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Netflixで「MARVEL デアデビル」を観た!【ネタバレ】

と、いう事で1ヵ月は無料で視聴出来るってんで観ましたよ「デアデビル」
米国で配信されると同時に高い評価を得たっていうのも頷ける出来上がりでした。言わばこれはいわゆる「デアデビル・ビギンズ」といったところで、既に多くの人が指摘しているように「ダークナイト」との相似もあります。もっとも主人公は大富豪ではありませんが。(と言うかどっちかというと貧乏人)でも「ダークナイト」っぽい作品っていうのはアメコミヒーローでは避けて通れない道なんじゃないかなっていうのが最近感じてて、例えばDCコミックを元にしているドラマ「ARROW」もシーズン1はまさにそんな感じ。煉獄と呼ばれる島でサバイバルして、そこで身に付けた技で父の遺言と残したメモを頼りに街を脅かす悪を退治するオリバー・クイーン。彼がある意味、ただの自警団から街を守護するダークナイト(この場合はアーチャーですが)への変貌をじっくり描いて見せたのと同じ構造をもっているのです。とは言え個々のディテールは全く違いますが。

とにかく主人公と、周りの人々の描写が深く描きこまれているのと同時に説明過多にならないように気を遣っているのがよく分かります。そして何より驚くべきことは、この「デアデビル」が「アイアンマン」や「エージェント・オブ・シールド」と同じ世界でのお話という事なのです。マーベルシネマティックユニバース(M.C.U)と呼ばれる大きな統一された世界観での出来事なのです。それを示すものは登場人物のセリフやちらりと映るモノが指し示しています。実はそれも大きな驚きで今までのマーベル・シネマティック・ユニバースで描かれた大掛かりな地球の危機を守るアクション映画とは違うダークで重苦しい作風はまさにストリートのクライムサスペンス。でもだからこそ、M.C.Uでこういう事も出来るのか!と作り手の想いと作品世界の強度がまた一つ強化されたなという想いです。




















それを強く意識したのは、物語の舞台が「アベンジャーズ」後のNYヘルズ・キッチンという事で、あのNY決戦(Battle of NY)から復興しつつあるNYという設定を強く感じるシーンがあったからです。主人公マットと相棒のフォギーが事務所を借りようとする時に、それを示唆するセリフがあります。どうもNYの人たちにとってはあの一件は「インシデント」と言われているようです。これがまた含みのある言葉なので、ニューヨーカーにとってはあれはそういうものだったのだなと。ある意味マーベル・シネマティック・ユニバースでの「9.11」ではないのかともとれるシーンでした。
また新聞記者ベン・ユーリックのオフィスの壁にはあのNY決戦の記事が額に入れて飾られていました。多分ベンも現場に出て取材をしたのだろうなという。どういう内容なのかは分かりませんでしたが。また別の小ネタですが、覆面の男(デアデビルと呼ばれる前の)が嵌められたというシーンでキャプテン・アメリカとフォギーが口にします。これは「ウィンターソルジャー」の一件を指してると思われます。あの一件でキャップが一時逃亡者という事からかなと。もっとも自分のつたないヒアリング能力では詳しくは分からなかったのですが。

また今回のキャスト、主人公マット・マードックのチャーリー・コックス、フォギー・ネルソン役エルデン・ヘンソンの抑えた熱演は友情と複雑な事態に追い込まれた2人をよく表現しています。そしてヒロイン、カレン・ペイジ役デボラ・アン・ウォール。正義感の強いちょっと孤独なヒロインなのですが、彼女もまた闇を抱えていくことになります。また傷だらけのマットを助けてくれるERの看護師、クレアをロザリオ・ドーソン。幼少時にマットを導いてくれた謎の盲目の男スティックをスコット・グレンという豪華さ。しかもスティックはショーランナー(製作総指揮のようなポジションでストーリーの方向性を決める)スティーブン・デナイトによると千葉真一にオファーしたかったとか。実現しなかったそうですがしてたらそれはそれで観たかったなあ…。

今回のヴィラン(敵役)はキングピンことウィルソン・フィスク。ベン・アフレックの映画ではマイケル・クラーク・ダンカンが演じた巨漢で一見肥満体に見えるがその実それは全て筋肉の塊でとてつもない腕力の持ち主、しかも狡猾な犯罪者でもあるこの役を演じたのがヴィンセント・ドノフリオ。「フルメタルジャケット」の微笑みデブで有名な彼は、LAW&ORDER:犯罪心理捜査班でのNYの敏腕刑事ゴーレン役も有名です。今回のフィスクは凶暴になったゴーレンさんっぽい登場から徐々に「ブラックリスト」の主人公で犯罪コンシェルジュことレイモンド・レディントン(演じるのはウルトロンの声とモーションアクターであるジェイムズ・スペイダー)にも匹敵する犯罪王的キャラクターを貫禄で演じていました。正直彼以外ではどうだったかなという気さえする、はまり役ぷりには驚嘆です。アメコミには詳しくないのですが原作スパイダーマンやパニッシャーにも敵役として登場しているのでそういうリンクも今後あるのか?ちょっと期待しています。

という事でNYの騒ぎは収まり、覆面の男は赤いスーツとマスクで街に束の間の平穏を取り戻し「デアデビル」と呼ばれるようになりました。その彼の活躍を、特にマーベル・シネマティック・ユニバースが好きという人や、アメコミヒーローモノは押さえてるという人、また海外ドラマファンなら必見ものと言っていいと思います。

2015.09.11 19:56(一部表記を追加しました、ヴィラン(敵役)とレディントン→レイモンド・レディントン(演じるのはウルトロンの声とモーションアクターであるジェイムズ・スペイダー)です)

by tonbori-dr | 2015-09-10 23:27 | TVdrama