2つの坂の向こうに「熱海の捜査官」
「ジョーカー許されざる捜査官」「MM9」とドラマエントリを書いてきたが、 夏クールのまとめはあらためて別館に書くとしてとりあえず先週、最終回を迎えた「熱海の捜査官」これはボーダーラインを越える、越えない?の話だった。
まあ謎解きが主体ではなく謎を楽しんでもらおうという主旨のドラマだったように思う。もちろんそれはデヴィット・リンチの「ツイン・ピークス」リスペクトということだと思う。主人公の星崎(オダギリジョー)のイエス・ノー・ランプや直感による捜査法、しばしばモトコなる人物に捜査状況を連絡し概要をまとめる辺りはクーパー捜査官を意識しているのは明白であり、南熱海の変わった住人たちにもそれは見て取れる。
ツイン・ピークスではこの世とあちら側を側面的に描いていたが(常世とは違うイマジナリーラインを越えた向こう)だがこちらは日本的にやはり常世と現世、そこの横たわるライン。多分、黄泉比良坂をイメージしているのだと思うけれど、それを描いていた。
ちょっと思ったのがインセプションにも通じる世界観の組み立て方だなと。多分幾分かの階層(レイヤー)に分かれいて、それを意識させる演出が行われていたのも印象的。でも企画的にインセプションの全貌が現れる前に骨格ができていただろうけど、放送時に公開されたことによりいろいろケミストリーが起こったんじゃないかと思うとこれまた愉快。
とここまで書いておいてインセプションがあったこと実はこれ星崎の夢なんだよん。とか平坂いや風宮の夢、いやいや北島の夢とか。で東雲くんは実はモトコさんであるのだよ、風宮が病院で覚醒したシーンを観てば…なんてなww
でもそれは多分無い。
基本的には曖昧な境界線上、幽界、たそがれ時の世界と黄泉比良坂で「なるほど、…だいたい分かりましたよ」という話。そうだいたいww
ちなみにツイッターでツイートしたのだが
ポニョにも同じメタファーがあって、だから実はリサとかひまわりの家のおばあちゃんたちは一度死んだけど、地母神たるグランマンマーレの奇跡により常世から現世に返って来たと。まあ黄泉比良坂のあれですわね。 #atami
かなと。ちなみにこれは公式見解ではなくネット上でよく見かける話。
リサたちの生死はともかく、ポニョのトンネルでのくだりと星崎、東雲が神宮寺によって通ったトンネルは同じメタファーだと思っている。ま、だいたいだけど。
という風に8話だけだったけどいろいろと濃密に楽しめるドラマだった。
by tonbori-dr | 2010-09-23 12:28 | TVdrama