*複眼の目撃者 バンテージ・ポイント

対テロサミットでスペインのサラマンカに滞在中のアメリカのアシュトン大統領。観光名所としても名高いマヨール広場での声明発表をする寸前、何者かに狙撃される。つづいて響く爆発音、そしてさらに混乱の中、演壇が爆発する。

この事件を、ニュース中継のため中継車から指示を出していたディレクター、レックスとそのクルー達。大統領から身を呈して凶弾から守りながらその恐怖感のため休職し、これが復帰初任務になる、シークレット・サービスのトーマス・バーンズ。しっくりいかない家族との間を距離を置いて考え直そうと旅行中の旅行者ハワード。彼らの視点からその23分間が再現されていく。
真実は一つ。だが視点が変われば隠された意図が、目的が、行動が浮き彫りになってくる。ある意味ジェットコースタームービー。このスピード感覚はえろぶろ at ExciteのGun0826さんが指摘しているように人気ドラマシリーズの『24』や『LOST』も確かに入っているし『ジェイソン・ボーン』シリーズの流れを汲むもののとしても捉えることが出来る。
えろぶろ at Excite:バンテージ・ポイント
あと、これもGunさんを初め映画サイトの感想や評論家さんのサイトでも言及されている、いくつもの視点から語られる点において『羅生門』との関連性は薄いよって話は、単純に宣伝文句の一つとしてそれぞれの媒体で語られているけど実際に鑑賞するとそれほど関連性が見出せないからだと思う。あの物語はそれぞれの『証言』によって食い違う事実。いったい本当に起こった事はなんなのかを問う事で人間の危うさ、欲深さ、醜さを抉り出すものだが、この作品では、そこまで情緒的でなく、また3人の登場人物に絞り込まれたものでもない。あくまでもそこで起こった事象を捉えて、そこで関わった登場人物たちがどういう行動(アクション)をとっていたのかという話に終始する。
そこが批評家たちに不評なのかもしれない。確かに各主人公の掘り下げは十分とは言えないが、下手に掘り下げをやってバランスとリズムを崩すよりドキュメンタリータッチに起こった事を描き切ることに終始したのだと思う。監督がドキュメンタリー畑の人と言うことからちょっとそういう部分を想起した。

キャストに関しては実力派ながら何故かいつも地味なデニス・クエイド。いつみても何故か漲っている感じのするデニスもいささか年を召したよねって感じもするがあいかわらず漲ってるので安心した(笑)
同僚ケビンにTVドラマ『LOST』のマシュー・フォックス。そしてこの件にたまたま現場に居合わせ巻き込まれるハンディカムで現場を撮っているツーリスト、ハワードにアメリカの鶴瓶師匠(笑)ことオスカー俳優、フォレスト・ウィティカー。
つうかもう出てきた時から挙動不審。この役に彼を配したことでこの映画は非常に面白くなった。それ以外にも『ボーン・アルティメイタム』でブラックブライアーの殺し屋を演じたエドガー・ラミレスにニュース番組のディレクターにシガーニー・ウィーバーがこれまたらしい演技を披露している。

あまりネタバレになるとこの映画の妙味が失われてしまうので詳しくかけないけれど事象を複眼のポイントから捉えなおすアイデアと『ジェイソン・ボーン』後のアクション映画のいいところをしっかり取り入れた映画としてホンの上手さが(時間の短さも含め)批評家からのウケが悪いと言われてもこの映画は面白いと言える、まさに手に汗握るという映画だった。
ちょっと気になっている人は行っといた方がいいかも。



あとガジェット的に面白いポイントをさらっと。

PDAが面白い使われ方をしているのだがあれってiPhone?なのかな。
今までも映画でPDAやモバイルギアが使われデータのやりとり、メールとか色々な使われ方をしていたがちょっと印象的だったので。
というかこのPDAを使ってるシーンを観てある映画を思い出した。

そしてカーチェイスのシーンは迫力満点。同じヨーロッパロケの『RONIN』にも劣らない。街中を飛ばすためテンションが落ちないのはやはり秀逸なカーチェイスシーンを創出した『ボーン・スプレマシー』『アルティメイタム』の流れとともにヨーロッパの古い街並みという利点を最大限活かしている。
これが日本ならこういう事が出来るのだろうか?例えば京都で・・・・。難しいだろうなと思って歴史的にも有名な街での激しいカーチェイス(ところどころは違う場所で撮っているんだろうが)はちゃんとコミッションがコーディネイト出来ているんだなと感心した。それとマヨ−ル広場での爆発シーン。まあこれはCGとかで処理するにしてもさ、清水の舞台であれだけの群集をコントロールしてなおかつ粗が出ないように弾着、爆発仕込めますかっていう話。これは難しい。日本ではそういう部分が弱い。
爆発後の見せ方とか予算の問題もあるんだろうけど嘘のリアル。リアリティが確保されていないことが多い。悪い部分は見習わないでいいけどこういう部分はちょっと見習ってほしいなと思う。
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by tonbori-dr | 2008-03-27 23:17 | Movie