間SPというわけでは無かったけど、原作エピを使って迫力の最終回だった。もっとも原作ファンはどう観たか?気になる部分ではあるけど。

まとめエントリは別館に書くけれど刑事ドラマとしては原作ありとはいえ最近の流行も上手く取り入れ、普通の刑事ドラマでは脇の犯人のヒントをくれるだけの役割でしかない鑑識のそれも検視官(変死者又は変死の疑いのある死体(変死体)の検視を行う司法警察員。本来は検察の役割を代行している。)を主人公にして声なき声を根こそぎ拾い時には、自殺の見立てさえも覆す、終身検視官との異名をとる倉石を『ゴンゾウ』の内野聖陽が好演。
先のクールの『ヴォイス』はその変死と判断された死体を司法解剖する法医学の立場からの話だけど個人的には刑事モノが好きなのでこちらに軍配があがる。でも初回はちょっと低調だったけど2回目以降はぐんぐんと引き込まれた。とっつきにくいけどという感じ(笑)
検視官 - Wikipedia
原作はまたドラマと違うけど横山さんらしい短編集、さくっと読めるのでオススメ。

臨場 (光文社文庫)

横山 秀夫 / 光文社



対する『BOSS』は天海祐希演じる訳あり元キャリア大澤絵里子を中心にはみ出し者が集まってチームとなり難事件を解決する昔からよくあるフォーマットに海外の刑事ドラマなどのテイストを盛り込んだスピード感のあるドラマ。以前にネタで『ポップでキャッチーで本格派』ってヲイと思ったけどなるほどねと思った。
けどやっぱり恥ずかしいぞ
ただ人気はありそうなので第2弾はあるかも。ラストもどこか?(またアメリカ?)へ旅立つが対策室はそのまま存続。続編を匂わしてるしね(笑)しかし間宮貴子とダチ設定は踊る大捜査線の青島が『正義は勝つ』の高岡淳平を口にするのいっしょだけど、こちらは脚本家が『離婚弁護士』と同じなこともありさらにベタにしてたなあ。で次があるならハンチョウを招聘して下さい(笑)

BOSS (テレビドラマ) - Wikipedia
離婚弁護士 - Wikipedia
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by tonbori-dr | 2009-06-26 00:02 | TVdrama

*青春とはあほうなもの也『鴨川ホルモー』

去年、『神々のパズル』をやたらと持ち上げていたけど今回の『鴨川ホルモー』を観てやっとこ分かった。いわゆる『自分探しが終わらない』症候群に一度でも罹患した人や中二病を発症したものなら容易に理解できる物語だからだ(笑)

その流れで行くと観てないけどキリキリの『GOEMON』とか『CASSHERN』(これは観た)もOKじゃねーか?となるところだけど、面と向かって啖呵を切るのは近親憎悪を持つんじゃないかなあ、ようしらんけど。

とまあ、ようするに若者にありがちなお話をファンタジーで味付けしたライトノベル世代の青春コメディ物語だったよという話

お話は京都に千年と伝わる神事「ホルモー」を執り行う四つの大学のサークルの一つ京都大学青龍会に二浪して京大に潜り込んだ安倍が青龍会の新歓コンパに来ていた早良京子の鼻筋に惚れて彼女と親しくなるために、帰国子女でなにかとつるむ高村を巻き込み入会したところから始まる。大木凡人に見た目がそっくりで凡ちゃんといわれることになる機械いじりが好きな楠木ふみ、見分けがつかない三好兄弟、ストレートに京大に入ってきた仕切り屋で高圧的な芦屋などとこの神事、ホルモーを執り行うことになっていくのだが…。

サークルクラッシャーとか淡い三角関係、そしてアホな事に何故か熱中してしまう大学時代を土地柄もあるけれど陰陽道とか式神とかそういう部分を上手く当てはめた、アイデアの勝利。聞く所によると原作にその3つがセットに入っているというのだけれどだから原作も人気になったというのは頷ける。

特に阿保すぎるのは代替わりの儀の奉納神事。アレはその成り立ちを考えるとすごく理には適ってるのだけれど画を観るとすごくアホだ(笑)(予告編でも一部シーンあり)警察に見つかると多分某芸能人の彼のように捕まることは必至。でもそういうアホさ加減なところをわざわざ吉田神社でやったことには敬意を表したい。

監督の木本克英氏は前の『鬼太郎』(ウェンツ版)を観た時にも思ったけれどVFXは使うものの手堅い演出だなあと思ったら、歳はまだ若いけど松竹の大船撮影所の最後に入ったいわば生え抜きの叩き上げ(笑)だけどバランス感覚がちょうどいいのか今回の作品はそれがいい方に働いている。

ただ、『なんでオニやねん?』とか『なんで京都?』という軽い疑問詞を吹っ飛ばすような爆発的なモノがナイのでそこがちょっと弱いように見えた(^^;(反対に言えばそこがいいんだけれど)
充分面白いし、楽しいのにそこでひいちゃう人がいるともったいないなと思う。というかマイケル・ベイのような爆発もあるにはあるんだけどね(笑)

あほう(いい意味で)でぬるーい青春コメディファンタジーとして楽に観れる良作

「鴨川ホルモー」の映画詳細、映画館情報はこちら >>

おまけの雑談
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by tonbori-dr | 2009-05-17 22:30 | Movie