『LIMIT OF LOVE 海猿』短評

しっかし冷静に考えるととんでも映画だよコレ。
あんだけすごい事故なんだけども人が死んでない!
でも冷静に考えるとそれで普通は当たり前か。湾内での海難事故。
初動がきちんとしていれば救助は大変だが避難は成功するよな。
ただ2次災害はえらい事になるだろう。
(重油の流出にガソリンとか諸々の有害物質もまき散らされる)
つうか救難士が2次遭難の元作ってどーすんだよ!という基本的なつっこみはおいといて、
割りとやふの映画レビューでは高評価なんだすな。
(参照)
けっこう荒れる時は荒れるしこういう作品だと荒れて当然かもとか思ったけれど安定している。

しかしそこまで感動できるかといわれるとそこ意地の悪い古強者はうんとは言えぬ。

「海猿」「海猿 -UMIZARU EVOLUTION-」も観ていたし、さらには原作も知ってたし雑誌掲載中には読んでいた(原作は漫画であの『ブラック・ジャックによろしく』の作者と同じ)こともあって完結と聞けば観るのが人情(苦笑)

全体としては、そこそこまとまっているし、なかなかそつなく進む脚本もまあまあ。
ただキャラクターの練りこみが浅い。
これは褒めている人でもそう書いているが(参照)
というか、こちらで言われる程に高評価も?で、なんか基本的に荒っぽいというよりホンを作った時点ですでにそうだったのか現場の変更なのかよく解らない部分が多かった。(まあようするにぐだぐだってこと)



それまでのキャラクターとしてEVOLUTIONの佐藤隆太がバディ。時任三郎は指揮本部の統括官として出てくるのも海猿を見ていた嬉しいおまけというかこのあたりは『踊る』などでも手馴れたもんである。ただ今回に限って言えばTVの出演者をもってきて作品的に拡がりをもたせることに成功したものの(個人的にスピンオフ、クロスオーバー好きなもんで)今回の出演の人たちにフォーカスが合いにくくなってしまい、折角の光石さんとかツダカンとか、どうにもキャラから滲み出るものが薄い。(もちろん役者はいい仕事をしている。それだけにカラ回っているように映るのが悲しい。)それは創った側がそこまで用意していないからではないのか?(背景を)どうにも紋切り型でない実力のある人がやっているだけにホンの練りこみが浅いんじゃないの?と気になった。というか美木良介さんの演じている本部長にツダカンか光石さんのどちらかで良かったんじゃないだろうか?(登場人物の整理)

それとTVの記者(リポーター?)浅見れいなという子がやってたけど、この娘さんの立ち位置が不明すぐる。想像するに、元々加藤あいの演じる環菜の役回りというのは、この「海猿」が漫画から映画になって登場キャラクター設定が変更になったという経緯があり、ヒロインが一般人が感情移入しやすいように夢を追う女性となって設定の変更が行われファッション雑誌の編集だったけれど主人公の大輔と触れ合ううちに夢だった服飾デザイナーを目指すといういうことになった。が元々は美晴という新聞記者で都落ちのように地方にきたけれど鼻息と向上心だけは高いという設定でそこから取材で乗り組んだ巡視船『ながれ』で大輔と知り合い、仕事と恋愛感情の狭間で悩み徐々成長するというヒロインだった。
そのあたりで原作ではこのフェリーのくだりで対策本部の愁嘆場でも説得力があったんだけど、環菜では対策本部に乗り込んでの愁嘆場は不自然と考えられたのだろう。そのために配置されたと推察した。しかし結果的にホンの変更が現場であったのかそれほどウェイトが占めなくなってしまったもののそのまま残ってしまったために誰、あの人みたいな感じになってしまったんじゃないだろうか。でないと全然、彼女後半ほぼ機能していないもん。そのあたりもそういう変更でなくもっと絡ませていけば面白いのに今の若い人は淡白やねえと思ってしまう。例えばこの記者の子が事情を知って対策本部に環菜を連れて乗り込むとか、あ!もしかすると環菜でいいじゃんってなったのは
スタッフが『アルマゲドン』を前日に観たからじゃないか?(爆)
別に身内が作戦本部にいてもいいよな、みたいな(^^;
でもそれは根本的に違う。リブ・タイラ−が司令室にいるのはアメリカでは家族が司令室に招かれたりすることがあって、それは一般人にもしられているから。
あのような災害時の司令室で作戦本部に普通の人が入り込むなんてあり得ない。
スタッフは『アルマゲドン』ではなく『ボルケーノ』を観るべきだったと思う。

反対に特撮的にはフェリーの座礁と爆破で結構頑張ったんじゃないですかみたいな。
実際にしょぼいとか迫力不足とかいうけどアメリカだって全部CGじゃやんねえしあれほどだとかなり大きいモックを作ってそれを吹っ飛ばしたりする。
予算を考えると協力に海保の船を出してもらって合成しいい絵がとれていると思う。
だが返す返すも東宝のプール閉鎖は大損失。
でもそれなりに出来ること、出来ないことをきっちり分けてやっている姿勢は少しだけ光明がある感じ。撮影もいろんな状況で鍛えられたと見え面白い画を撮っている。
ただ最近のハリウッドの流行の画ぽいのが気になる部分である。つかパクリっぽいな(^^;まあこっからどんだけ迫力のある画が作れるかって部分。

それに関連して先のリンク先でも音なりすぎという指摘があったが、それはハリウッドの流行のラインをなぞっているからでしょ。結構亀Pを初めとするフジ映画チームはハリウッドの手法を本気で取り込もうとしてると見た。
まあそれは悪いとは言わないけどそろそろ次ぎの手を打たないと流石に皆飽きますよというのは一応記しておきたい。でなければ差がなくなってしまって個性が無くなる。
最終的にハリウッドのように1作に100億もかけるなんて市場や制約を考えるとありえないので、真似だけじゃなく、どれだけそこからオリジナリティを創出できるかという部分を作っていかないと。

ホンはとにかく環菜と大輔の恋の決着と大輔の決意と『海猿』からの
『残ったボンベはひとつ。残圧30。片道ひとり分』というのに対し大輔の出した答えのアンサーともかぶさっているしそれはEVOLUTIONの必ず生きて帰る。と対になっている。
その辺の宿題はきちんとしましたという点においては評価してもいいし前作を知らない人のために独立した作品としても観れるように大輔のトラウマをさらに重ねておく配慮も納得出来る。この辺はちょっと甘めに見ているけれど(^^;
問題なのは細部のつめとか、現場ののりの差込の部分。
最近そういうのが多いけれどそれは内容がないようみたいな(^^;ド基本な話とか王道でならともかくこういう作品は画の見せ方セリフの言い回しではアリでも結構端のエピでもエッセンスになる部分はもうちょっとホンで練りこんどくべき。

あと環菜と大輔のプロポーズのくだり。笑いを堪えるので必死でしたよ。つか笑うと周りの人たちに殺されかねないくらい皆固唾を飲んでいるんだもん。
しかもあの切迫した状況でそういうプライベートな音声を使うこともそれを流しっぱなしというのもいくらお約束でもなんだかなという。しかも周りの海保のスタッフがぐっときているんですよ。
それはどうかという話なんだけど実は一般的にはこのシーンで皆さんぐっと来るそうでそこんところの感性は解らない。けどそこがヒットする部分のD通的な肝なんかもねとなげやりにいっときます(苦笑)
でも考えるとおかしくてもあそこに入れるのが尺的にも映画の流れ的にも皆が納得しているんならもう別にかまわないし映画というのは実はそういうもんだったりする。というか今はそういうのが好まれているということか。
にしてもヤフの絶賛振りにはちょっと引くけど(^^;

追記;文章を手直ししています。08/02/05
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by tonbori-dr | 2006-07-29 00:04 | Movie