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散文的感想「ベルリン・天使の詩」

映画鑑賞の記録 12月の「ブログ DE ロードショー」の感想 / 次回のお知らせ等
ということで、このリンク先のブログ・DE・ロードショーにお誘いいただいたのでいそいそと観て見た。
思えばこのような映画は基本的にあまり観ない。
っていうかシネフィル系はよほどの事が無いと普段行かないので新鮮ではあった。
ただNHK教育で7月~9月にかけて放送された佐野元春の「ザ・ソングライターズ2ndシーズン」の初回ゲスト、
ミスチルの桜井和寿氏の回のワークショップで一部シーンのフッテージが使われたので観なくてはならんなとは思っていたのでわたりに船だった。
以下ツイッターでのツイート風味にメモのように散文としてまとめた。


OPから10分間は天使の視点。
ヒトの営みをただ傍観者として観察している。
その天使の一人は傍観者でいることに飽いている。

彼らの服装は黒っぽいコート。そしてマフラー。
戦勝記念塔で人々の営みを見下ろすのその姿はなにか物憂げ。

飛行機のシーンにピーター・フォークがでていて、そこでそこ(物語の舞台)がベルリンだと分かる。

全体的に、心証と詩情にあふれた観るポエトリーリーディングといった趣の作品。

天使はそこかしこにいて人間を見守っているだけ。そしてこの世に満ち溢れている言葉に耳を傾けている。たまに子どもがその存在を感じる(見る事が出来る)のは「子どもが子どもだったころ、自分が子どもだとしらず、全てに魂があり魂は一つだとおもっていた」からなのだろう。

天使が皆黒っぽいコートを着ているのは、多分影のような存在であるということを示している。
よりそう存在。優しい存在ではあるが決して表に現れることのない、
影のような存在として描写されている。

傍観者として、寄り添う存在だけに飽きている天使は、
サーカスの天使の扮装をしている空中ブランコの乗り手マリオンをいつものように気にかける。
ここのシークエンスで一瞬画面がカラーになる。
どうやらこのカラーは現実(ヒトの視点)であるようだ。

マリオンは異邦人フランス人。サーカスが生きがい。
だがそのサーカスが破産してしまい、世の中に多少、倦んでいる。

トレーラーハウスの中でマリオン。それなりに恋人もいたことが示唆される、

そしてトレーラーハウスでまたカラーになる。
天使主観では色がないのはどういう意味なのだろう。

いくつかのサイドストーリーが示される。
かつての自分の物語をつむごうとする老人。
ベルリンで撮影にきた俳優(ピーター・フォーク自身)。そこでの人々。

そして繰り返される。白黒主観なのはベルリンがそういう街であっただろうからではないだろうか。

傍観者に飽きている天使の一人は、同僚をサーカスに連れてくる。

原初の始まりからこの世を見続けてきた天使。そして自らの似姿が現れたのを観て来た。
そして彼はとうとうこの中に、輪の中に入ることを選んだ。

1時間9分30秒あたりから、佐野元春のザ・ソングライターズでポエトリーのワークショップでつかわれた映像。約1分間、不穏で不吉な予兆、または予感を連想した人が多かった。
しかしこの映画の流れで見ると、人は夜の帳を感じると不安になるけれどその時にも彼らはじっと見守ってくれていると自分は感じた。シーンだけを抜き出すとこうも印象が変わるもの。それが映画。

その前の青年が飛び降りるシーンとピーター・フォークが自分のインタビューを聞きながら寂しい表情をするのが印象的。

夜のサーカス。扇情的で大人の…。まあ昔はよくそういう話があったけど…


ベルリンのライブハウスシーンで日本人のオーディエンスのつぶやきがでたのにはびっくりした。

ピーター・フォークは万国共通でコロンボ。

ベルリンの壁がまだあった時代。でも少し何かが変わるのかもしれないという。
そして世界は色に満ち溢れている。
この世の瀬に降り立った彼の顔のなんと晴れ晴れしいことか!それが人生の意味。

そして最後にこのポエトリーはラブソングだったことを我々は知る。ビバ!

あと女の物語なんか歌うか!といいつつ女の物語と言うニック・ケイブを観てあのCMはここからかと分かった。発見はあるものだ。

しかしカシエル。あんたいい天使だよ。






実はちょっとした一文をいれていた。
観た人には既に知っている話ではあるのだけれど、これはやっぱりお楽しみにしてほしいので
とりあえず反転にしておくので見たい人だけどうぞ。

ピーターは元天使。やけにひねた天使だが、人生の先輩として楽しめとアドヴァイスを送る。
ちなみにいれてた場所は「ピーター・フォークは万国共通でコロンボ」の下です。

あとあの女神の塔ってどこにあるのだ?と(ベルリンにあるのは知ってるというか舞台がベルリンなので)ティーアガルテンにあるのを知った。
戦勝記念塔 (ベルリン) - Wikipedia
ベルリン・天使の詩といえばこのシーンのスチルが一番印象的だったので。
散文的感想「ベルリン・天使の詩」_a0029748_23584175.jpg


個人的な感想としては普遍的なラブストーリーではあるのだけれど人生の意味とビバ、ライフ!ってことだろうか。モノクロ視点が多いのでスチルを見ただけだと暗い話と思う人も多いかもしれないけれど、それはやっぱりこの時期のベルリンの空気としてそういうグレーな部分とでも希望はあるという部分がない交ぜになっていたからじゃないかなと感じた。
また折に触れ再見したい1本。

この映画を選ばれたMardigrasさんの感想と考察。
シネマ・イラストレイテッド | 「ベルリン・天使の詩」を観ました
なるほどーとひざを打ちました。
あ、でもマリオンはおいらがフランス人って思ったのは理由があってマリオンってフランス人の女性名に多いなってことと、サーカスが解散後団員の一人とパリでまた会おうという話の後にベルリンに留まった事。
まあ明記されていないので良く分かりませんが(苦笑)東の出身だとすればしっくりくる気もします。



記事内リンクを追加いたしました。

by tonbori-dr | 2010-12-22 00:09 | Movie