落とし前の付け方。「ロストクライム-閃光」

もう殆どの劇場でファーストランが明日で終わる、「ロストクライム閃光」これも先日駆け込みで観てきた。まあこの夏は同じ警察モノでブロックバスターの「踊る大捜査線THE MOVIE3」があったことでそれほど大きい話題にもならず公開を終えようとしているが味わい深い映画だったなということで雑感を書き留めておきたい。

あらすじはgooから引用
若手刑事の片桐は、出世を夢見る血気盛んな男。ある時、隅田川で絞殺死体が発見される。捜査を担当することになった片桐は、定年間際のベテラン刑事・滝口とコンビを組むことになる。滝口の身勝手な振る舞いに困惑する片桐だったが、被害者が“三億円事件”の犯人グループとつながりがあることが判明し、驚愕する。“三億円事件”の真相を暴こうとする片桐だったが、やがて恐るべき事実にたどり着き……。/goo映画より

ロストクライム -閃光- - goo 映画


この話、特段明言されてはいないけれど、今(2010年)よりもちょっと前の出来事である。もちろん3億円事件そのものは42年前の話だけれど、この映画で冒頭からはじまった殺人事件は多分2000年を舞台にしていると思う。奥田瑛二が32年前とかなんとかいってたような気がするしなにより携帯がアンテナを引っ張り出すタイプだった。10年前はあれが最新だったしなによりプリペイドケータイだって1998年が初出。

でなんで年号にひっかかるというと、この話、別の現代の話にしてもいいのにわざわざ2000年にしたのは原作準拠なのかもしれないけれど、こだわりがあったからだと思うのだ。

今時はターゲットとなる観客にあわせ原作小説で男性だったキャラクターを女性にしたり、そもそも原作にいないキャラクターを付け加えたりはよくある話。そこで2000年にこだわったわけというのはやはり世代の話なのかなと。いわゆる人生50年、折り返しを過ぎ若き日の悔恨や罪の意識というものを精算、いや懺悔か。とにかく一種の決着をつけたかったのではないかなとそう感じた。

もちろんそれは3億円事件の犯人を(フィクションとはいえ)明らかにするというものだけではなく当時の雰囲気とか空気を洗い流したいというそういう風に見えたのだ。
監督は「誘拐報道」の伊藤俊也。「女囚さそり」の監督としても有名だけど、自分はやはり「誘拐報道」この映画を観たとき、マカロニことショーケン(萩原健一)が鬼気迫る演技で誘拐犯を演じた部分と報道側の部分を丁寧に描写していて、現場近くの新聞販売店に前線基地を設けて、取材にあたるところはすごいと感じ入ったのを覚えている。

ひるがえってこの映画、2時間サスペンス臭とか、大仰な演技とかってことで、3億円事件という大きなミステリーに気を取られて肩透かしをくらった人が多いみたいだが、これは3億円事件のミステリーを暴く話ではなく時代に反攻しいつのまにか組織と折り合いを付け飼いならされてしまったり、ゆがみをかかえてしまった人たちのいわば鎮魂歌ともいえる作品だと思う。いや普通に良作でした。

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役者さんについて。
奥田さんがしょぼくれながらも妻に先立たれ孤独にさいなまれていながらも警察人生の最後に悔いののこった事件に決着をつけようとする男、滝口を淡々と好演。そしてその相棒となる若くてそれなりに上昇指向もある片桐を渡辺大。ケン・ワタナベの息子というのはおいといてもちょっと堅さもあるががんばってるところは見えた。奥田さんとか警察側の矢島健一、菅田俊などに揉まれていい顔になったなという感じ。
で、あちこちで言われているかたせ梨乃。序盤はなかなかよかったんだけどねー、口をひらくとちょっとアレ?ってみたいな感じは確かにあったかなー。まあ適役として他に誰がいるという話だけど、仁科亜希子がよかったかなーとかは少し思いました。

あとパトレイバー2あたりにも(決着をつける、落とし前をつけるという部分で)通じるものがあったかなと思ったことを付記しておく。

脚本は名手、長坂秀佳。この辺りも作品のカラーに大きく影響しているようだ。

参考エントリ
『ロストクライム-閃光-』 - 真魚八重子 アヌトパンナ・アニルッダ

余談ついでに
片桐の配属されている所轄は勝鬨署。帳場も勝鬨署。いやそこはなんかの冗談かと思っちゃいました。いやマジで。
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by tonbori-dr | 2010-07-29 23:05 | Movie