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*ガールズアクションの極北 『チョコレート・ファイター』

タイのアクション映画といえばまず『マッハ!!!』を思い出す人が多いだろう。その『マッハ』を仕掛け一躍主演のトニー・ジャーをスターダムにのし上げたのが本作品の監督、プラッチャヤー・ピンゲーオとアクション監督のパンナー・リットグライがガールズアクションの決定打を放つべく制作されたのがこの『チョコレート・ファイター』。


自分が昨日『観てきたよ』エントリで衝撃の!とつけたのは上の予告編よりもさらに主演ゼン役ジージャーのガタイが華奢に見えたことだった。
それまでにもガールズアクションはそれこそ星の数ほど作られたが完全にアクションに特化した女優、いわゆるアクション女優の系譜で見ればジージャーはかなり華奢だと思う。
もちろん足を見ると筋肉で締まった脛を持っているのがよく分かるんだけど、画面に映った彼女は、儚げでまるで折れてしまいそうな空気を纏っている。

それは自閉症という役柄にもよるものもあるのかもしれないけれど、そんな彼女が怪鳥音(李小龍師父のアレ)を発しながらポーズをとったときなんとも言えぬ美しさと危うさが佇んでいた。

お話は簡単でタイの歓楽街での裏稼業に進出しようとしたマサオ(阿部寛)率いるヤクザと地元のボス、ナンバー8(ポンパット・ワチラパンジョン)の情婦であり片腕のジン(アマラー・シリポン)が禁断の恋に落ち嫉妬に狂ったナンバー8から逃げるようにジンはマサオを日本へ帰し子供を産んだ。
その子供ゼンはを脳に問題を抱えていたけれど元気にすくすくと育った。
成長したゼンは一度見た動きを忘れずに再現できる能力と動体視力をもっていた。ジンに拾われたトリートチルドレン、モン相手にその技でストリートで芸ができるまでになっていたゼン。しかし平穏な日々はそうは続かずジンが白血病に倒れてしまう。治療するための薬は高価でなかなか手が出ない。そんな時にモンが偶然見つけたジンの手帳に過去にジンがお金を貸したリストがあった。その人たちからお金を返して貰えば薬を買うことが出来ると思いゼンと共にそのリストの者たちを尋ねるが追い返されてしまうのだが…。

お話は簡単。お金を返さないゴロツキ連中をゼンは叩きのめしていくのだけれどゴロツキの親玉はナンバー8だった。迫る最終対決は如何に?という流れ。

今作でも李小龍や成龍リスペクトが見られ、製氷所の戦いや、椅子や狭い場所での空間を飛び回る動きを取り入れつつムエタイのみならずジージャーの得意技テコンドーをも含めた足技をいれてくる貪欲さ。そして毎度のワイヤー無し、CG無しといっても今回は一部使用。なんせクライマックスはビルの壁面の狭いテラス上での格闘。実際ラストのNG集を見ると重傷者まで出ているここまでくると笑えない、本気度が伝わってくる。

その他にも雑多なキャラクターの中にもタイらしいオカマの殺し屋軍団やチックのように身体を痙攣させながらトリッキーな動きで翻弄する格闘家など一風変わった敵などキャラクターも個性的。上映時間もアクション映画的に収まりのいい時間(93分)

日本から参戦の阿部寛もダンビラ振り回しての大立ち回り。最初は3人の格闘家と戦うだけが1年後に再撮影。ジージャーも『七人のマッハ!』のオーディションに来た時に、リットグライがピンゲーオに紹介。とんとん拍子に話が進むもピンゲーオが『トム・ヤム・クン』の撮入と話を考える間リットグライの元で修行という何とものんびり、いや贅沢?というかいろんな要素が奇跡的に合わさって出来た作品。まずは劇場でとくとごろうじろ。木戸銭の価値は充分にある。

そういえば日本でも『ハイキック・ガール』というのが出来たそうで。主演の女の子が空手をやっているとか、『チョコレート・ファイター』も続編出来そうな雰囲気ではあるので是非今後対決していただけると日本のガールズアクションもいい刺激になるんじゃないッスか?と思うんですが。もちろん抑えに水野美紀女史が参戦して、シメはミシェール・ヨー/楊紫瓊大姐。これで完璧(笑)

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by tonbori-dr | 2009-05-29 00:32 | Movie