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殺しの国のアリス「ハンナ」

そんなわけで美少女キリングマシーンな「ハンナ」観てきたよ。
ちょっと微バレというか観てきた印象で語るのでそこは皆様、よしなに。

物語はフィンランドの原野で、サバイバル技術、格闘、射撃などキラーエリートとしての技術を叩き込まれた少女ハンナが外界に飛び出て自らの宿命に向き合うお話だよ。以上。
と、ざっくり語ればそういうお話なんだけれど彼女の父で元CIA工作員エリックにそういう技術を叩き込まれ、外界に飛び出るんだけどなんだか、パンフのあらすじだと彼女は父にミッション(任務)を与えられているという書き方に。
でもよくよく観れば、エリックは出て行くためのトリガー(ビーコンのスイッチ)はハンナに渡しているし、出て行って欲しくないとさえに見える。だから後々のエリックが放つ台詞につながるんだけれど気がついていないのかな?

ハンナの一般教養は1冊の百科事典と母の形見のグリム童話。そのため外界で触れるものは珍しいものばかり。ここらへんはフィンランドの原野と彼女が連れて行かれたCIAのモロッコにある秘密基地から抜け出した後の光景の多様な音の重なり合いが「音楽とは音の集合体で感情を表現するもの」と急速にリンクしていく。特にモロッコでの安ホテルで家電製品の不協和音にマシーンのごとく行動できるハンナが狼狽する様は調和がとれないことに実は弱い繊細なか細い糸のような部分を垣間見せるシーン。ただちょっと過剰に感じたけどね(笑)
ただそのモロッコであったツーリストの親子と特に娘とハンナの交流で、彼女に歳相応の表情をつけていくことになる様は良かったし、彼女を追うCIAのマリッサ(ケイト・ブランシェット、快(怪?)演)と追跡者たちの醸す不協和音とあいまってなかなか見せるなと思った。

アクションシークエンスはコレオグラファーがいいのだろう、ちゃんとしているけども演出として?な部分は無きにしも非ず。そこが残念。いや非常に残念(苦笑)ただ全部アウトではないので微妙な感じでござる。

それと音(音楽)の話で言えばケミカル・ブラザース。結構ファンも多いみたいだし、だいたいの人が高評価だったけど…、すまん何故かあんまりケミカル、ピンとこない?なんでだ?いやまあこれは個人的な趣向の向きなんで。でもBGMとの後半のシンクロ具合とかは半端なかったからわるくなかったですよ、ええ(笑)個人的にケミカルがピンとこないだけで(^^;

シアーシャ・ローナン、なんかこう無垢で透明なイメージが上手く作用してるなって気がしたけど、やっぱりマリッサ・ウィーグラーakaケイト・ブランシェットでしょうな。病的までに潔癖症できちっとそろえられたデンタルケア用品に歯を磨く描写、ありきたりではあるが貫禄のある人がやればこんだけ説得力を持たせれるのか!いやまさに貫禄の怪演。

で父と娘、母と娘という部分が織り込まれた少女の成長譚にみせつつも、そこに大人の童話というオチをつけるという。ライト監督の作品は正直これが初めてだけど、彼のフィルモグラフィー的にいっても古典文芸が多いそうでそっから考えてもなるほどな作風だった。

そうだなあ実は「崖の下のポニョ」もこういうお話になる可能性をはらんでたよみたいな。
そういうダークファンタジーでござった。

蛇足として冒頭にハンナが使用している拳銃がルガーP08。後半で普通の拳銃も出ているんだけどあのシーンだけは時代がよく分からなくなる。どこか御伽噺めいたファーストシーンにはぴったりな拳銃だった。
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by tonbori-dr | 2011-09-25 14:35 | Movie