暁の海に魔女は咆哮する〔ローレライ〕

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ファーストランも終了しムーブオーバーをぼつぼつ終わっている映画館もあるのでそろそろ。
ネタバレ含めつつ
以前「伊507浮上」で書いたとおりおおむね良かったというかやっとこういう画がきちんと見られるようになったのかということで是とした。
ただ細かい部分や作劇での?はもちろんある。
それでも伊507の潜行シーンや雷撃、米艦隊との戦いの状況は映画として成立していた。
だからこそ次の一手はその部分をアップデート及びブラッシュアップしてほしいのだ。




以前に気になると書いていたのは清永の扱いである。
演じている佐藤隆太くんではない彼の役割である。彼の扱いは当初「終戦のローレライ」にのっとったものだと思うのだが(樋口監督の絵コンテにはそういう描写がある)映画での彼の最後<彼が大事にしているボールを拾おうとして手がひっかかるためナーバルの格納塔で水没する>というのはどうなんだろう。
これが別の映画であればそこまで目くじら立てないけれどもっと状況に即した演出や構成が出来たはずだと思うのだが。あれでは彼の死がまったく残らないのだ。いくら戦争ファンタジーとは言え爆雷攻撃で素直にそうなったほうがまだ納得出来る。
それと石黒賢の演じた高須がとっても微妙な位置に立っている。これは小説版との大きな違いで実は映画と小説では大きな変更点がある。それは伊507の搭乗員としてある人物が出ていないということだ。いや正確にはその扱いが違っていた。それはパウラ・エツコ・アブナーの兄である、フリッツ・S・アブナーの存在である。それとともに実は小説版ではウェーク島に一度寄港し補給を受けるのだがその時点で乗り込むあるキャラ(名前は残っている)の役割まで持たされている。
映画と小説は確かに別モノではあるがあと一枚カードを配しても良かったのではないか?フリッツの扱いが違った事により微妙になった気がする。元々福井作品はキャラを背景を過剰なまでに書き込む事で成立しているところがあるのでその辺がちょっとひっかかりを残したかなと。

いやもちろん「Uボート」や「眼下の敵」とくらべちゃいけないつーのはよくわかるんだけどもね(苦笑)
その上であと岩村機関長(小野武彦)が酒をプーっと吹いてその後ろで小松機関士(KRVEA)がスイッチという描写。実際の熟練機関士ならそーゆう事しない。というか以前オレ様トムくんの「デイズ・オブ・サンダー」つー映画で老メカマンのロバート・デュバルがマシンをさすったりして語りかけるシーンがあったんだけどマシンはそれだけでは直りません。その前の熟練の腕を駆使した上でのシーンがないとただの独り言意味不明なシーンで終わってしまう。メカに関する熟練さを表すそういう描写をほんの少しセリフでも挿んでおけば酒のシーンも生きるんだけどギャグがおいらから観るとすべってた。ただこれは他の映画でも度々観られるので今後の課題ではあると思う。
そして上に関連するのだが★前田有一の超映画批評★で前田さんがレビューで書かれていたが(ちなみに前田氏は「今週のダメダメ」だった)ドイツの戦利潜水艦を日本の乗組員がいとも簡単に操っているのに疑問をていしていらしたがそれもちょっとした描写で解決できたと思う。
「U-571」などでは単純にアメリカとドイツの単位の問題(フィートとメートル表記)とかで描写していた。(でもその後は全然あやつっていたけどね(笑))解りやすい記号、アイコンを見せればそのへんは納得出来るもんである。

小説についてはその流れは殆ど同じとは言えそれぞれの内面がより深く描かれているし登場人物が映画よりも多いので印象が変わるかもしれない。
映画を観た後で読んでも良いし観る前に読んでもいいが別モノでもあり同じモノでもあるという非常に不思議なものとなっていると感じた。
例えて言うなら映画はシーンのみを抽出したハイライト構成になっており小説はさらに世界を拡げて描かれたというモノだったというべきかただ風呂敷拡げすぎとも多少思ったのだが(^^;

と気になる部分を書いてみたがそれでもこの映画はよくやったし面白かった。
ここまでの作品とは正直期待していなかったしもしかするとドンひきか大スベりかも~と思っていたからだ。初監督作でここまで仕上げた樋口監督。次は設定ハードルが上がるがやってほしいと思っている。

追記としてアメリカ海軍の映像をUSスタッフによる撮影にしたのは良かった。
向こうの匂いが感じられた。こういう撮影方法はともすれば違和感が浮き立つものだがうまく統合したなあと感心したシーンの一つ。
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by tonbori-dr | 2005-05-03 15:54 | Movie