非日常の境界線『冷たい熱帯魚』

やっと頭がクールダウンしてきたのでほかの映画の感想もまだだけど先にこちらの感想を書いておこうかなと。
ソノシォーンの最新作『冷たい熱帯魚』。これは普遍的なお話でもあるしまったくもって異様な迫力と説得力を持つ作品だった。まあ心臓の強い人なら必見です。以上(笑)

ですませてしまうのもあんまりなので他人様の感想エントリを貼っておこうかとも思ったけれど、それもあんまりなのでちょっとばかし書いてみる。
というか実は観るまで「埼玉愛犬家連続殺人事件」をベースにしたということと「でんでんさんが凄い」という評判だけしか知らなかった。ちなみにその愛犬家殺人のこともほぼ調べずにいたし(っていうか大阪でも同じような名前をつけられた事件があって実は観るまで混同していた。こちらの事件も結構とんでもないんだけどいや埼玉はさらにこれを越えるヤバイ事件だった。)

まあ、観てなるほど実のところこの映画、「タクシードライバー」のトラヴィス大集合みたいな作品だなと。
それゆえにすべてがむき出しに観客にむかってくる(そういえば前作『愛のむきだし』を未見なんだお、とツイッターで言ったら即観なさいコールをフォロワーさんから受けた。多分コレを観るとさらに『冷たい熱帯魚』の深奥にも触れられそう)そういう、日常なんだけど、どこが歪でそのゆがみが社本の日常をどんどん侵食してくる様は『自殺サークル』に通じるなと思った。
ちなみに園さんの映画でちゃんと観たのは実は『自殺サークル』くらいで、えらく変わったけどなんか分かるという人だなという印象だった。で、今回、その変わった人だなという部分が自分の中で腑に落ちた。ああなるほどこういうことなんだなって。ちなみに超傑作とは思ってないけど、園さんの『自殺サークル』っていう映画は今でも強烈なビジュアルと迷宮のようなストーリーでいまだに心にひっかかる1本。いろんな意味でトラウマになる映画ですぞ(笑)オススメです。

で、ほかのエントリを読ませていただくと笑いが起こったっていう話を書いてあったんだけど大阪はシネリーブル・梅田で鑑賞中はクスリ笑はちょっとあったけど(っていうか自分もなんだけど)よそ様のエントリのようにガハハ笑いはなかったゼみたいな。これは多分、あーこういうヤツおるわーっていう部分へのシンクロニシティが…あるんだけどもっといえばありすぎて実感を伴いすぎてかえって笑えないみたいな(苦笑)でも、おるおるこういうヤツ(ほんとにいたらもにょもにょだけど)とか思って自分はボディ透明にされないゼという妙な裏打ちのない自身のあるヤツも多いゼみたいなのも同時に感じましたな。まあそれはそれで「恐ろしい」んですけどね。笑った後でひとしきりぞっとするみたいなとかそういうのではなく、なんかわし分かるデみたいな空恐ろしさを感じたよ、ヒィー(^^;ほかの回では、もしくはシネリーブル神戸でのお客さんの反応きになりますなー。

実は突っ込みどころないわけじゃなくて、本筋以外は結構ノリとか勢い重視な部分があるんだけども普段いわゆるTV局映画を冷静に突っ込み、ディスる方々が、それこそ熱にうなされているかのように絶賛しているのは多分そういう不思議なグルーヴに巻き込まれてるんだよ、多分。そこでエントリタイトル、リアルな、非日常の境界線。
この作品の肝はありえる、というか実際に起こった事をベースにしてるんだけども、そこを過剰に味付けしているところ(殺しの部分はリアルなんですけれどね、これがまた過剰さを上手くデコレートしている。)でもところどころでふっとありえねえですよねとか、そういう部分が観ている自分をじわじわと沁み込んでくる感覚というか。これはキャストの熱演もあってこそかなという気がする。

キャストは主人公、社本を演じる吹越満、村田を演じるでんでん、ともにGJ。とくにでんでんさんは今後、ドラマとかでも重宝に使われそうで不安でござるよ。で各所で絶賛なんだけども個人的にはやっぱり主役の吹越さんにつきるかなと。あの気のよさそうな、弱そうな、でも神経質そうな、だけど急にキレそうな凶暴性というか。ようするにタイプキャストながらも確かな演技力で演じきったことに関してはもうね、オスカーものですよ。存在感をギリギリまで薄めているけどちゃんとそこに居るってのは。特にネタバレになっちゃうかもしれないけれどラストの笑顔とかね。もう凄かった。
まあでもさ、往々にしてこういう場合は熱演にして怪演をみせたでんでんさんなんだろうけどね。でもそれを徹底的に受け止めた吹越さんも凄かったわと。あらためて再確認。
ちなみにでんでんさんの凄さはあちこちのブログで書かれているのでぐぐってくださいっていうか観たほうが早いな絶対(笑)
っていうかネタバレになるかもしんないけれど、自分なんかは社本感情移入してどうしても観てしまう、パーソナルとしても普通はそうだろうしだからこそガハハおやじのでんでんさん演じる村田が引き立つわけで、観客の多くがでんでんスゲーとなるのもそうじゃないかなと。ただ園さんは実は徹頭徹尾、社本視点で話をかんがえてるなと、変な確信もあったんでそこんところ、どうなんだろ?

女優陣もまた熱演で、黒沢あすかのなんというかムンと沸き立つ妖気のような色気の沸き立つ部分とか、社本の妻役の神楽坂恵のこれまたムッチリボディで、なんとも平均的なおっさんである社本の妻に似つかわしくない不穏なフェロモンを噴出しているという様が、これまた異様でこの作品の雰囲気作りに非常に貢献していると思う。まあ女優たちが熱演でとくに黒沢あすかはなんかもう降りてきてるかキたか、イッたかってまあもう鼻血ブーなそういう領域に到達してましたな。そうそう娘役の梶原ひかりちゃんも見せ場つくってた、今後が楽しみな娘さんですな。

いろいろ問題作であるので見逃せないと思ったら必見ですなの1本。っていうか次の『恋の罪』がめちゃくちゃ期待MAXになってるんですけど!この映画でもかんばってた神楽坂恵、富樫真にあの水野美紀嬢が参戦だよ。これは観ないと!

あと「愛のむきだし」を近日中に借りて観るつもりなんでその後に含めて再考してみたい。

「冷たい熱帯魚」の映画詳細、映画館情報はこちら >>

一部文章がイミフになってたので追記しました。
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by tonbori-dr | 2011-02-22 23:27 | Movie