王道『英国王のスピーチ』

なるほどこれは王道。オスカーもなっとく。

史実ベースだが、ダメな主人公が一癖ある導師に導かれと言う古典的フォーマットにのっとっており、隙がない。
さりとて余裕がない訳でもない。

実話ベースの歴史秘話ヒストリアな事実をストーリーとして良く構築している。
ただまあ個人的には、オスカー対抗馬だった『ソーシャルネットワーク』が好みなんだが、だからといってこちらが劣っているわけじゃない。いやむしろこちらが上だねとさえ思わせる。

ただ自分が『ソーシャルネットワーク』がいいなと思うのは、現実の合わせ鏡である不安感やアンバランスさでざらっとした手触りなんだけど、こちらはきっちりとした王道の物語。そういう部分が出来上がってるなという感じだからかも。いや若いんですけどねこの監督さんw

先にダメな主人公が実はザ・ワン(選ばれし者)であり導師によって導かれる古典的なストーリーと書いたが、ほんとうに実際にあったことでもある。ダメ兄貴(演じたのはガイ・ピアース!そういえば去年のオスカー受賞のハートロッカーにも脇役で出演。実はラッキーボーイかもw)が家を未亡人と恋に落ちてしまって出奔、そこで望んでいないのに王座につくことになってしまう主人公バーティ(愛称でそれで彼を呼べるのは王族のみ)ことヨーク公。

おりしも第2次世界大戦前夜。ヒトラーの台頭に欧州が揺れていた時代。確固たるリーダーシップが求められていた時代で、立憲君主国である英国では精神的支柱として王が求められていた。

実はダメ兄貴のエドワード8世、後のウィンザー公もいろいろあって、ここじゃ奔放なバカ兄貴ではあるが、いろいろと複雑な人間であり面白いエピソードを持つ。ちなみにヒトラーなどとも接近したことがあってまあ終生スキャンダラスな話が付きまとった。

でもこれは主人公ヨーク公であり後のジョージ6世の物語であるのでそこに絞りきった事が良かった。チャーチルにチェンバレンなど歴史上の人物も出てくることも彩を添えている。

そしてまたいいのがヨーク公の妃、エリザベスだろう。演じるはヘレナ・ボナム・カーター、魔女とかトランプの女王とかのエキセントリックな役も上手い人だが、今回は非常に大胆で、機知に冨み、母性豊かな王妃を好演した。まあこの人もいろいろ面白いんだけどあくまでもジョージの妻であるという部分をきっちりと描ききったって感じがまた好感触。

非常に万人にオススメできる佳作。ロングランでムーブオーバーやってるんで時間がある方は観ても損なし。

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でもねー個人的にはちょっとねーという部分も。
いや最後のスピーチが実は第2次世界大戦を告げるベルに違和感とかそういうのはない。
気にしている人がいるというのは宇多丸氏のウィークエンドシャッフルのポッドキャストで知った。
まあわからんでもないけど時代背景としてそこに言及する映画ではないんじゃないかなと。

ただ時勢でそういう風にとられる事は否定できないけども。
そこは彼の置かれた立場などから考えて、それが自然だしかえって妙な心理描写入っていたらおかしなことになっていただろうし、監督もそこはわきまえているなと思ってむしろ好感がもてた。

ただなんというか、極めてキチンと撮られすぎているという感じかな。
自分は天邪鬼なんで、多分監督のドヤ顔が透けていたら、ドヤ顔してるがな!とかいってただろうけどそういうこともなくでも返ってそれがなんかなんだよーって感じで(苦笑)じゃあどないせいっていう話だけど適度に隙もあるし風格が鼻につかない程度もなんかなー、といや天邪鬼なんです、すみません。

だから「ソーシャル・ネットワーク」みたいなアンバランスなのがいいんですけどね(^^;ちょっと酔ってる風とかドヤ顔すけてっぞとかフィンチャーとか(苦笑)
でも本当に学校の映画鑑賞で観るには超オススメだしディスカッションにも向いてると思うぞ!(笑)
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by tonbori-dr | 2011-05-12 23:02 | Movie