やはりネゴシエーターのお話は交渉しなくっちゃ。「キル・ポイント」

既にWOWOWで放送されたアメリカのケーブルTV局スパイクTV制作のサスペンスアクションドラマ。
DVDをレンタルで借りてみた。
話は一つの事件を全8話でおいかけるというものでピッツバーグのスリーリバース銀行に武装銀行強盗が押し入るところから始まる。よく統制された動きでカネを奪い銀行を出て逃走車に乗り込む寸前、たまたま居合わせたFBI職員が発砲しパトロール警官も集まって来て激しい銃撃戦となり銀行に戻らざるを得なくなる。
銀行に残った行員、客を人質に立てこもる強盗たち。彼等は元海兵隊の同じ分隊に所属していた仲間でリーダーのMr.ウルフこと分隊長のジェイク・メンデス軍曹を中心とした結束の高いプロの兵隊だった。
メンデスはイラク従軍時に抗命したため不名誉除隊処分となったがそれは部下の命を守る為で、その時の部下達と困窮した生活から抜け出す為にこの強盗を計画したのだがこの思わぬアクシデントにより仲間のラビットが撃たれ、撃ち返した銃弾でFBI職員も重傷を負う。仲間のメディック(衛生兵)だったキャットの応急処置は上手くいったが搬送先で手当のかいもなくFBI食職員が死亡した事から彼等は進退窮まってしまう。一方ピッツバーグ市警はSWATを展開、ベテラン交渉人のホルスト・カリー警部を交渉にあたらせることにしたのだが…。

結構よく出来ているドラマで映画「交渉人」の脚本家チームの一人、ジェームズ・デモナコが制作に関わっているミニシリーズ。正直に言えばラストの〆や途中でお話のテンポがもたついてたりもするけれど連続ドラマとしては力の入った佳作だと思う。何より飽きさせず困難な状況ながらも逃走を強盗団と、犯人逮捕と人質の無事救出を全力を注ぐ警察という構図をMrウルフとカリーを中心にすえて分かりやすく引っ張っている。
日本のドラマでは一つの事件を追う話でも、こういう篭城犯に対処する警察と中に入る人質、そして犯人グループをじっくり8話もかけて描くというのは出来ないだろうなあと思いながら観ていた。

何より犯人と人質は同じ場所にいるけれど犯人と警察をつなぐのは交渉人。要求を聞き時には脅し、時にはなだめ、彼等の考えを読み取るという部分。そこは奇をてらった部分は無く、FBI職員が撃たれた事実を元にFBIが出しゃばり失敗したり、人質の女の子の父親がピッツバーグの不動産王で事件の解決のために色々企てたり、逃げた逃走車のドライバーが他の仲間を集めて救出を試みたり等、緊張感もきっちり盛り上げてくれる。

日本のぬるいサスペンスアクションに飽きたまたは物足りない人は是非なシリーズ。



キャスト&余談

強盗犯リーダーMrウルフを演じているのがジョン・レグイザモ。タフで頭の回るリーダーを熱演。対する交渉人カリー警部はドニー・ウォールバーグ、マークの兄貴。最近はソウにでていたそうでソウは1作目しか観ていないので知らんかった。そのソウのジグソウ役トビン・ベルも出演。不動産王べッグ役で娘を溺愛するがあまりに警察に圧力をかけたり裏で取引しようとする父親を演じていた。
あと「交渉人」の人が手掛けたので警察側の交渉人補佐トンレーとかSWAT隊員のホーク、人質のセイビアン親子などネーミングにニヤリとさせられる。

ちなみにSWATチームのスナイパーが毎度ブツブツ言うシーンが挟まれるのがワンポイントになってて可笑しかった。そして使用している狙撃銃も珍しいブレイザーR93だった。
シグブレーザー R93 - MEDIAGUN DATABASE
ちょっと未来的な狙撃銃だけど基本部分は100年以上もの歴史のあるボルトアクション方式である。

また話数がある分、犯人グループのの描き分けとか人質とのやり取り(多様多彩な人達)とのやり取りも深みが出てくるし、お決まりのストックホルム症候群とかの出方も自然だった。そういう部分は連続ドラマならでは。映画だとどちらかにフォーカスを当てなくてはならないからそういう意味では贅沢な感じ。

特にMrウルフを初めとして強盗チームは元々同じ海兵隊で同じ分隊員で分隊長のMrウルフに恩義を感じている者ばかり。彼らはファルージャの激戦区に叩き込まれ誰が敵かも分からない土地で苦しい戦いを強いられた過去がある。そのため明らかにPTSD(心的外傷後ストレス障害)なラビットだけでなく、時が経つにつれ戦場の感覚がメンバーに蘇えってくるあたりも緊迫感を盛り上げるとともにそういう未だ傷跡が深く現在進行中のイラク戦争についても抉ってみせるあたりは今を感じさせる。

交渉人つながりで言えば、交渉人真下よりは交渉してるし、米倉涼子の交渉人より交渉してます度が高い(苦笑)まあ比べるのは酷だけど、佳作とは言え日本でこのレベルなら傑作認定しちゃうかもなドラマ。ようはよくある筋だけどやはり交渉人は交渉してなんぼだし、セリフの応酬だけでなく犯人とのやり取りで見せないと、米倉涼子のドラマはさておき真下なんか「誰」と交渉してんの?って感じだったもんなあ。追跡者木島丈一郎でもうイイと思います(笑)ということで交渉人関係の作品を作る方々はこの作品で勉強して欲しいッス。


DVD公式サイト
DVD「キル・ポイント」アミューズソフトエンタテインメント
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by tonbori-dr | 2009-06-09 14:07 | TVdrama