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隠し剣 鬼の爪

山田洋次監督の藤沢周平3部作の中篇にあたる『隠し剣 鬼の爪』を観てたらあ、これまだ観てなかったなと(爆)

まさにウェルメイドの時代劇。幕末期の東北海坂藩の下級武士の物語を手堅くまとめている。

ただ多少印象が散漫な感じがした。それはあちこちで語られているように短編2本が1本になったから?2つの本筋がなんだかうまくかみ合ってない気がする。前作の『たそがれ清兵衛』ではうまくかみ合ってたんだけど。

とくにキャストの性って気はしないんだけど『たそがれ清兵衛』がそれだけ山田洋次監督がかなり熟成させてたってことなのかもしれない。

だけど藤沢周平映像化作品ってそれこそ『腕におぼえあり』な人が多いですよね(笑)

なんだか原作をちょっと読みたくなってきた。

追記:なんとスルー映画祭り100本目だった(^^;けどこれTV鑑賞だしな、微妙?



こっからは余談でしかも多少ネタバレ気味なんであるけれど
この鬼の爪ってほんと究極の隠し剣だよなあと。つまり一度しか使えないし戦場では使えない必殺の剣法。なるほどと思ったけど先週の予告篇で思いっきりネタバレしてんのねー(笑)
ほぼ想像がついたけどそれでも膝をポンとうった。
けども個人的には『たそがれ』で敵役だった田中泯が剣術の先生で出てきて永瀬くんにこれまた必殺の技を伝授するのだがそれがなかなか良かった。

あと近代兵器が導入されつつあったということで新式のシャープスライフルが登場し印象深い使われ方と写され方をしている。
このシャープスライフルは雷管式だけど金属装弾を使ってて連続発射の容易な銃としてアメリカ西部でも大量に使用されてたライフル銃。口径も0.50。キャリバー50というバーレットアンチマテリアルライフルと同口径だった。(但し威力はバーレットほどではない。しかし当時としては大口径で強力なためバッファローハントに使われた)用心鉄(トリガーガード)で排莢するのだがその動きを確認するため同心が操作したり弾込めをする足軽の描写があったりで平和主義者だけど山田監督、映像作家としてそういうトコにこだわるとは業が深いと妙な感心をしてしまった(笑)

でキムタクの『武士の一分』で3部作となっているようで一旦山田時代劇は終わったという事だが次に時代劇を始めるときは是非『秘太刀 馬の骨』を映画化して欲しいものだ。
もっとも2時間超の映画でこの作品の肝である秘太刀探しは映像化難しいかもしれないが。
これはNHKの藤沢作品『蝉しぐれ』に主演し現在大河の『風林火山』の主役山本勘助と勤めている内野聖陽が主演した時代劇で結構面白い。個性的な秘太刀の継承者と目される人物を叔父である家老から探すように依頼された石橋銀次郎が他流試合を禁じられたその候補者たちとあらゆる策を弄して立会い、それに振り回される近習頭取の浅沼半十郎との物語。
ウラには色々人物模様が見え隠れし陰謀がという筋立て。悲恋、忍ぶ恋とかそーゆう要素がなくて割と強引に秘剣を探索する銀次郎とそれに振り回される半十郎、それを見守る半十郎の妻、杉江といった人たちの一筋縄ではいかないけれどそれでも前向きな物語。

再放送があったらちょっと観て欲しいドラマである
HNKドラマ|秘太刀 馬の骨公式サイト

by tonbori-dr | 2007-02-24 00:09 | スルー映画祭り