武侠「孫文の義士団」

個人的にはドニーさん映画としては『イップ・マン(葉問、1、2)』だなと思うんだけども、これはドニーさん、主人公格ではあるけれどあくまで孫文めぐる人々を中心とした集団群像劇なのでそういう意味ではすばらしい映画だし、武侠片としても傑出した映画だと思う。

時代は清朝末期。動乱の時代を迎え、革命家孫文が亡命先の日本からその高弟たちと今後を計画するために香港へ入ることになるのだが、清を支配する西太后は孫文の暗殺指令を発する。命を受けた清の将軍ヤン・シャオグオ将軍(演じるは、赤壁で趙雲を演じたフー・ジュン、熱演!)その頃新聞社の編集主幹、チェン・シャオバイ(レオン・カーフェイ)は香港入りする孫文の計画のため資金援助を香港の豪商リー・ユータン(ワン・シュエチー)に仰ぐ。商売人であるユータンはあくまでもスポンサーの立場を崩さないがイギリスの大学に留学していた息子チョングァン(ワン・ポーチエ)はシャオバイに傾倒していた。そんな中、孫文が香港に入ると同時に襲撃するという情報に備えるシャオバイは清の元将軍で国を追われたファン(サイモン・ヤム)に孫文の護衛を頼むがスパイによってその隠れ家はつかまれ暗殺者の襲撃を受け壊滅してしまう。孫文がやってくるのは2日後、1時間の滞在期間を守りきるためヤン将軍率いる100人を越える暗殺団にそれぞれの理由を胸に集められた義士たち。清と通じている香港警察の警官、シェン(われらがドニー兄さん)乞食をしている御曹司、リウ(レオン・ライ)リー家の使用人で車引きのアスー(ニコラス・ツェー)、巨漢の豆腐売りワン(メンケ・バータル)暗殺団に復讐を誓うファン将軍の娘、ホン(クリス・リー)、囮として暗殺団をひきつけるため孫文の替え玉になるチョングァン。彼らが過酷な1時間に挑む。

原題の十月圍城とは10月の決起という意味?らしい(google翻訳)、不勉強で知らなかったんだけれどこの10月というのはこの話し合いが1906年10月11日から始まり孫文が15日の事を指していると思ったが、それから5年後の1911年の10月に辛亥革命が成された事もかけているタイトルのようだ。

孫文の辛亥革命に至る過程で名も無き人たちの戦いのそれぞれの誇りと想いをかけた戦いがあったという、時代物が好きで集団戦が好きな人には超胸熱な展開。いわば逆「十三人の刺客」なわけでさしずめ吾郎ちゃんの演じたキレ殿パートがフー・ジュン演じるヤン将軍か。

いつもは超カッコイイ、ドニーさんのやさぐれ感もまたいい感じだけどやっぱりやさぐれていてもカッコイイ(笑)ドニーさんが観れる。バクチで身を持ち崩し嫁が生まれたばかりの娘とともに出て行きされにやさぐれる様が新鮮(笑)。
そして義士に参加する動機も今は商人リーの後妻になってる元妻からの願いっていうのが泣ける。
車夫のアスーの悲しい恋とか豪商の息子よりも理想に生きるチョングァン、息子を想う父ユータン。理想に燃えるシャオバイなどの見所多いんだけども、特筆しておきたいのは許されぬ恋で全てを失ってしまったリウ(レオン・ライ)の立ち回り。漫画「ハチワンダイバー」で一番強いのは失うものが無い者といっていたけど(だからジジイとババアが最強と(^^;)リウはこの世に未練が無いただ無為に生きているだけ。だからユータンにその腕を貸して欲しいといわれたときに、即答で一番の難関をといった。理由を聞かずに。このシーンはまさに侠である。実はこのレオン・ライの鉄扇のアクション、実はドニーさんにも勝るとも劣らない。孫文の生家の下の通路階段でのバトルは華麗かつ凄惨で迫力がある。またそれぞれのエピソードの挟み具合も長すぎず短すぎずいい具合(上映時間は長めだけども)

そういえば『イップマン序章』の感想をまだ書いていなかったんだけれども、この物語はあちらが人間の誇り(矜持)の物語で必見とツイッターでツイートしたんだけれど、こちらもそれぞれが引くに引けない事情を抱えて、その矜持にしたがって散っていく、これぞまさに武侠片という映画。それとともに香港、中国の合作として今の大陸と香港の融合がすごいことになっていることを体感するにも必見な1本。

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by tonbori-dr | 2011-05-22 15:26 | Movie