アニメ小話Vol.2「ボトムズというトゲ」♯kummen

VOTOMS♯kummen
装甲騎兵ボトムズは1クール毎に舞台が変わる。
舞台があちこちにうごく話はよくあるけれどボトムズはほんとうにガラリと変わった。
このクメンに物語の舞台が変わる前ウドの街の崩壊シーンからして凄かった。PS奪回のため空を覆い尽くすほどのATM-09スコープドックの空挺部隊。一つの街が沈み行くシーンは衝撃的だった。そしていきなりなんの説明も無く次なるステージはジャングルから始まる。

「気も狂うような暑さと湿気。そして熱病と死を運ぶ虫ども。緑に塗り込められはいるが、ここは地獄に違いない。」14話冒頭のキリコのモノローグより

ここからしてこのアニメが普通のロボットアニメと一線を画しているのは明白だった。何故ウドを脱出した後にキリコがここに来たのかは一切の説明がない。ただ前述のセリフのあとにウドからの脱出後追跡の手を逃れたという短いセリフがあるだけだそしてここで前段からは3ヶ月の空白があると。もっともこのおかげで後のサイドストーリー「ザ・ラストレッドショルダー」が入り込む余地が出来たのだが。
クメン編の冒頭はいきなりジャングルでしかもボートで河を遡行する。そのため「地獄の黙示録」じゃん(笑)という話もあったけどATという兵器とキリコというキャラクターはすんなりとそれに溶け込んでいた。彼が帰還兵という設定であり、生まれたときから戦争に囲まれていたということを考えれば内乱のクメン王国に逃げ込む(木を隠すなら森に隠すのとおり)自然な成り行きであったと思うがいきなりスチームパンクのアンダーグラウンドなウドからクメンというのは制作者側にとっても冒険だったに違いない。しかしそのハードな物語のスタイルを考えればこの選択は私は正解だったと思う。
クメンに流れ着いたキリコは傭兵部隊に入る。「アッセンブルEX-10」。「ワイルドギース」や「戦争の犬たち」、「エリア88」などを知っている自分にとっては外人部隊という状況はかなり琴線に触れまくっていたのをよく覚えている。お約束な嫌味でしかも小心者のカン・ユーをガンダムでは最強のオヤジキャラを演じていた広瀬正志さんが演じていたのはご愛嬌だが(その後高橋良輔作品のレイズナーでも強烈なゴステロを演じている。)クエント人のル・シャッコ、荒くれ者のキデーラ。そしてクメン編のサイドストーリーに大きく関わるポル・ポタリアなどウド編では3バカトリオとキリコ、フィアナと秘密結社とミニマムな話がここにきて関わる人間が増えボトムズの世界観がまた一挙に広がったのもうまい。特にクメン王国軍の番外地アッセンブルEX-10を束ねるゴン・ヌーはどうみても「地獄の黙示録」のカーツ大佐のような巨漢だ。しかしカーツ大佐と違うのは彼は策士であり戦場の狂気にさらされた者でなく算盤高い男だったと言う事は非常に面白いと思う。そして秘密結社が支援しているビーラーゲリラ。クメンの近代化に反対して反乱を起こした第3皇子カンジェルマンに若き闘士モニカなどサイドストーリーにも力が入っておりこのクメン編の見所になっている。
特にカンジェルマンの想い、滅び行く者の決意というのは今見ても深く心に残る。全ての古き者とともに滅び行く運命を選択した男。そこに監督たちが込めたキリコの生き様とはまた別の想いが垣間見える気がする。物語が長編の大河ドラマ的な要素を持ってるが故のサイドストーリーと言える。
このクメン編で心に残っているセリフは以前のエントリにも書いたのだが第21話「遡行」での

『なにかを求めて戦場に来る者。その日のメシにありつくために引き金を引く者。理想のために戦う者。そして硝煙と死臭の中でしか生きられないおれ…ここは神の棲家なんかじゃない、ただの瓦礫の山だ』、

キリコとその周りをよく表した上で制作者たちの込められたものが感じられる名セリフだった。


ゴウト、バニラ、ココナの3人組もそれぞれにキャラクターがその特性を出してきてこのボトムズを語る上では外せないエッセンスになっている。これについてはまた今度ということで。
[PR]

by tonbori-dr | 2005-02-14 02:41 | anime&comic