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「PTU」短評

香港の尖沙咀(チムサァチョイ)地区の一夜の出来事を表題のPTU(香港警察機動部隊)のホー(サイモン・ヤム|任達華)隊長とその部下たち、拳銃を無くした尖沙咀署の組織犯罪課刑事ロウ・サァ(ラム・シュー|林雪)、CID(犯罪捜査課)の警部チョン(ルビー・ウォン|黄卓玲)らが追いかける殺人事件を横軸にそれぞれが午前4時の広東道に収束していく様を90分で描ききった作品。

冒頭から何か緊張感が漂うこの画作りにまずしびれる
いや結構ベタなとこもあるけれどぐいぐいと引き込まれていく。
そして夜の香港を一人の刑事が拳銃を失うことから引き起こされる出来事の数々。
時間が短いとは全然感じさせない濃密な映像が緩急をつけながら繰り広げられる。
「Tザミッション・非情の掟」の時もそうだったが緩急の付け所がうまい。

俳優達もそれに応えてコントラストを引き立てる芝居をしている。



トゥ組サイモン・ヤムを筆頭にラム・シューが主要人物のホーとサァを演じているがそれ以外にも「ザ・ミッション」のボス、ブンとその叔父の、エディ・コー(高雄)ウォン・ティンラム(王天林)も出ていた。パンフによるとティンラムは「ゴッドギャンブラー」や「シティ・ハンター」の監督バリー・ウォン(王晶)の父親だそうだ。しかもトゥ監督の師匠にあたるとか。
にしてもホンもよく練られている。全ての出来事に無駄がなく(実際に彼らのやっていることは無駄というか違法スレスレ、いや違法行為(^^;なんだけれど)全てがきっちりラストシーンに集約されていく。

この作品にトゥ監督は2年もかけた。早撮り、多産で知られる監督にとっては異例なことだがそれだけ愛着もあり自らのアイデアをつぎ込んだということだろう。
あきらかに作品の端々からそれを感じる。

「事件は会議室で起こっているんじゃない、現場で起こっているんだ!」という例のアレがありますがそんなものはコレのあとには裸足で逃げ出しちゃうね、いやマジで(^^;全ては現場で起こっていてなおかつリアルタイムで無いのにリアルタイムで起こっているのか如く進むこの配分。

それとサァが拳銃を無くしたのでそれを悟られないようにおもちゃ屋(モデルガン屋)でエアガンを購入するのだが刑事用のモデルが無く(彼の拳銃はグリップがラバーグリップなので黒なのだがエアガンは木製グリップを模した茶色)黒の塗装スプレーでクルマの中で吹きかけるシーンがあった。でその塗り立てを乾かすためにエアコンの噴出し口で乾かしていたが多分シンナー臭くてえらいことになったに違いない。でもサァは必死なのでそんなことにかまっていられない。
彼の必死さが良く出ていたシーンだった。

by tonbori-dr | 2005-06-30 01:09 | Movie