名優のぶつかり合いが緊張感を産む傑作警察映画『交渉人』

この映画を見たのは9月の中頃で、今年の頭から宣伝広告が雑誌などにのっていたので、随分またされた感じがした。

まず最初のシーンからもう緊張感がみなぎっている。ジャクソン扮する警察の人質事件専門の交渉人マローンが犯人相手に交渉しているシーン。突入を押す隊長に対し自ら犯人に体をさらし人質の少女に危害が及ばぬようそしてスナイパーが狙撃しやすいように通り側の窓に誘導するシークエンス。これは本物だと思った。
これがそんじょそこらのアクションものなら主人公が犯人の隙をついて倒すというシーンになっていただろう。もちろんそこに多少の経過の違いがあっても大きくは変わらないはずだ。だがこのシーンは結果的にマローンは犯人が肩を撃たれた瞬間に犯人が放り投げたショットガンを拾い上げ構えるがその前に撃ち倒したのはSWATのスナイパーでチーム戦術として仲間を信頼した彼の性格が伺える。またこのシーンのSWATの射撃シーンは元傭兵の作家さんがリアルだと言っていた位に随所にリアリティが感じられそれがこの映画のドラマに深みをもたらしている。もちろん細かいところでおかしい所もあるが、(例えば連邦ビルに立て籠もったマローンを窓から急襲するSWATが2人だけとか、通常ならバックアップに別方向の窓からさらに何人かが待機突入しているはず。)

本作品は手柄をあげたマローンが相棒がつかんだ汚職が発端でその相棒が何者かに射殺されその濡れ衣をきせられ自らの潔白を証明するため内務監査室が入っている連邦ビルに立て籠もり自分との交渉人に西地区のNo1(マローンは東のNo1)クリス・セイビアン(これがケヴィン)を指名する。ここから物語はラストまで目が離せない内容になっているのだが、なんといっても演技力には定評のある二人の共演これはすざまじく素晴らしかった。ウラ読みをする心理戦や自らの仕事にプライドと命をかけている二人の男を見事にに演じきっている。こんなシーンがある。セイビアンが呼び出されるシーンだが彼は家でくつろいでいるのだが、娘の一言で妻がへそを曲げてしまいバスルームに籠城している。これから家族水入らずでスキーに行こうとしているのだがなかなか妻が機嫌を直してくれない。犯人は説得できても家族は難しいと嘆くシーン。これは数少ないセイビアンのプライヴェートな描写だがここだけでケヴィンはセイビアンを観客に印象つけるのである。家では良き家庭人だが仕事には一切私事を持ち込まず全力であたる男と。このようにオスカー級の男優2人ががっぷり組んだこの映画面白くないはずが無い。ヘビーローテーション的に何度も繰り返し観れる作品として超オススメ。
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# by tonbori-dr | 1999-12-03 13:07 | Movie

オタの夢を映像化した『マトリックス』

これぞ、『こんな映画が観たかった!』っていうやつなんだろうなと。ガジェットといい、アクションといいカット割といい。オタ&ボンクラの夢が詰まった映画もそうあるまい。

いきなりのっけからヒロインのトリニティの大立ち回り。
これがまた彼女のエナメルのライダースーツがフェチっぽく決まっている(笑)
そして演出もけれん味たっぷりでかなりオタク心を刺激する。が...しかしなんと言ってもいちばん凄みがあってカッコよかったのは、エージェントスミス!背広にサングラス。この記号性がボンクラ心を刺激する。最高にクールなのに徐々にAIが本性を表すところで、上手い人を持ってきたなと感心。
余談だけど未だ未見だがこの役をしている、ヒューゴ・ウィービングはドラッグクイーンの役で映画に出たこともあるらしい。

全体のトーンは前に主役のネオを演じるキアヌ・リーブスがでた「JM」よりもカラフルで綺麗な感じ。出てくるヴイジュアルは綺麗な所ばかりではないのにそう感じさせるのは画面の情報量やビジュアルの細部に渡って神経が行き届いている証左。

2時間近くの上映時間が全く気にならないのはその映像の力だと思う。もちろんこの映画より凄い映画はあるけれど、が、しかしこの映画はアメリカのオタク兄弟がそのエッセンスをあますところなくぶち込んだ初めてのハリウッド映画として記録されるべきで、それだけのパワーとエネルギーを感じた映画だった。
最後にトリニティはクールだ!

で、1日たった今日(19日)再びマトリックスについて書いているわけだがこの映画リピーターが多いと聞く。何故なら一度見ただけではその映像し隠された謎やテーマ、世界観が理解出来ないのでまた繰り返し見て理解を深めるのだという。

お話自体は簡単でこの世を支配する悪者を救世主を探し求めて戦うグループが対抗しえる救世主と思われる主人公を見つけ彼に覚醒を促す。そして彼はこの世界を真のあるべき姿に戻すため戦う。

これだけでも有名RPG(モーフィアスはさしずめ賢者か?)のようだ。これだけでもオタク心をくすぐられるが、ザイアスや予言者(彼女自体はネオと会っていない。彼女のデーター化された虚像マトリックスがネオのマトリックスと会っただけだ)は何処にいるとか。コンピュータ群を指揮しているAIはどのぐらいの規模なのか?その他端々に出てくる引用やなどが世界観を一度見ただけでは理解出来ないほどの情報量。

モーフィアス役のローレンス・フィシュバーンは日本のアニメが好きで特に「攻殻機動隊」が好きと語っていたがまさにその原作者士郎 正宗が書く漫画に近い感覚がある。彼の書く漫画も欄外の解説やバックボーンに存在する膨大な量のサブテキストの存在等がある。それを何度も読み返すことでその世界に深く浸れるわけだ。それも最近の流行に近しい。

そして監督のウオシャウスキー兄弟もその当たりの造詣には深く大友克洋と押井守のアニメからもヒントを得たと語っている。頭の後ろのピンプラグからネットにインするというビジュアルはあきらかに『攻殻機動隊』だし、映像的にも押井守の『攻殻機動隊GHOST IN THE SHELL』の方に影響を受けたと思われるシーン。(ロビーでの銃撃戦や難解な問い掛けなど)が見られる。

そして忘れていけないのはアクション。だれでもブルース・リーの「燃えよドラゴン」は覚えているだろう。この作品によってクンフーアクションはメジャーになった。その後ジャッキーがハリウッドに進出するにあたりアメリカでも人気を得たと言えるがその本家の香港からユエン・ウー・ピンと言う凄腕アクション監督を連れてきて指導させるなんていままで考えられなかったことだ。縦横無尽に空間を飛び回るワイヤーアクションとハリウッドが誇るSFX(マトリックスではVFXと呼んでいる)が作り出した驚異のマシンガン撮影。これら全てが今まではバラバラに存在していた。がここに一つの作品として完成したといえる。まさに1999年を代表する作品になったのだ。

あなたがまだ未見なら一度見てみるが良い。それだけの価値はある。
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# by tonbori-dr | 1999-10-18 13:01 | Movie

鮫肌男と桃尻女

この映画(公開時は単館ロードショウだったと思う)なにがいいかっていうと、最初から最後までテンポが普通と違うところが気に入った。

最初は『デスペラート』(ロバート・ロドリゲス監督作品)みたいなお馬鹿作品かなと思ったらやっぱりそうだった(笑)とはいえメヒコの乾いた土壌ではなくどことなくウエットな浪花節は監督が和が好きだからじゃないかなあ。とはいえ面子も良くてテンポが変で私は好きです(爆)あとロケというか舞台となる建物とかがまたいい雰囲気でCMディレクター上がりらしいよなあと。細部にこだわってるという感じが出ているのも好みだったりする(笑)

ストーリーは途中まで単純だけど途中でこんがらがるので注意。もしかするとそこで好き嫌いが分かれるかも。
まあ雰囲気とカッコで進む、イかれたオフビートっていう感じかな。

主演は浅野忠信 監督は石井克人 共演に我修院達也 (殺し屋の山田君) 岸辺一徳 寺島進 鶴見辰吾他。登場するキャラがみんなヘンなのは多分に漫画原作へのオマージュではなく、監督の趣味かアメコミに影響を探したほうが早いかも。

でもこの空気に乗れない人は「おもろない。」の一言で片づけられる作品やろうなあ(苦笑)
でもわたしは「おもろいやん~」といっときます。
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# by tonbori-dr | 1999-10-01 12:44 | Movie