お、うまいじゃん(笑)『南極料理人』

スルー映画祭りとして正月に観たのは「ワルキューレ」とコレ。
どちらも男だらけな話なんでござるが、ある意味『対極』。なんせ「ワルキューレ」は監督のこだわりで現地ロケはマストだゼ!なのに『南極料理人』はドームふじ基地のロケセットはあ・ば・し・り・番外地(爆笑)でも周りが氷雪にかこまれている場所で変化がないのであれば(遠景はCGで消すとして)これで十分。それにこの物語、その性格上基地の描写が大半を占めるのでそういう意味でも越冬隊員たちのキャラクターを楽しむ分支障が無い(笑)

物語は実話をベースにしたもので海上保安庁から炊事担当として越冬隊に参加し男ばかり7人の所帯の調理全般を担う主人公と隊員たちの日常のお話。

だけどこういう隔離(隔絶)されたところでは人間関係が次第に濃密になっていっていくので、いろいろと起こるわけでそれをユーモアとちょっとブラックな部分をまぶしてペーソスを交えて描いた佳作って感じでした。いやほんと結構笑ったし。正月に見るには丁度いい按配。そして猛烈に腹が減るしファストフードだって、ガツガツ食べるんじゃなくて皆でゆっくりと食べれば美味しいもんだよというそういう話でもありました。

でもね、人間、1食や2食は抜けても食べないと死んでしまう。この飽食の時代に何言うてんねやと言われるかもしれないが、実は最近でも孤独死のご老人の死因が餓死だったように食べること、すなわち生きること。となると非常にプリミティブな欲求があらわになってくる。その上狭いところに男七人顔をつき合わせているといろいろとストレスも。そういうところでの人の行動は結構赤裸々なものになってくるわけでそれをペーソスを交えて上手く描いていると思う。いわく「僕の身体はラーメンでできているんだよ」とか「エ・ビ・フ・ラ・イ!」「もう頭の中エビフライだからw」とか。

それとサイドに主に主人公の調理担当の海上保安官西村の家族との話が底流にあって、そこがラストに綺麗につながるさまはまたオチとしても小気味いい。

決して上段にかまえた映画じゃないけれどなんか正月に観てほっとできる小品、佳作なオモシロ映画でした。

キャストは基本男子7名なんだけど(堺雅人、きたろう、生瀬勝久、高良健吾、豊原功補、古舘寛治、黒田大輔、小浜正寛)、堺雅人演じる西村の奥さんに西田尚美と娘役の小野花梨がいい味をだしていた。それと古舘さんが関西弁の神経質な雪上車担当技官なんだけども自動車会社のエンジニアで左遷されたとノイローゼ気味な役を好演。あーこういう人いるなーって(笑)そのほかの面子も総じていい味をだしてた。

でもね、ちょっと厳しいことをいっておくと、実話ベースっていうこともあるんが、こういう限定設定では日本そこそこ面白いものがつくれるんだけど、そこから大きい拡がり(世界)を描くものは苦手なんだなというのとちょっと役者に頼ってるなっていうのがね、あった。自分はよく『香川照之、大杉漣、橋爪功、岸部一徳という役者さんたちを安易に使うの禁止な!』っていうフレーズをよくツイッターなんかでツイートするんだけどそれはそういう事です。このキャストだと生瀬さんとかきたろうさんとかね。もっともこれはキャストの力量にある意味かかってるドラマなんでね、しょうがないけど(笑)この系統だと「約三十の嘘」もこの系統だな←これは原作が戯曲。つまり限定空間での舞台系なら役者も粒がそろっているけれど本当の意味での映画俳優とか映画の監督、脚本家っていうのが実はあまりそだってないのかなー?っていうのも少し感じた。まあそのあたりはまた別に語ってみたいネタであります。

「南極料理人」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
[PR]

by tonbori-dr | 2011-01-16 13:49 | スルー映画祭り