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対峙 -承前-

回を重ねてまいりしましたこのシリーズ、ここまで来ましたのも皆様のおかげでございます(^^)
このエントリ、拙ブログカテゴリ妄想特撮シリーズのエントリ「破壊神侵攻」の続きです。
お話を追うには「深海に響く魔女の歌声」から読んでいただければよろしいかと存じます。

***前口上***
あくまでもコレは森と海さんと私tonboriの妄想でございますのでそのあたりご了承下さい。

またその元ネタになっている部分は皆様ご存知の作品ですがその大元の権利はあくまでも原作者の方々のものです。

これは非公認のお遊びとしてご笑覧いただければ幸いです。


それではごるゆりとご覧下さい。





「イージス艦より魚雷発射探知!!」
「よしこれは有線誘導のはずだ。ワイヤー誘導を切り離した時がチャンスだ。マスカースタンバイ!デコイ発射用意。ソナー魚雷の相対距離を報告」
「距離500、400、300、200・・・100」
「よし艦を傾斜20度、総員身体を固定しろ!マスカー放出!」
轟天に命中寸前の魚雷は「ひえい」からワイヤーを切り離され自律航走モードに入った。
が轟天は艦を傾斜させ魚雷防御用マスカーで船体を覆う。急に目標をロストしたと魚雷のICが判断した刹那、デコイがタイミングよく発射され魚雷は猛然とデコイに向かって突進する。

「失探?いや目標2を追尾中。」ひえいの水測員が報告する。
「いや、まてスピードが速すぎるし感が小さすぎる・・・こいつは囮です。」ひえいの水測長真鍋海曹長は魚雷とデコイのスコープに映る輝点を観てそう判断した。
「間違いないな?曹長」木崎が念を押すように真鍋に問い掛ける。
「ええ、艦長。間違いありません。」
しかし何故だ?何故こちらに撃たせたのだ?思い当たった木崎は水雷士に怒鳴る。
「魚雷に自爆信号を送れ、目的は解らんが目標1にぶつける気だ!」
しかし一瞬遅かった。THEMONの鼻先を掠めるようにデコイに魚雷が吸い込まれるその瞬間爆発が起きた。

それに合わせ加音は爆発ボルトの安全装置を解除作動させる。
爆発音に紛れワイヤーは切り離された。と魚雷の起こした乱流に飲み込まれ木の葉のように海中を舞う海龍。素早く体勢を立て直し後ろから迫ってきた轟天に速度を同調させる。
「海龍前方に付きました。」
「よし後部接合部開口。ガントリーアーム拡げ。そのまま同調させ接合する。」
「了解、接合シークェンス開始」

「なんだ何が起こった?」前方で起こった爆発を捉えた相模湾で待機しタケミカヅチ作戦の発令後三宅島に進出してきた海自潜水艦「しまなみ」の艦長、山南はすぐさま状況の把握するため副長に命令を下しながら発令所に詰めていたお客の様子を見る。赤木りつこ三等海佐はその海中爆発音にしばし驚いていたようだが今は乗り込んできたと時と同様に能面な冷たい顔に戻っている。「大丈夫ですか?」と尋ねる山南に対しても「ええ。」とそっけない返事をした彼女の注意はこの出航前に急遽搭載された特殊兵装のパネルに注がれていた。
「艦長、報告します。どうやら前方の”目標2”に対して後方より追尾中のひえいが発射した魚雷が”目標1”に命中したようです。」副長の永倉一尉が報告をあげる。
「そうか、なにか策を弄しているようだが目標1は第2次艦隊に任せるしかない。よし我が艦もこれより移動開始、目標2の阻止に全力で当たる。総員配置につけ」(t)



 「呉爾羅明大神様はお怒りじゃー!皆のもの、呉爾羅大明神様がやってくるぞー!」
 真夜中の新宿通りに、老婆の怒声が響く。ほろ酔い加減のサラリーマンの群れが、この街ではよくある風景を、毎度のことと思いつつ好奇の横目で眺め、ニヤついている。
 「また、婆さんか。ちょっと来てもらうよ。あーあー、分かった分かった。」
交番から飛び出してきた2人の警官に両脇を抱えられ、老婆は交番の中に消えてゆく。
 「先輩、なんですかね?あれ」
 「ああ、あのバーさんは、ここいらではちょっとした有名人のゴジラ婆さんだ。ん、なんだ、おまえ知らないのか?」
 「なんですか、ゴジラ婆さんって?」
 「なんだか知らんが、夜な夜な、呉爾羅大明神がーって叫んでんだよ。ちょっとここがおかしいらしいんだな。」
 サラリーマンの、先輩から後輩へ都会の夜の珍事についてのレクチャーが、終わるか終わらないかというタイミングで、突如アルタビジョンにこの時間には似つかわしくもないアナウンスが流れはじめる。
 「突然ですが、株式会社スタジオアルタは、内閣府の要請により、首相官邸から西宮総理の特別会見をお送りいたします。首相官邸にカメラを繋ぎます。」
 「えー、西宮です。ただいまより重大な発表をいたします。東京湾沿岸の皆様におかれましては、冷静に聞いた上で、速やかに行動なされることを切望いたします。冷静に聞いてください。東京湾に向かって、巨大生物が進行しております。自衛隊が全力で東京湾侵入を阻止するよう作戦を行っておりますが、万一に備え、神奈川南東部、三浦・横須賀・横浜・川崎、東京大田・品川・港・千代田・中央・江東・江戸川の各区、千葉西部浦安・習志野・千葉・市原・木更津・富津・館山ら東京湾沿岸にお住まいの住民は、内陸部への退避をお願いしたい。ただいまより、JR・私鉄各社・各地下鉄公団の臨時運行が始まります。自治体職員・警察・自衛隊員の指示に従って、速やかに整然と避難されることを望みます。それでは、巨大生物の進行予想・自衛隊による阻止作戦の詳細については、大湊対策本部長より説明いたします。大湊本部長。」
 「大湊です。我々対策本部は、巨大生物発見の報からずっと動向を監視しておりました。
現在巨大生物は、三宅島南方50キロに位置し、・・・」
 「先輩、さっき婆さんが言ってたのは、これじゃないっすか?呉爾羅大明神云々ってやつ?」
 「明日は、臨時休業かあ?はっはっはっ。榎本、朝までパッーといくぞォー!」
 「ヤバいっすよ、先輩。おれ、酒冷めちゃいましたよ。行きましょうよ。」

 辺りはにわかに慌しくなってきた。雑居ビルの止まり木に止まっていた酔客は、一斉に我先とばかり家路を急ぎ始めた。夜中の新宿通りは昼間かと見間違えるほどの人波が駅に向かって動き出し、大混乱となった。(f)

そのころ東京に向け陸上自衛隊の部隊が続々と都心部に向け行進していた。それにともない隣接する神奈川、千葉の両県の沿岸部にも部隊が集結し監視体制が執られていく。そして警察や自衛隊の誘導により沿岸部の避難が開始されていく。一方首相官邸では緊急放送を受けて記者会見が行われていた。記者が居並ぶ前、会見用にしつらえた演壇の前にたつ石原危機管理室長に矢継ぎ早に質問が飛ぶ。
「何故近海まで迫ってからの発表になったんです?」
「えー、それは国民の皆さんにいらぬご心配をさせまいという・・・・・」
「何を言ってるんですか!巨大生物とやらはもう三宅島まで迫っているんでしょう!」
「ですので現在防衛出動で動員されている自衛隊各部隊により阻止作戦が展開中でありまして・・・」
「大体なんで急に発表となったんですか?TV会見では動向をキャッチ追跡していたというんじゃありませんか?まさか何度も失策して日本近海への接近を許したんじゃないでしょうね?!」
「ですので、それは今まで追跡しておりましてその行動パターンと通常兵器の有用性や、えー」
「あんたじゃ話になんないよ、会見に出ていた対策本部長を出してくださいよ!」
記者達の怒号が飛び交う中、石原室長はしどろもどろに答える。が、一向に記者達の興奮具合は収まる気配が無い。

その中でも対策本部には次々と各部隊の連絡が入ってくる。
「ヤタガラスより本部。フジ101の通過を確認送れ。」
「了解、フジ101浦賀に到着次第即時展開警戒待機態勢に入れ。」
「こちらカムヤマトより本部へ。台場に到着只今より展開に入る、送れ。」
「了解、木更津のオオワシが到着次第各部隊誘導を開始せよ。」

「こちら『かつらぎ』作戦位置についた。指示を請う。」
「了解、『かつらぎ』後方の『ひえい』が目標と接触中、作戦開始の合図を待て」

「F-2の発進状況は?」桐山が副官に尋ねる。
「北部方面隊より入電、あと10分で離陸できます。ETA(現場到着時刻)は30分後の予定」
「しかしなんだったんだ?先ほどの目標2の動きは?」岸田が誰とも無く疑問を発する。
「解りませんが目標2がその後も目標1の後ろから動かないのが気になります。『しまなみ』と『ひえい』は目標2を捕捉中なんですね?」
大湊はある可能性を考えていた。折笠との接触、そしてその後発進した潜水艦。確かに現在のソナーシステムは当時のものより格段に性能も上がっている。しかし何らかの手段を講じて前方をスキャンすればそれは探知される恐れもあるということだ。潜水艦にとって己の位置を正確につかまれると言う事は命取りだ。そのための探知システムとしての「PeMBⅠ」ローレライシステムは究極のパッシブセンサーであるといえる。但しローレライはそのコアテクノロジー自体がオカルティズムのような特殊な人間の媒介がなければなしえないものであるがゆえに今までどこの国もその存在をしっている日本、アメリカ、ドイツの3国でさえも実用化に動くことは無かった。もっともそのテクノロジーの概要を正しく掴んでいる国など既に崩壊しありはしないのだが。目標2と呼ばれている艦の動きから考えて先の会戦でローレライシステムをなんらかの形で運用しているのは間違いないとは思っていたがまさか伊507のようにミゼットサブを曳航していたのか?そしてなんらかのトラブルが発生しミゼットサブが目標1に絡まっていてそれを回収するための博打を打ったのでは?つまり現在、目標2はローレライという目を取り戻したという事になる。そしてその戦闘力は戻ったと考えるのが妥当だ。しかしそのための対抗措置として「フォノニクス・ブレーカー」を潜水艦『しまなみ』に搭載した。
元々『フォノニクス・ブレーカー』はフォノンメーザー(超音波)を敵に照射し敵の探知システム(もっぱらソナーを主にする音波測定装置とその他の電子機器)を狂わせることを目的に開発が進められたのだがその出力を上げると共鳴波を生み出し内部の人間にも変調をもたらすと言ういわば机上の兵器だった。しかし海中での拡散波によって所定の目的に達せず打ち捨てられていたものをローレライシステムにまつわる動きを懸念した大湊がプロジェクトごと自らの指揮下においた。そして防衛大きっての才媛と謳われた赤木りつこの登場により改良が加えられ最近よくやく実用化のめどがたったものだった。まだめどがたったところでの実戦投入になるとは露とも思わなかったがこの状況下ではそうも言っていられない。

作戦開始時刻まであと30分。
浦賀に到着した陸上自衛隊第1師団特科隊は太平洋側に向かって布陣した。
隊司令の佐竹一等陸佐は双眼鏡を持って水平線の向こうを眺める。
「館山、茅ヶ崎も展開完了だそうです。」連絡将校の斯波二尉が報告する。
「よしこちらも対艦誘導弾及び特式を起こせ。榴弾砲も所定位置に。MARSも起動後総員監視に入れ。」
特式と言われている特03式光学砲。陸上自衛隊の最新式兵器である。日本が独自に研究開発した誘導弾迎撃システムとして開発されたレーザー砲である。高出力のレーザーが大気中で減衰する光学兵器の欠点をカバーするべくコンパクトに開発された加速装置と集束レンズを使ったエクサイマー高出力レーザー砲。電源車とコントロール管制車、そして本体との3台からなるシステムの総称だ。引力に影響されない新世代の砲撃システムとして配備された。
「目標2はともかく巨大生物にどこまで通用するんでしょうか?」斯波が佐竹に心配そうに聞く。
「そんなことは俺にも解らん。ただ上の方では相手は生物。高エネルギーレーザーならかなりの威力が期待できるんじゃないかと思ってるようだ。つまりレーザーメスのようにな。上の方は気楽なもんだ。使う俺達にとっては命がけだってのに。しかし命令は命令だ。もっとも三宅島でけりがついてくれれば俺達の出番は対艦誘導弾のみであとは無いはずだがな。」
「そうですよね、海自も護衛艦に潜水艦、空自も出張るらしいし。」


台場に展開した90式戦車の中で斎藤一等陸尉はキューポラハッチを開け双眼鏡を構える。
「ほんとに来るんすかねえ。」操縦手の原田一等陸曹がのんびりとした声をあげる。
出動命令は突然だった。東京の守りを預かる第1師団と言えどもまさかほんとうに出動するとは斎藤も自衛官として任官してから考えたこともなかった。元々戦車に単純に憧れそのまま戦車乗りになれるという理由だけで陸上自衛隊に入隊し念願かなって戦車操縦過程に進んだ。成績優秀でそのまま富士の教導団に配属されていたが1年前に第1師団に配属になったときはなんでこんな東京のど真ん中が任地になったんだと思った。それがまさかこんな状況になろうとは。しかも出撃前のブリーフィングでは接近中の脅威は未知の巨大生物でまだ報道管制が引かれているものの既に被害も出ているということを聞かされてもピンとこない。そもそもそんなデカイ生物がいると言う事自体がなにか現実をひどく欠いたようなそんな感じだった。しかし出動命令は現実だった。木更津の第1ヘリコプター団のCH-47チヌークが普通科連隊の兵員をピストン輸送している間に斎藤らの戦車隊はキャリアに載せられ東京お台場に送られてきた。
「三宅島近海で防衛線を張るそうだし浦賀にも特科を中心に防御線を構築しているそうだ。俺達は万が一のためのまあ抑えってとこだろう。」
「どんなやつかお目にしたいもんですねえ」と原田。
「冗談じゃないですよ、そんな化け物海自と空自で片付けてほしいもんッスよ。」
まだ若い射撃員の山崎一等陸曹が原田に喰ってかかかる。
「そうかあ?もしかすると世紀に発見にもなるんだぜ、そんなもんを見逃したら損ってもんだ。」
「バカもん、そのくらいにして無駄口を叩かず監視任務につけ。」

三宅島の船着場では役場の職員が埠頭のフェリーや貨客船に島民を誘導していた。広場には陸自のCH-47チヌークが着陸し沖合いの海上自衛隊のLST(輸送艦)みうらに避難する島民をピストン輸送している。町長が避難誘導のために来た自衛隊員をつかまえる。
「いったいぜんたい何がどうなってるんだ?急に避難と言われてやっとるが何が起こってるんだ?」
「ここで詳しく説明しているヒマはありません。船内でご説明致しますので早く船へ。」
島民達は不安な顔で次々フェリーや貨客船に飲み込まれていく。

航空自衛隊三沢基地では最終のブリーフィングが行われている。
富樫三等空佐は編隊僚機の2機のパイロットを前に手順の最終確認を行っていた。
「我々のターゲットは目標1と呼称されている巨大生物のみだ。目標2に関しては海上自衛隊の護衛艦と潜水艦が引き受ける。ヒットアンドアウェイで一撃を喰らわして基地に帰投する。なにか質問は?」
2番機のパイロット葉山二等空尉が手を上げる。
「その目標2ってのは対空兵器もあるっていうじゃないですか、本当に海自の連中で抑えきれるんですかね?」
「もっともな質問だ。だが差し迫っての脅威は目標1の方だ。こいつの東京湾侵入及び沿岸上陸はなんとしても防がなくてはならん。目標2に関しては百里の航空隊からイーグルが発進して引き付ける手はずになっている。他には?」
3番機の辻森二等空尉が挙手をする。
「その百里のイーグルに何故任せないんです?いくら我々が対地攻撃に適していると言っても百里の方が作戦上有利に展開できますしなにより支援だって。」
「それは使用する誘導弾が特殊なため必中を期さねば成らんからだ。F-15は要撃機の性格上我々のF-2ほどの誘導システムではない。その特殊弾頭は俺と葉山の機に搭載する。辻森お前はバックアップだ。他に質問が無ければ出撃する。以上」
待機所から滑走路に出た3人はアイドルアップ(暖機状態)のF-2に乗り込んだ。
「ロメオ1、クリアードテイクオフ(滑走よし離陸せよ)」
「ラジャー、コントロール。V1・・・・VR・・・・・・V2・・テイクオフ」
轟音を響かせ大空へ舞い上がったF-2支援戦闘機3機は作戦海域へアフターバーナーを全開にして飛行する。(t)
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まだお膳立てしてます(苦笑)
でもこれで大体舞台は出来たかなと。あとはどうやって目標1こと大明神が暴れまわって浦賀に侵入しお台場で暴れ狂うのか?轟天はこの後どんな動きをとるのか?
と自分の事ながら興味がつきません(笑)

えー私、続きいいの考えたってのも歓迎です。いやマジで助けて~(^^;)
その場合はこのエントリのコメント欄で表明及びUPをお願いします。一応エントリは私が立てていますが森と海さんと2人でこの妄想を組み上げたので私達2人に解る形を取りたいと思いますので。
アイデアもOK。その場合も同様にコメントとして投稿してください。

そこでまた溜まれば独立したエントリとして上げます。


この物語の登場人物一覧もあげておりますのであわせてどうぞ。
感想コメントも受付しておりますのでよしなに(^^)
「亡国の破壊神」または「深海に響く魔女の歌声」備忘録
本店の方にも特設サイト開設しております、あわせてどうぞ(^^)
それでは皆さんいざ、行かん。広大なる妄想の海へ!

by tonbori-dr | 2005-08-16 22:41 | 妄想特撮シリーズ