*俺の居場所はあそこだけなんだ。『レスラー』

大阪ではそろそろファーストランも終了しそうなので慌てていってまいりました。
なるほど、この作品を上半期№1に推す声も多いのも納得。

事前情報では低迷していたミッキー・ローク復活の一作。過去に栄光を掴んだもののよる年波には勝てず低迷しているレスラーが主人公ということくらいしか聞いてなかった。
実際ストーリーはベタ。ランディ・”ザ・ラム・ロビンソンは80年代に活躍し、ライバルの中東からの刺客アヤトラとの派手なバトルで名を売ったが、徐々に人気にかげりが出てきて今では週末に地方巡業、ドサ廻りの日々、もちろんそれでは食えずにスーパーではアルバイト。住まいはトレーラーハウスだがその家賃さえも払えない体たらく。
心の安らぎはなじみのストリップバーのダンサー、キャシディ(マリサ・トメイ、熱演!)に逢うことくらい。そんなランディ。永年の肉体増強のためのステロイド他諸々の薬物と派手な立ち回りで身体はボロボロ。とうとうある試合で心臓発作を起こし倒れてしまう。手術は成功したものの試合はドクターストップ。現役引退を決め、パートタイムの仕事をフルタイムにしキャシディの助言に従い疎遠になっていた娘とよりを戻そうとするのだが…。
まったくもってベタである。レスラーの部分がボクサーでもいいのじゃないかというくらいにベタ。だけどそんな物語を派手ではなく地味に、しかししっかりと登場人物、特にランディをキャメラは追っていく。正直、すごくベタな話で個人的には途中まで何故、皆が絶賛するのか分からなかった。それは自分がそれほどプロレスとかに興味がなかったからかもしれないのかもと思った。でも数々の少ないけどさりげない台詞、そしてランディを執拗に追うキャメラ。その全てはラストのためにあったのだ。ラストには納得の、だけど切ない、沁み入るエンディングが待っている。

多分この作品、ロークではなくスタジオ側が推したケイジなら、よくある作品でこれほどのものにはならなかったという見方がされているけれど、それでも佳作にはなっただろう。もっともそれだけで埋没し、あーそういのあったねーみたいな。(世間的にはそれは忘れられてしまうカルトにもなりえない凡庸な作品ということなんだけどね(苦笑))
だけど80年代にまさに光を放っていたアイコンであるロークが主演することで、主人公のランディが血肉を得たというのは言いすぎではない。実際あてがきに近いキャラクター造詣だったそうだ。

そして思ったのはこれもアメリカンドリームの残滓なんだよなあということ。ロークの不遇時代に彼に役をオファーしたことのあるスタローンなら多分ロークにこうささやいたに違いない(ちなみにロークはスタローンは最新作『ジ・エクスペンダブルズ』に出演)『確かに最高の映画だったゼ、ミッキー。だがオレならラストはハッピイエンドを観客に見せる。客はそれを求めている。』と言うかも知れないなと。まあ実際にはそんなことを言わないだろうけど。(スタローンは自らの立ち位置をよく分かってる)
自分には、これは『ロッキー』の合わせ鏡じゃないかなあと観終わった後にぼんやり思った。
全然違うよ!という人もいるだろうし、そんな考察は甘いし浅いという人もいるかもしんない。けどやっぱり70年代後半に始まり、80年代は『ロッキー』シリーズは絶頂だったが次第に廃れていった。また最近スタローン自らの手でケリをつけたので、結びつける人は少ないだろうけどやはり自分にとっては重ね合わせてしまう。何故ならロッキー・バルボアいやスタローンもリング(スクリーン)、そして戦う(映画に出る)ことにしか居場所が無いとも言えるから。

そういう意味では普遍的なストーリーでありながら、きっちりと人物を描き出し、また世代論をきりとってみせたとも言えるし、なにより生き様ってこういうもんだろ?と問いかける事に成功している、と思う。

ともかく今週末には近畿地区でのファーストランは終わってしまう
その前にスクリーンで観れたのは良かった。
※調べると上映回数は一日一回だけどまだロングランっぽいです。いい映画がロングランというのは素直に嬉しい話。
でも上映回は減ってるので興味のある方はとっとと行くのが吉かも。
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書き忘れたけど、ボスのエンディングテーマは最高!、これがまたぐっときた。

追記:07/18 追記部分は太字にしてます。あと文章もちょっと直しました。
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by tonbori-dr | 2009-07-15 23:58 | Movie