*少し堅いが良いアクション映画-ザ・バンク 堕ちた巨像-

なかなかいいのに今週は『クローズZEROⅡ』と『レッドクリフPART2』が入ってきて順当にランキング圏外へ(泣)

まあクライブ・オーウェンはいい役者だけど世間一般の認知度で言えば確かに低い、また共演のナオミ・ワッツもいい女優さんだけどやはり弱い。

とはいえかなり硬派な話運びながらも見せるトコはしっかり見せてくれる。

物語は国際金融市場の闇の部分。資金洗浄、違法取引で業績を上げているメガバンクIBBC。その違法行為を追うインターポールのサリンジャー捜査官(オーウェン)とNY検事局のエレノア・ホイットマン(ワッツ)しかし情報提供者や証人は消され、証拠は捏造されていく。やっとの思いでIBBCからの汚れ仕事を請け負った男『コンサルタント』がNYに居ることをつきとめたのだが。そこから思わぬ展開になっていくというストーリー。

描写はかなりリアリティに溢れていてプロの仕事を追いかけていくまるでNHKスペシャルのドキュメンタリーを物語仕立てで観ているかのよう。そこに堅さもちょっと感じるのだけれどアクションのスピーディ差はさすが出世作が女の子が走り回る映画で世に出たトム・ティクヴァ監督だけのことはある(笑)
Variety Japan | FILM SEARCH - トム・ティクヴァ
まさか前作が異様に鼻の利く連続殺人犯のお話を撮った人とは思えない(笑)

こういう作品だと往々にして主人公が快刀乱麻に物事をすっぱり断じて話が結ぶのだけれどそうでないのも非ハリウッド系から来た、いやもっと言えば欧州の人の感性か、もし同じ結末というかオチでもハリウッド系ならある程度カタをつけるはずだと思う。そこが好き嫌いの分かれる部分ではあるが、脚本はアメリカ人のエリック・ウォーレン・シンガーの手によるもの。どうもそれまではリライトライターだったらしく、ぐぐっても大した情報は無かった。パンフによるとMTVで放送されていたアニメ『イーオン・フラックス』(シャーリーズ・セロンが実写版主人公を演じた)オリジンのライターをしていて初めて書いた脚本をデビット・フィンチャーが監督して脚光を浴びたとか。でもその作品名は書いていない(笑)なのでやはりお話に欧州の香りをつけているのは多分監督なんだろうな。
Variety Japan | FILM SEARCH - エリック・ウォーレン・シンガー



こっからはネタバレしているかもなので注意!

この作品は大きなアクションシーンは1回だけなんだけど、これが凄い。
なんとニューヨークにある現代美術の美術館グッゲンハイム美術館でIBBCが証拠隠滅のために遣わされた殺し屋たちとサリンジャーとコンサルタントが大立ち回りをするシークエンスだ。あくまで冷静沈着で自らが雇い主に切られたことも分かりつつプロとして振舞うコンサルタントとそこでコンサルタントを捕捉したものの追っ手との撃ち合いに巻き込まれ逮捕するために同道した(インターポールには逮捕権は無い。)NY市警の刑事が撃たれて止むを得ずその場を切り抜けるために銃をとるサリンジャー。しかし元はスコットランドヤードの警官という来歴があっても銃を撃つことになれている(構えはしっかりしていても)訳ではなくマガジンチェンジもぎこちなく手も震えている。そして狙撃に失敗した殺し屋たちは止めを刺すべくサブマシンガンを構える。それら全てが説得力を持って描写されている上にグッゲンハイムの内部でそれが繰り広げられる。

最初はマジでグッゲンハイムで弾着込みの撮影?どうやって弾の跡(撃った跡に壁に穴が開いていく描写がグッゲンハイムの内部が白いためポツポツを開いていく弾痕がより強調されてスクリーンに映される。)のをしたんだ?CG?とか思ったら答えは簡単、一分の一のモックを作ったそうな(爆)ようするにセットをこさえて(監督のホームグラウンドドイツの使われていない機関車の車庫にグッゲンハイムのあの特徴的な螺旋フロアを再現したのだという。はっきりいってそこだけでも一見の価値アリですよ。いやマジで。
正直、パンフ見るまで中で撮ったと思ってたもん(笑)というかこの映画ロケが多いのでやっててもおかしくないし、さらに言えば今時CGで付けたし上等っすからね。こうやって実物大を作るという行為がいや本気だね、おたくって感じで(笑)さらに感心した。

クライブは前作『シューテム・アップ』ではほぼガンカタ使いも真っ青なガンマンだったけれど今回はそうではない執念の追跡者ではあるがガンマンではない捜査官を演じた。が、やっぱりこの人はこういう孤独感というか寂寥感のある役柄が似合う。監督も『トゥモローワールド』を観て起用を決めたそうで、『SINCITY』といいロンリーチェイサー役者として今後も精進していただきたいです。

そして『イースタン・プロミス』のロシアンマフィアのボスを演じたアーミン・ミュラー=スタールがIBBCのトラブルシューター元東独情報部ウェクスラー大佐役を演じて場を引き締める。やはりこういうポリティカルフィクションには渋い脇が必要。
その部分ではコンサルタント役のブライアン・F・オバーンもちょっとワルでもイイ人も出来るデビット・モースに似ている好キャスティング。義足の殺し屋を無味無臭だが確実に仕事を遂行するプロの凄味を出していた。

地味かもしれないが、その裏にきっちりとした実力のあるキャストに情報を込められたシーンなど、そしてストーリーはあくまで犯罪を追う男に据えブレなく追った佳作だった。

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by tonbori-dr | 2009-04-14 23:57 | Movie