座頭市対用心棒

実は永らく未見であってやっと観ましたぞ。

他のDVDはポニーキャニオンから出ているのにコレは東宝リリース。
やはり喜八監督だから?
それでもほとんどのスタッフは勝プロで「座頭市」を撮り続けた大映からの生え抜き組。
大方対三船先生としての登板なのかもしれぬがそこは喜八監督。
随所に喜八色を仕込んでいく。誰が敵で誰が味方か?そういうのはお得意だしやはり西部劇っぽいんだよね、舞台仕立てが。関係ないけど勝新さんの兄さん若山富三郎氏の「賞金稼ぎシリーズ」なんかはまんまなんで喜八監督が監督すれば面白かったかもしれない。まあ余談だけど。

それにしても勝さんってのは最近では中村玉緒の旦那でパンツにコカイン隠した人扱いだがこれほどの演技者も居ない。冒頭追われる事に嫌気がさして以前にいった平和な村に行こうとするシーンで勝ワールドに観ている者を引き込んでしまう。「せせらぎ・・・・、梅のにおい・・・」全く持って大したお方だ。だが喜八監督もそのせせらぎに死体を転がしておく。映画ではよくある手法だがこういうところできっちり見せる。後年『影武者』で黒澤監督と勝さんは喧嘩別れをし仲代さんに交代したのだが同じ東宝出身の喜八監督。うまくいなしている。さすがである。



ということでお話はその寒村が飢饉に見舞われ地回りのヤクザを入れたことから市の覚えているのどかな村ではなく血の匂いと欲望の渦巻く町になってしまった。そこにヤクザの用心棒(三船敏郎)。親分の小仏の政五郎(米倉斉加年)やその父で村一番の商人烏帽子屋に八州廻りの役人(神山繁)、さらには政五郎の弟で烏帽子屋の次男。勘定方で小判鋳造の役人後藤三右衛門(細川俊之)など曲者揃い。さらには三右衛門が雇った烏帽子屋の護衛、九頭竜(岸田森!)なども出演。喜八組としては寺田農氏演じるちんぴらの余吾や偽按摩の砂塚秀夫氏など。あと村の岡っ引きを草野大吾氏が演じているのも嬉しい。

女優陣は少ないが酒場のおかみ梅乃役で若尾文子さんが出演。これがまためっぽう色っぽいしキップも啖呵も決まる。さすがであるなあと。最近の大人しい役を見慣れた目には底力を見せ付けられた思いだ。

音楽はこれまた伊福部先生となると相当に豪華であったということ。さすが20作目の節目になる作品だけあってゲストも豪華なら音楽、スタッフにも外部の血を入れるとはさすが勝新である。セットもこってて合掌造りというかなんというか4階立ての屋敷のセット。これだけでもすごい金かかってますぞ。ええ。そこを市が手探りで昇っていく。そのためだけに作られたと言っても過言じゃない。(事実ラストの殺陣にもここは殆ど関係なしだもの)贅沢が過ぎますぞというかそれが出来たんだ。この時代は。


物語はひとくせもふたくせもある連中が蠢いて絡み合うという構成をとっていてここは「独立愚連隊」とか「戦国野郎」とかと通じるモノが。
西部劇好きな喜八監督だし市なんかはまんま『用心棒』的でもあるわけでそこにまた用心棒そのものが客演となると当時は凄く盛り上がったんだろうなあ。まあ結末に関しては異論あるところではありましょうが喜八監督らしいオチのつけかたにさらに勝さんらしさを加えたってところか。
それでも殺陣は迫力ある。実際には勝さんよりお兄さんの若山さんの方がすげーうまいんだけどね。それでも市の仕込み居合の振り回しや三船さんの力強い殺陣もなかなかのモノ。
キャラクターをよく掴んでいる殺陣だ。実は殺陣もそういうキャラクターをうまく出した人が昔は多く、退屈男の市川右太衛門や松方父の近衛十四郎もそういうキャラと殺陣を巧に見せていた人たちだった。今はそういう人少ないねえ。

とにかく時代が産んだ映画だなということで。
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by tonbori-dr | 2006-05-10 00:27 | スルー映画祭り