もはや古典「ゴッドファーザー」を観て見たよ!
ブログお友達の白くじらさん経由でお誘いを受けた「ブログDEロードショー」
今回のお題は「ゴッドファーザー」
名作です。でも上映時間が長い!個人的に「ロード・オブ・ザ・リング」とか近いところでは「インセプション」なんかもう一度観たいなーと思ってもその上映時間の長さで挫折することもしばしば(苦笑)
なので長らく再見することは無かったけれど、この映画に影響を受けてない犯罪映画は無いんじゃないかなというくらい、いやソープオペラなんかでお馴染みの大家族モノもその範疇にはいってくるんじゃないかな?そういう意味でももはやクラシック。
コッポラっていう人はまあいろいろちょっと問題の多い方らしいんですけど(ネタ元は映画評論家の町山智浩さんの「映画の見方がわかる本」より)もともと映画監督なんて人種は色々個性的でないとつとまんない(笑)そんなコッポラも今じゃ巨匠扱いだけど、それもこれもこの作品があればこそ。
物語はニューヨークの根城とする、コルレオーネファミリーを率いるヴィトー(マーロン・ブランド)の娘コニーの結婚式から始まる。結婚式の最中というのに古い馴染みの相談事が持ち込まれそれを捌くヴィトー。結婚式には他の組織のドンたちや、ヴィトーが名づけ親になった歌手ジョニーが集まり盛大なものに。そこに戦争に行っていた次男マイケル(アル・パチーノ)が戻ってくる。
話はそこから対抗組織のタッタリオファミリーの庇護を受けているソロッツオという麻薬ディーラー(当時はまだ麻薬ビジネスは新しかった)が政治家に強い影響力を持つヴィトーと手を組みたがるが、麻薬ビジネスに手を染めることにより、政治家が離れていくことを危惧したヴィトーが断ることからファミリーの行く先に影がかかるようになってくる。
もっとも結婚式のシーンからいきなり影をさしているようなもんだけど、暗い部屋で乱暴された娘の復讐をしてほしいと頼む父親とそれを無表情に見つめるヴィトー。服装は皆が礼服なのに暗い部屋で密談。そとでは楽団がかろやかな音楽この対比はヴィトーの表の顔と裏の顔を分かりやすく示し彼の(彼らの)立つ位置がよく判るまさに映画ならではのシーン。
しかし陰影の強いシーンが多く使われているんだけれど、コレはなんでしょうか、やっぱりコッポラが心酔していたという黒澤の影響?それとも当時のアメリカンニューシネマの風潮だったのかは気になる部分。特に陰影という部分では前年に公開された「フレンチコネクション」はドキュメンタリータッチに撮影されこれまた印象深いんだけどどうなのだろうか?
この映画で描写されている犯罪組織、マフィアはイタリアのシチリア島のそれぞれの村の互助組織みたいなものだったけれど、地下にもぐっている間に秘密結社化していったという話を聞いたことがあって、アメリカ軍のシチリア島上陸作戦にも嘘か本当か、マフィアのドンがかかわっていたとかいないとか?ちなみに劇中何度か五大ファミリーというのはそのドンが組織したという。ヴィトーのモデルというよりは麻薬ビジネスに積極的であり頭も切れたということでマイケルのモデルでもあるかも?いや実際にはヴィトーの時代の人ではあるのだけれど。
そんなわけだから非常に家族的に運営されているとはいってもアメリカに移民してきてトラブルシューターだけでなく、敵対する移民(もともとの移民である WASPは別としてもユダヤ系、ロシア系、アイルランド系などなど)との軋轢を暴力で解決してきた彼らにとっての財源は、賭博や売春が主なものだったけどそこに麻薬が絡んでくるというのも時代を上手く映している。60年代という旧態依然とした時代からアメリカンニューシネマへ時代が移り変わろうとする気運を、あるマフィアのドンとその一族と後継者となった次男に仮託して描いたというそんな感じがする。
いや非常に骨太な映画でした。
あとツイッターで観ながらポツポツつっこみいれたんで暇つぶしにどうぞ。
Togetter - 「「ゴッドファーザー」を観てつぶやく」
以下は余談。
五大ファミリーをまとめあげたドンの名前はラッキー・ルチアーノ。最終的にはアメリカから国外追放されたがイタリアからアメリカの組織を操ったという伝説的な人物で彼を主人公にした物語もあるくらい。ちなみに時代はあっていないのでコルレオーネファミリーの雛形はいくつかのボスやファミリーが元になっていると思われるけど、沈黙の掟(オメルタ)がある中、よく調べたなというかたいしたものだと思う。やはり原作のマリオ・プーゾがイタリア系で監督のコッポラもイタリア系というのも大きいんじゃないだろうか。
そんでもって作品中では自らをマフィアとは称していない。というかもともと、マフィアというのは外部の人が言う言い方でシチリアのマフィアは「コーサ・ノストラ」という。
マイケルが初めて手を汚すシークエンスでスナブノーズの多分38口径リボルバーのグリップとトリガーにビニールテープを巻いて、幹部のクレメンザが「これで指紋がつかないといってたけど、多分今の技術なら採取できるんじゃないかな?それともやっぱり難しいんだろうか?ここは気になったシーン。
それ以外にも多くのギャング映画、アクション映画、サスペンス映画に使われるようなシークエンスが多く、そこも古典だなーと感じた。でも気になったのは例えば密談シーンとか、コッポラも雛形はなにかから引っ張ってきたとは思うんだけどそれはなんだろうかという部分とか。
キャストに目を移すと、今も活躍している俳優が多いけれど中でもアル・パチーノは今では立派な説教俳優いや独白俳優か。このマイケルは前半はナイーブな青年だけど後半、どんどん非情なボスになっていくんだが、そのあたり後年独白俳優として名を馳せる片鱗を見せている。
ブランドはわがままで尊大な俳優として晩年は使い難い人として名前が挙がることも多かったが、やはりその仕草や表情はやはり特別な俳優の一人だなと思わせてくれる。もともとプーゾの原作はヴィトーが主人公的な役割をもっていたというが、その感じが色濃く残っているのが前半部分でマイケルことアルももさすがに影が薄い(笑)
そんな2人を上手く盛り上げているのがジェームズ・カーンとロバート・デュバル。2人ともいまじゃロートルであるが若い、当たり前だけど(笑)でもこの2人の功績もでかいと思う。
女優陣ではコニー役タリア・シャイアにケイ役ダイアン・キートンに目が行きがちだけどシチリアでマイケルが結婚することになるアポロニア(演じたのはシモネッタ・ステファネッリ)が短いけれど印象深い。いわゆるマイケルの一目惚れなんだけども短い期間で情熱的で眩しいシチリアというのを表してる。そしてやがてくる衝撃もその印象深さにつながってると思う。
だけどあくまでも家長のお話なんでヴィトーの妻に関しては描写が薄い。というかそれほど物語に深くかかわってこない。この部分も興味深い部分だった。
物理的に170分は長いけれどヴィトーからマイケルへの継承という部分だけでもコッポラはもっと時間が欲しかったんじゃないかなと思うくらいに詰まったストーリー。お腹いっぱいな絡みつくような運命の物語としては「華麗なる一族」に通じるものがある。あちらは家長がメインとなって描いているけど(最近のドラマ版でなく映画と原作ね)そういう意味では古いクラン(氏族)は似通っているけどそういう部分はPART2の方が色濃いし近いかもしれない。
そこで今気が付いたけど、実はPART3をまだ観てなかったんだよなーと。うーんまあ、今はお腹いっぱいだしとりあえずPART2も再見してからでないとやはりPART3としてサーガ完成しないと思うんでまたあらためて。
参考
ゴッドファーザー (映画) - Wikipedia
映画 ゴッドファーザー - allcinema
でもヴィトーとマイケルの物語ではあるけれど、やはり物語当初のブランドの迫力が凄い。
なので元々プーゾの小説どおりのヴィトーの話となればどうなってたかナーって言うのは凄く思った。
by tonbori-dr | 2010-08-22 19:03 | Movie