そこに人がいる限り「大鹿村騒動記」

なんというか主演の原田芳雄さんが亡くなった事は、未だに上手く飲み込めていない。
初めて意識したのはいつだっただろう?実のところよく覚えていないのだが、強烈に覚えているのは「君よ、憤怒の河を渡れ」の主人公の高倉健演じる濡れ衣を着せられた検事を追う刑事だったろうか。その時は先に優作を知っていたから?あれ優作っぽいなと思ったら実は優作が芳雄さんの真似をしていたという(^^;

その後、出演作やテレビで意識して観るようになった。特に「友よ、静かに瞑れ」の主演の藤さんとの絡み芝居や「いつか、ギラギラする日」のクレイジーなヤクザ、いやガンマンなどもすごく脳裏にきざまれているんだけど、やっぱり主演作として「浪人街」を挙げておきたい。他の人はもっといろいろあげているだろうけど自分にとっては芳雄さんといえば「浪人街」なのだ。

とすっかり追悼モードな書き出しだけど、この作品、芳雄さんが亡くなったから観に行った訳じゃない事ははっきりと書いておきたい。
実は大鹿村はよく「通過」していたのだ。というか飯田、天竜川、伊那近辺はツーリングで何度も足を運んだ場所。この大鹿村を通っている国道162号線の分杭峠にはゼロ磁場というところがあってようするにパワースポットなんだけども、そこから先へ高遠方面へのルートは上りも下りもツーリングルートとしてよく行っていた。

そういう馴染みのある場所でロケされた、しかも芳雄さん主演の阪本順治監督作品。観ないわけにはいかないじゃないやろ!という話である。

映画自体はドタバタ群像喜劇なんだけども人生の下り坂に生涯を見据えてどう生きる?という話もであり、それと人の営みってこういうもんだろよ?っていう話でもあり、ようするに人間臭いお話。特にこういう山間の村ではみんな、顔見知り、濃密な人間関係が築かれるわけだけど、一線は引いてそこから踏み込まない。だけど踏む込む瞬間を上手く活写した佳作。そうどこにでもある話だけど大鹿村というロケーションとその村に伝わる村歌舞伎に上手くからめた人情話が、悲哀を感じさせながらもちょっとまだまだ人って捨てたモンじゃないと思わせてくれた。

芳雄さんの遺作になったのは残念だけど非常に芳雄さんらしい反骨ながらも情に厚く飄々とした人生を生きてきたい人の締めくくりに相応しい。だけど正直物足りない。もっと芳雄さんの演じるところを観たかった、そういう気持ちにさせてくれた映画だった。

出てくる人たちがちょっと曲者ばかりでそっちに気が行くとこっちみたいな感じでそこも楽しい。多分撮っている時はみんな楽しかったんだろうなあ。それぞれが弁えている部分も心地いい1本だった。

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by tonbori-dr | 2011-08-10 23:01 | Movie