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監督たちの習作「トワイライトゾーン」

またまたお誘いいただいたので観て見ましたよ、「ブログ・DE・ロードショー」。
今回のお題は「トワイライトゾーン・超次元の体験」
映画鑑賞の記録 5月の「ブログ DE ロードショー」の感想 / 次回のお知らせ等

フジのテレビで「世にも奇妙な物語」ってのがあるけれど要するにそれの元ネタ。ちなみにOPのプロローグで言われていた「このドアを想像の鍵で開けてください。新しい次元が広がります」っていうのはウルトラQのOPナレーション「これからの30分、あなたの目はあなた肉体を離れこの不思議な空間へと入っていくのです」はコレに影響されているのは有名な話(ちなみにちらっと言及されてたアウターリミッツにもである)

第1話はブルース・ブラザースのランディスによる人種差別主義者の男、ウィリアム(ビル)・コナーの話。オムニバスのためかなり直接的な表現が多いなという感じ。以前にTVで観たときはそれほどにもなかったが字幕で英語を聞くと出だしから飛ばしてるんだなという印象。そしていきなり彼はトワイライトゾーンに迷い込む。
しかし「コンバット」のサンダース軍曹が普通のしかもちょっと嫌な親父リーマンに扮して第2次世界大戦下に迷い込んでドイツ軍におっかけられるところを観るといろいろ複雑である。なんせ『コンバット』けっこう観た人だから(^^;
まあコレはようするに地獄巡りってやつですよね。ナチにはユダヤ人として追われ、KKKには黒人としてリンチにかけられそうになるわ、でもベトナムはアレだなやっぱりアメリカ人から見ればアジア人は全部一緒って話なんだな、そういうところを無邪気に抉るのはランディスらしい。そういう意味でも色々考えさせられる。でもビック・モローが水面から顔を出すところはやっぱり「地獄の黙示録」のウィラードが念頭にあったに違いない!(トワイライトゾーンは83年、地獄の黙示録は79年)

第2話はスピルバーグの老人を主人公にしたお話。老人ホームに新しく入った黒人の老人ブルーム。皆に缶ケリをしませんかと提案する。一人反発するコンロイ。彼は週に一度面会に来る息子夫婦に外泊を求めるがそれを息子夫婦に拒否されて寂しさを募らせていた。
果たして深夜にブルームたちは缶ケリを始めるが…。
裏ピーターパンですね、わかります(笑)この作品、よくよく考えるとスピルバーグの習作って感じがする。スピルバーグのテーマでもある「大人になりきれない大人」を格調高い大人のファンタジーに落とし込み作り上げた部分は完全に自分の中の想いを作品としてどのように作ればべたに言えば賞を獲ったりできるのかというのを実験したんじゃないかと。
けれどスピルバーグのピーターパン信仰がいい具合に結晶化している1本だと思う。
後年彼が『フック』を撮る事になるのも頷ける。但し『フック』ちゃんと観たことはない(苦笑)

第3話はジョー・ダンテ監督。グレムリンのような映画を撮っていたことからファンタジーな人かなと思ってたがなかなかどうして反逆の人らしい(笑)そんな彼が撮った1篇はやはり毒々しいカートゥーンのような1篇。ヒロインは退屈な日常に飽いていたヘレン。ドライブインで道を聞いたときにちょっとした接触事故を起こしてしまい、倒してしまった少年アンソニーを家へ送るのだがその家は…。定番だよねえこういう話は。田舎での親切はいつも「鶴瓶の家族へ乾杯」のようにはいかないってことだよね。いやまあそれは皮肉が過ぎるか(苦笑)建物の中が妙にカートゥーンっぽいところから不穏であるが、それは無邪気で悪意が無いがゆえの力。それに戸惑っていることへの裏返しか。結末が若干弱い気がするがダンテが誰か教えて?っていう心の叫びなのかもしれない。あと付け加えるなら割とダンテ作品の常連で固めているらしいので観たことあるなーって顔が多かったのも特徴。だがヘレンの役をやっていたキャスリーン・クインランが「アポロ13」のラヴェル船長の嫁さん役の人とは気がつかなかったでござる。

第4話、マッドマックスのジョージ・ミラー。主演はジョン・リスゴー、このエピソードは超有名。なんだろ?最初は何かの本(怪奇現象ネタとかを集めている本だと思う)で読んだことがあるしTVで観てもこのエピソードは何故かよく覚えている。但し元ネタ(なんとリスゴーの役回りはウィリアム・シャトナー、カーク船長だそうだ!)は覚えていない。ただ翼のゴブリンは凄く覚えている。リスゴー、『リコシェ』とか『レイジング・ケイン』などの狂気の演技も印象深い。こういう神経質演技はやはり上手い。あとワンシュチュエーションのため音楽でベタに盛り上げている。でもそれが分かっていても怖いんだよなあ。まあツワモノは来るぞ、来るぞ…キター!!!!ってなりますが(笑)あとリスゴーにからむ少女がまじでウザイのもいろいろ嫌な感じを盛り上げている。でもこれで飛行機に乗るのが怖くなる人もいるかも。なんせ未だにあの鉄の塊が空を飛ぶのが信じられないという人も多いそうですから(苦笑)あとゴブリンのある仕草に大爆笑。キーワードは「だが○○じゃあ2番だ!」(爆笑)
そしてそこからのエンディングエピローグにプロローグにつながるちょっとしたネタが。
普通の映画評ではコレが一番推されている。確かに過去ではちゃちな特撮も当時の技術でということで評価が高くなったのだろうが、実は基本に忠実かつ、ただ元ネタのままのリメイクではなく、だがワンシュチュのセオリーどおりに恐怖をじわじわと盛り上げる様は上手いなとは思うが手堅いねという気がしてマッドマックスもそういえばビジュアルが鮮烈だったけど、お話は手堅い復讐譚だったなと。

この映画、当時気鋭のランディスが撮影中の事故でヴィク・モローを事故死させてしまい(映画ではそのシーンは使われていない、バラエティの未公開フィルム公開みたいな番組ではそれから数年後繰り返し流されている)訴訟となって結局、彼は精神的にも傷ついたという。その後も映画は作り続けていて例えば「サボテン・ブラザース」や「星の王子様ニューヨークへ行く」「ビバリーヒルズコップ3」などのヒット作もあるものの全体的に見ると前ほどの輝きは無くなったのはやはり事故の影響ではないだろうか。そのためオチも含めて当初かんがえられていたどおりではないのだとか。そこも含めてランディスのパートは残念。スピルバーグは上に書いたとおり。まるでこの後の彼を予感させる習作だなと。ダンテの作品はダンテらしいけどオチが弱いかな?ミラーは手堅いという印象。
そうこの映画、ちょっと足りないところで止めててそれぞれがちょっと腕比べをしてみた習作というイメージなんだ。なぜか世間様の評価が第4話が異様に高評価だけど(笑)ただリスゴーの演技は超キレキレなのは認めます(爆)

ちなみに当時気鋭の監督だった4人、ランディスは上に書いたが、オスカー常連となったスピルバーグに対しダンテはその作風を固持し続けているためハリウッド的には馴染んでいるとはいい難い(面白い映画をつくるんだけども)で、ジョージ・ミラーは最近あまり名前を目にしないなと思ったらプロデューサー。脚本などの製作に回ることが多いのだとか。「ベイブ」や「ロレンツォのオイル」とか「マッドマックス」からかけ離れた作品をハリウッドに渡ってからは作っているけどようやく自身のヒットシリーズ『マッドマックス』新作を作るというニュースは記憶に新しい。


そうそう実は次のお題はおいらなのですf(^^;)そんなわけでまた時期が来たら告知するとかなんとかありますのでこの機会にそういうのがあるんでよかったら、どうぞみたいな。
詳しくはmiriさんのブログ、「映画鑑賞の記録」のエントリをどうぞ
映画鑑賞の記録 【ブログ DE ロードショー】ってこんな企画です☆

by tonbori-dr | 2011-05-24 23:16 | Movie